キックカラ― 92028-072 を製作しました。
KHに限らず、カワサキトリプルのキック周りはトラブルが多くて困ります・・・
H2なんて高圧縮のエンジンに耐え切れずキックシャフトそのものが折れるという恐ろしい事もあれば、KHシリーズでは車体が左側に傾くとキックが「スカっと」抜け、車体を右側に倒した時のみキックが可能というシャレにならん話まであります。
250から750まで共通というキックスプリングなんて今では考えられない代物です。
当店では、M/Tはもちろん、キックシャフトにも大事を取ってというか、半分もうおまじないのような気持ちでWPC処理を施します。
本来、WPC処理はフリクションの軽減を期待するものですが、ピーニングにより表面硬度が上がるので、補給部品の壊滅的な旧車には有難い処理です。
とはいえ、割れてしまったものまでどうこうできる訳がありません・・・
これはS系やH1に使われているキックカラ―ですが、元々穴の横部の強度不足と長年のスラスト方向のストレスによって破断している車両が本当に多いです。
ココも例によって「見なかった事」にしてそのまま組まれている車両が殆どです。
最近は程度の良い中古パーツの入手も困難になり、やはり同じところがダメになる事が多いのに、平気でゴミがヤフオク等に出品されていたりもします。
価格の高騰がイタいのもありますが、中古パーツ故、いつ入手できるかが一番の悩みです・・・
なんせ一つのパーツが足らないだけですべての作業が止まってしまい、かつ一人で全ての作業をこなしている当店では、その遅れはその後作業を待つ次のお客様にまで影響してしまいます・・・
そんでもってどうせ作るなら「強化品」をと思うのが世の常ですが、こういったブッシュ関係は強ければいいってもんでもありません・・・
何故ならあまりに固く作ると、受けているシャフトそのものにダメージを与えてしまうので素材には苦慮します。
恐らく純正は少し削ってみた感触から、S40CもしくはS45C辺りだと思います。
45C辺りが最適な気もしますが、やはり留め金ピンの刺さるサイド部分の強度が気になるので、SCM材、いわゆるクロームモリブデン鋼で製作しました。なんでもかんでも「強化品」とするのもどうかとは思いますし、はたしてこれが正しいかどうかは判りませんが、ただでさえ始動性の悪いポイント車であっても心置きなくキック、そう一世を風靡した長渕キックレベルで蹴っても大丈夫であって欲しいですから(笑)
コレはH2(750ss)のキックシャフトAssyなんですが、500SSを打倒CB750の為に無理を承知で750化したせいで、駆動系のトラブルまみれで、ミッションケース(クランクケース)がパワーに負けて割れる車両も多数ある程、本当に悩まされます・・・
ただ、ことこのキックカラ―に関してはハッと見でシャフトを強化したのが判るほど太くなり、そのお陰でカラー自体も大きくなり、薄くなりこそはしたものの、スラスト方向の肉厚が確保されているので割れ難かったのだと思われます。
しかしこのぶっといシャフトを折るって・・・長渕キック並みのパワーの持ち主がいらっしゃるのも驚きです。
こうやって改めて見ると穴の外側の肉厚の薄さが良く解ります・・・
クロモリ鋼がええ方に作用する事を願うばかりです。
まぁ幸い?この部品92028-072はH1(500ss)と共通部部品ですので「棚の肥やし」になるリスクは少なくて済みそうですね・・・
私は「当時モノ」という言葉はあまり好きではありません。・・・
ヨメとパーツは新しいのに限ります(笑)
たま~に「彼女まで当時モノ」のオ〇ハンをケツに乗せ、ええ歳こいて直管でふかしまわってるイタいオッサン共を見ると、見てるコッチが恥ずかしくなりますから・・・合掌
ありそうでなかった物。
最近、何故かZ系やGXなどのトリプル以外の大型車の修理も多く入庫します。
KHに限らずヤマハのマイナーな旧車など、こと補給部品に関しては絶望的です・・・
しかしである、ことZ系に関してはフレームとエンジンの窯さえあれば下手すると新車が組めるほどのパーツがあり、トラブルで入庫しても、翌日には淡路島からパーツが届きます。
稀にリプロ品は品質がどうこうとかぬかす輩がウチにもいますが、部品に悩まないで済むZ系は本当に羨ましく、淡路島には足を向けて寝れません・・・
リプロであっても「新品」で組めるという事・・・トリプルアルアルなんですが、どうしてもヤフオク等で中古を探すしかなく、散々競り合って届いた物は「ゴミ」だったとかは当たり前で、一番困るのは、「泣く泣く中古を使った挙句、結局そこがまたダメで再度バラす羽目に」と言う事なんです・・・新品を使う事で一定の安心を担保する事ができますから・・・
と、毎度の事ながら前置きが長くなりましたが(笑)ありそうでなかったKHのメーターインジケーターのカラーレンズを作ってみました。
このレンズはメーターのニュートラルやハイビームを知らせるランプのレンズで、よく中古のメーターを買ったらこのレンズが脱落してて電球が「ピカッ!」と光ってまあ情けないというか寂しいというか(笑)何故かウィンカーの黄色は残ってる個体が多いのも不思議な所です。
何度かてめぇでアクリル板と格闘した事がありますが、まあ小さくて大変です。
なので今回、レーザーカッターにて正確にカットした物を製作してみました。
レーザーはミクロン単位の精度でカットしてくれるので、寸法を吟味に吟味し接着剤なしでも圧入できるくらいの精度で完成しました。
流石にアクリルの単板なので、純正のような光り方ではありませんが、無いよりは全然マシです。
この画像ではニュートラルが白っぽく写ってしまってますが、もう少し実際は緑です。
これも例によって棚の肥やしにはしたくないのでほんの少しだけ製作しました。
必要な方がいらっしゃいましらHPのお問合せコーナーよりお知らせ下さい。
今後共、トリプル専門店の名にかけて、トリプルを維持して行くのに本当に必要な部品を作って行けたらなと思っております。
中には前出の専用工具の様にマニアック過ぎて何の部品か判らない様な物もあるかもしれませんが(笑)何卒、温かい目で見て頂ければ幸いです。
緑 紺 各色 一個1800円(税込み)