KH400 400SS 350SS用 強化クラッチスプリング
かねてより、メーカー製造廃止だったKH400&350SS用のクラッチスプリング
92081-095相当を製作致しました。
ご好評頂いておりますKH400用PWKキャブキットですが、 PWKキャブ+チャンバーでセッティングが決まると、スタート時にフロントが簡単に浮き上がる程パワーは上がります。
それ故、高速域でノーマルクラッチでは若干滑りが出てしまいます・・・なので滑りに対応した強化スプリングが必須です。 でも強化スプリングはどうしてもクラッチ操作が重くなる・・・ だから滑るギリギリの手前のスプリングが欲しかったんです。
クラッチとは、エンジンとミッションの間にあり、エンジンの動力を繋いだり切ったりする装置です。
下の画像にあるように、クラッチハウジングの中にミッションのインプットシャフトと繋がったハブがあり、 ハブとスチールプレートが繋がっていて、別でハウジングとディスクが繋がっています。
この二つがクラッチスプリングで押し付けられて、エンジンの力をミッションへと伝え、クラッチレバーを握ると、押し付けられていたディスクとプレートがプッシャーを介して切り離され動力の伝達が切れるという仕組みです。
よく「クラッチがすべる」というのは、たいていディスクの磨耗により、プレートとの摩擦抵抗がなくなり、押しつけても滑ってしまう事を言いますが、クラッチスプリングがヘタっても、ディスクを押し付ける力が弱くなり、クラッチが滑ってしまいます。
下の画像は、KH250とKH400のクラッチハブです。
一見、同じように見えますが、よく見るとハブの高さが違います。
KH250はクラッチディスクは6枚です。外観の見た目もそっくりなKH250とKH400、馬力もカタログ上10馬力しか変わりませんが、そこは排気量の差、トルクが全く違います。見た目とは裏腹に走りも250と400では雲泥の差があります。
その為、KH400はディスクとプレートが一枚ずつ多く、それを収納する為、ハブとハウジングが250と400では違っています。
ハウジングも容量を稼ぐ為、ギアの厚さが違います。また、ハウジングがクランクギアと干渉しないように、クランクピ二オンも薄くなっています。
それと、増大したパワーとトルクに対向する為、クラッチスプリングもKH400では専用のレートの高いスプリングが組み込まれています。ちなみに350SSはプレートこそ6枚ですが、スプリングはKH400と同じ品番のレートの高いスプリングが使われています。
ただ、クラッチスプリングという物は、必要にして十分なレートが必要で、強ければいいってもんでもありません。
80年代などでは、二輪に限らず、4輪の世界でもノーマルエンジンに、これ見よがしにバカでかいオイルクーラーを装着した恥ずかしい車両をよく見かけたもんです・・・結局オイルクーラーも、油温が上がりすぎるので、「仕方なく」つけたもんですが、クラッチも意味もなく強化すると重くなるだけで、別に速くなるもんでもないんです・・・ と言いながらも、実は私も自分のZでシングルクラッチで十分だったのに、あのマルチプレート独特の「ヒャラララララ~ン」って音に憧れ、意味も無くOS技研のツインプレートクラッチを入れ、ゼロヨンのスタート地点でやたらクラッチを切ってた記憶が(笑)
このようにKH400とKH250ではクラッチ廻りば別物なのにKH400用のクラッチスプリングはすでに製造廃止となっています。
KH250用はまだメーカーから出ます、反対にKH250用が欠品でも400用があるならまだなんとかなりますが、KH400用が欠品ではどうしようもありません。
信頼できる日本のアフターメーカー様よりKH400用で強化タイプのスプリングは出ているのですが、ただでさえKH250に比べ、決して軽いとは言えないクラッチが、強化スプリングによりレバー操作が一層重くなって、ロングツーリングではクラッチを握る手に支障が出そうです・・・ウチも今まで造ってくれてるだけでも有り難いと思い、強化タイプを使用していましたが、やはりクラッチ操作が重いとの声が多く、それならばと思い製作してみました。
今回も、フロントサススプリングと同様、スプリングメーカーの担当者様と入念な打ち合わせを行い、ノーマルのレートもしかりと測定した上でレートを決定し試作品を造りましたが、やはりノーマルに比べ「重く」なってしまいました・・・
再度レートを落とした試作品を製作し、私のKHで試運転を行います。
私のKHはPWKキャブやチャンバーその他もろもろにより、ノーマルとは比較にならない程パワーは出てているので、ノーマルのクラッチスプリングではクラッチが負け気味です。欠品部品のリプレスメントとしての役割はもちろん、弊社のPWKキャブキットを装着して頂いているお客様への対作品でもありますので、70馬力程度までは対応してもらわないと困ります・・・
試行錯誤の上、ノーマルの10%~15%程度の〇〇kg(企業秘密)のレートで落ち着き、素材もヘタリを考慮し、SWP-V鋼にショットピーニング処理で万全を基します。
嬉しい誤算だったのですが、素材の差なのか、バネ定数はノーマルより確実に高いはずなのですが、実際にクラッチレバーを握ってみると、気のせいかもしれませんがノーマルスプリングよりも軽く思える位に仕上がっています。この位なら、テフロンインナーのケーブルを使えば、長距離ツーリングも全く問題ありませんし、もちろん私のKHで最高速チャレンジの領域まで滑りは皆無でしたので、チューンアップされた車両でも安心してご使用頂けます。
一台分 5個 5800円(税込み6260円)
KH400 400SS 350SS用 強化クラッチスプリングのご注文はこちら
KH用 小物リプロパーツ。
ここん所、死ぬほど忙しく、なかなかブログ更新もままならない状態が続いています(涙)
なぜそんなに忙しくなるのか?いろいろ原因はありますが、やはり純正部品の欠品が一番重くのしかかってきます・・・
KHに限らず、旧車全般にいえる事ですが、一つだけでも部品がないと全てストップしてしまうんです・・・
エンジンなどバラした時、どう見ても再使用不可な部品であっても、新品部品が手に入らないなら、「見ぬふり」をしてそのまま組むか、いつ出てくるとも限らない中古部品をヤフオクなどで物色するしかありません(涙)
全ての物が作れればいいのですが、やはり個人に毛が生えたレベルの当店では限界も有ります・・・
先日も、かねてから欠品に悩んでいた、KH400用のクラッチスプリングの見積りが上がってきました。
「こんなもん、ほんまに売れるんかいな??ワシ以外、誰が買うねん・・・」
必ず毎回口から出てくる言葉です。
海外メーカーのリプロパーツでKH400用の強化スプリングはすでにあるのは知っているんですが、いかんせん固すぎるきらいがあり、クラッチ操作が重くなってしまうのは困ります。
地元の先輩が中国と貿易を昔からしていて「そんなもんやったら浙江省で、なんぼでも安くで作ってくれるど~」
と言ってくれるのですが、保守的な私はやはりメイドインジャパンと対面商談に拘ります。
何でもネットで検索でき、簡単に物が買える昨今ですが、素材に始まり、バネレートの設定とか、こと細かく対応してくれ、納得のいく物ができるのは、やはり直接対面する事に尽きると信じて疑いません。
でも悲しいかな、やはり生産ロットと言う壁はどうしょうもありません・・・
今回もとりあえず20台分からスタートなので、コストは割高になるという負のスパイラルに陥ります(涙)
今回、PWKキャブ装着により、ノーマルのクラッチでは滑ってしまうという嬉しい?悲鳴ですが、むやみにレートを上げると圧着力は上がりますが、クラッチ操作が重くなってしまいます・・・
仕様に関して、担当者の方と綿密に打ち合わせます。ノーマルバネレートの測定はもちろん、ヘタリ試験や素材に至るまで、納得がいくまでメイク&トライを繰り返します。
某、大手バイクメーカーにも納入実績のあるメーカーさんなのに、当店のように風が吹いたら飛んでしまいそうな弱小店舗と取引きして頂ける事に本当に感謝しています。
このS1,S2用のタンデムステップカラーですが、もちろんメーカ製造廃止部品です。
KH400などに採用されているラバーブッシュ支持なら、今でも部品は出ますが、やはり目立つ部分だけになんとかしたくなります。
ヤフオクでたまに出ますが、みなさん流石によく知っておられ、競り合いになります。
この程度のカラーなら、材質に拘らなければそう難しいものではありません。
2017系ジュラルミンを削り出します。鉄で造ると、鍍金をかけないと速攻サビます、
ジュラルミンとて本来、耐食性を上げる為にアルマイト処理に出しますが、今回は早く汚くなって欲しい?という意味不明の理由の為(笑)あえて未処理のままにします。
旋盤で無垢棒から削り出します。ウチも汎用旋盤欲しい!!
ええ感じに仕上がってますね。 さすがに重さがマッタク違います(笑)
この部品も量産しようか悩み中です。
どこぞのユーチューバーさんも割っていましたが(笑)本当によく割れる?スイングアームブッシュも製作しました。
ちなみにZ650ザッパーと共通部品なんです。
ザッパーオーナーの方も買うてくれへんかな・・・
重要保安部品なので、どうしようか思案中のキャリパーピストン。
重要保安部品だからこそ、こんなサビサビのまま使うのは危険なんです・・・
製造物責任とやらで市販化は悩み所なんです。
でもできる限り欠品部品については頑張って造れるものから発売していくつもりです。
なぜなら、たった一つの部品で作業が止まるのはもうゴメンこうむりたいですから・・・