兵庫県加古川市のガレージ トライシクルのブログです Archive | 9月

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KH250 400用 強化ブレーキキット。

カワサキトリプルシリーズにお乗りの方なら、誰もが経験したことがあると思いますが、
「車は急に止まれない」よろしく「トリプルも急に止まれない」・・・(笑)
田舎道で脇から軽トラのおじいちゃんでも割り込んでこようものなら冷や汗モノです。
冗談抜きで自転車のように「足」を出して止まりたくもなります(涙)

KA(500SSの初期型)などはツーリーディングドラムというシステムのブレーキなんですが、これは 意外にサーボ効果もあり、調整さえちゃんとやれば、街乗りなら逆にKHとかのディスクより扱い易かったりします。それにKAは歴史的価値もあるので、ボクもおそらくドラムのまま乗り続けるでしょう・・・

なにせ、この頃はディスクブレーキの黎明期で、雨なんぞ降ろう物なら制動距離は凄まじく、また、マッハに限らず、この時期の旧車全般のディスクブレーキはは半端なく効きません(涙)

じゃあブレーキを強化すればいいだけの話なんですが、これが非常に奥が深いんです・・・
ただ単に制動力のみを上げたいのなら、最近のキャリパーをサポートをこしらえて取りつければいい話なんですが、旧車の場合、ルックスも大切です。

ルックスに最重点を置くと、フォークアウターと左キャリパーを加工したダブルディスクに尽きます・・・。
純正キャリパーでダブルディスクにするには左フォークアウターにフェンダーブラケットを溶接するんですが、溶接を上手くしないと熱でボトムケースが歪み、フォークの動きが悪くなったり、なによりダブルのディスク板により、フロント廻りがかなり重くなってしまいます。
ダブルディスクは相当のコストが掛かる割りには制動力は?で「シングルよりはよく効く」感じです。

そうなるとルックスと効きのバランスがええのがローキッドの2696シリーズになるんですが、
これがもう難題だらけ・・・
Z系にでも干渉するのに、なおフォーク径の細いミドルマッハでは、幅の広い対抗ピストンキャリパーなど、いとも簡単にスポークと干渉してしまいます・・・
ディスク板にスペーサーをかまし、ローターをオフセットしようにも、今度はフォークとディスクが干渉してしまいます・・・
本気でリア用の小さなキャリパーにしょうかと思った事もありますが、制動力が飛躍的に上がらないなら意味がありません・・・

八方塞がりで、どう解決するか迷っていましたが、この頃はまだ責任の無いプライベーターだったので、それなら「キャリパー削ってもたらええねん!」という禁断の結果に(笑)

なるべく安全マージンを確保したいのですが、削りすぎると今度はキャリパーの安全マージンが無くなるというジレンマに・・・ベストな角度になるように、何度も治具を調整して切削完了。

さあ、試運転です。走行中に、もしスポークがたわみ、キャリパーに噛みこんだら・・・想像するだけでキン〇マが縮みあがります・・・
本気でビビリながら前後ブレーキを一気に握ると!!!!!

今まで経験したことのない、いきなり、後ろから髪の毛を引っ張られるような「ガツン!」とした衝撃が走ります。
もうヘルメットの中の顔はニヤケまくってるのが、他人にも解る位に喜びが込み上げてきました。
なにせマイナー車ゆえ、キャリパーサポートの設定など皆無であり、強化パットですらないKHシリーズでしたので感無量です。

一番肝心な「安全性&耐久試験」については。自分自身が人柱になり、3年間、街乗りから峠道までキッチリ走り込み、意外に?大丈夫だったという貴重なデーターも得る事ができました(笑)

十分な試験データーを元に、近日、KH250、400用のブレーキキットを発売予定です。
もちろん、ルックスや性能だけでなく、強度や耐久性にまで拘わりました。
今まで、「KHは急に止まれない」で本当に悩んでいたオーナー様、乞うご期待下さい。

当店オリジナル KH250 400用 クロームメッキスポーク組み付け

当店で使用しているスポークの振れ取り台は相当の年季物です。
私がこの店を開業するまで、この場所はこの辺りでは老舗の自転車屋さんでした。
その歴史ある作業台をオーナー様より譲り受けました。
当初、バイク用の振れ取り台を使っていたのですが、いかんせんコスト重視なのか、ボディーやガイドの剛性が足りず、振れを見るアームがすぐ動いて非情に使いにくい!
自転車用のこれは鋳物のアームで、かなり重いですが剛性はものすごく高いんです。
シャフト径がかなり違うので、バイク用に加工したところ、物凄く使いやすいSSTに変貌しました。

作業台に仮組みしたスポークホイールをセットして触れ取り作業にかかります。

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最初、グネグネ曲がっていたホイルもスポークにテンションを掛けていき、まず縦触れを取った後、ダイヤルゲージを見ながら横触れも取っていきます。

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時間をかけ、入念に振れを取っていきます。
最後はスポークを叩いて音を聞き、テンションを確認します。
https://garagetricycle.com/blog/wp-admin/post.php?post=295&action=edit

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う~ん・・・まだまだ納得が・・・(笑)

とってもマニアックなお話・・・ SSとKHのハブの違い。

スポークの振れ取りをUPしようとしてたのですが、ここでとってもオタク・・・いえいえマニアックなお話。

ミドルクラスのトリプルは結構長い間生産されました。その途中で、車名もSSからKHへと変わっていったのですが、その間に細かな変更が多数あったその一部がリアハブです。

これはSS350のリアハブです。
気の遠くなるようなバフ掛けを施され眩しい位に輝いています。

 

こちらは後期に当たるKHシリーズのリアハブです。
違いが解った貴方はすでにオタ・・・いえいえかなりマニアな貴方です(笑)

 

何が違うのか??
中心にハマるベアリングの径が違うんです。
上のSS系のベアリングの方が大きく、後のKH系の方が小さくなっています。

 

 

二つを並べてみるとこの通り。
なぜか後発のKH系の方がベアリング径が小さくなっています。
それと、ベアリングの間に挟まるカラーが大きく違います。

 

ベアリングの支持方法も大きく異なります。
何故こうゆうふうになったのか定かではありませんが、
下のSS系はベアリングインナーレースにカラーが刺さって頑丈に思えるし、ベアリングは大きい方が荷重に対しては有利なハズです。
では何故ベアリング径が小さくなったのか??
カラーの重さは明らかにKH系の方が軽くできています。この部分はバネ下重量になるので、軽さは重要ですが、もしかしてハブのベアリング受けの肉厚不足などなど・・・
後、考えられるのは生産性の向上、つまりコストダウンかもしれません・・・あくまで私見ですが、後者の可能性の方が高そうですね。

と、まぁどうでもええ事なのですが(笑)
当社でハブ再生される場合、ベアリングとカラーが無くてもカラーの制作は可能ですが、若干料金が変わりますので業務連絡も兼ねてUPさせて頂きました。
ちなみにSSとKHのバブベアリングは違ってもハブASSYは共用可能ですのでご安心下さいませ。

P、S  「SS用とKH用がどちらの方が優れているのか?」
とかのマニアックな質問についてはお答え致しかねます(笑)

 

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