かゆい所に手は届くのかな?
KHを一度でも自分でいじった事がある方なら絶対解って頂けると思い・・・イヤ思いたいですが(笑)
シフトペダルの特殊ボルトを緩めたり締めたりするのに工具が入らず苦労します・・・
市販のスパナやモンキーではステップゴムが干渉し、本当にやりずらい!
チョット前まで、専用の薄いスパナを探し当ててなんとかやってきましたが、いかんせんスパナでは時間が掛かります・・・
国内物はステップバーが曲がっている個体も多く、海外物などは可倒部分が邪魔でやりずらくてかなわんのです・・・
当初、6角穴の開いた特殊ボルトを製作しようと思いましたが、よう考えると「SSTを造りゃええやんけ!」って事で、かゆい所に手が届く?SSTを造ってみました。
特殊ボルトに合う形のベースを2017ジュラルミンの無垢材から削り出し、
センターに3/8(9.5mm)のエクステンションバーが入る様に加工
これでラチェットが使えるようになります。
やはり、一度ラチェが使えるとなると、もうスパナでこちょこちょなんてメンド臭くてやってられません!
当初、強度を考慮してクロームバナジュウム鋼なども考えましたが、加工性と携帯性を考慮すると、2017ジュラルミンに落ち着きました。
私自身が何度も耐久テストして、あえて推奨していない「本締め」も試しましたが今の所、破損や摩耗もありません。
但し、あくまで「仮締め用」ですので、よゐこは絶対に真似をしないで下さいね。
途中、もっと横着をできるように、ある程度緩んで軽くなったら手でも回せるように滑り止めと意匠をかねて側面にローレット加工を施しています。
とは言うものの、「こんなもん誰が買ってくれるねん!」といつもの悪魔、いえ天使がささやきます・・・
いつもの如く単価が安くなるからと欲をかいて大量に発注すると、「棚の肥やし」と化します。
今回、かゆい所に手が届くパーツとして、解る方のみに買って頂ければいいかなと割高を覚悟で少量製作して頂きました。
最初に言ったように一度でも自分でスプロケットカバーなどを外そうとした事がある方には絶対重宝されると信じ(笑)
量産製作所の方にもホンマにこんなん売れるん?って心配までして頂きましたが、半ばKH屋の意地?で発売します!
販売価格は税込み5800円です。初回ロットは20個です。必要として頂ける方はお電話にてご注文下さいませ。
ボルトオンPWKキャブレターキットの入荷予定。
長らくお待たせ致しました。
欠品中だったPWKキャブレターキット、少量ですが入荷の目途が経ちました。
今回もすでに前からご予約頂いているお客様で殆ど残りわずかです。
予約希望の方はHP上のお問合せコーナーより、氏名、住所、連絡先、車種、オプションの有無をもれなく明記の上
ご連絡下さい。
納期は約2週間程度ですが、オプションによっては納期が延びる場合がございます。
各排気量とも数はあまりございませんのでお早めにご予約下さい。
予約台数が埋まり次第、次回生産分となります、あらかじめご了承くださいませ。
ミスター KAWASAKI
この度、兵庫県二輪販売組合の総会に主席してきました。
長年、兵庫の二輪界を引っ張ってきていただいた島津理事長が引退され、新しくPMCの正本社長が理事長に就任されました。
そんな総会にあって、長年私の憧れの存在だった伝説のレーサー、清原明彦さんとご一緒させて頂きました。
総会の時もたまたま席が近かったのもあって、キヨさんの隣の方とかが「加古川でマッハの店・・・」って会話が耳にはいってくるではありませんか!
それってワシのことやんけ!と舞い上がっていたら、すぐさまこの業界のレジェンド、高田社長がキヨさんに紹介してくれました。
実はキヨさんとは初対面ではなく、昔キヨさんが同じ町内に住んでたのもあって小学生の頃、近所の散髪屋さんで2回お会いした事があったんです・・・よくその散髪屋のオヤジが「あのオッちゃん、カワサキのテストライダーやけど、ホンダに乗っとったら世界一なんやど!」とまるで自分の事の様に自慢していた話をすると、色々町内の昔の事を気さくに話して下さり、未だに郡であるこんな田舎町にあって勝手に同じ町内だった事が凄く誇らしげに思えました(笑)
バイクの腕前はもちろんのこと、歌の方もA級です!
ボクみたいな新参者にも、当時の開発秘話など気さくに話して下さり本当に忘れられない1日となりました。
日頃は無類の好色漢の私がカウンターにいる半チチ状態のチャンネーにも目もくれず写真とか取ってると嬢が変に思ったのか?あの方、たまにお店にきてくれんるんですがどういった方ですか?聞かれたので、サスガに「あるヨーロッパのレースでワークスマシンの故障でリタイヤを余儀なくされそうになった時、急遽アップハンの市販型H2で出場し、他メーカーのワークス勢を置き去りにした伝説のライダー、ミスターカワサキ!」と言えるハズもなく(笑)キミらにわかりやす―ゆうとしたら、ボクからしたら「キムタク」クラスが店に来てるみたいなもんやで!って説明するとかなり驚いていて、即バイク好きの友達にラインしていたのが印象的でした。
そしてこちらはZ1の生みの親、元カワサキテストライダーの山本 信行さんです。
当時、試作車のZ1で単身アメリカに乗り込みルート66を疾走しZ1の開発に携わったレジェンドの一人です。
前々からご自宅がウチの店から歩いて数分のとこにあり、ご挨拶程度はしたことはあったのですが、今回ガッツリ開発秘話など聞けたのと、経営に関する貴重なお話もして頂き本当に感激しました。
センターはFXのカタログモデルにもなった元カワサキテストライダーの中島氏です。遠くは、岐阜県から岐阜二輪組合の副理事でもあり、大学の同級生だったスピードショップイトウの晶雄ちゃんも駆けつけてくれ、久々にゆっくり話もできました。
兵庫二輪組合も正本新体制となりました。島津理事長、長い間本当にご苦労様でした。
私も二輪業界の発展に微力ではありますが貢献できればなと思います。
数々の二輪レジェンドの方々にたくさん力を頂けた一日でした。
キャンディースケベイスピンク
サスガに20年以上同じ色の単車に乗っていると飽きが来ます・・・
そんでもって、大昔に買ってて、いつか塗り直そう塗りなおそうと思いながら気がつけば20年放置モノの自ら命名した「キャンディースケベイスピンク」の外装一式に交換。
なまめかしいクローム系の足回りと相まって、エロさ半端ないKHになり、なんか改めてまた愛着が湧いてきました。
下の写真は唯一残るボクが37年前、今のKHを先輩から買った当時の写真です。
16歳になったら、絶対「エフエックス」を買う!と心に決めていた私ですが、
今も昔もFXは一度たりともゴミにはなった事はなく、かのCBXでさえ一桁で手に入った時代にFXは30万以上しました。
だから当時高校生だったボクにはFXなんぞ高値の花で、唯一時給500円のアルバイト代で買えるカワサキ車はKHくらいでしたから。
今みたいにスマホどころか、デジカメすらなく「写ルんです」という死語の世界の使い捨てカメラで写した奇跡の一枚です。
当時は写真に「日付が入る写ルんです」がナウでニューでしたが(笑)日付は86年2月27日となっています。それはもうすべてボロボロで、俗に言うBEETの爆竹チャンバーが超煩くて自分でも、なんて下品な音なんやろ・・・と思ってましたネ。
でも何年かしてこのチャンバーがヤフオクで確か15万位で売れた時はビックリしました。
まだサラリーマンだったボクに嫁ハンに内緒の凄い金額のお小遣いが入ったので、それこそなんちゃら椅子のアブク銭に消えた記憶が(笑)
その後、高校を卒業して岐阜の自動車短大に行く直前に純正色だった最終型ライムグリーンに塗り直し、
また、働き出してすぐにショットバーのマスターの知り合いに新品箱入りのSS400のタンクをタダ同然の値段で譲って頂き現在の通称「ヘチマカラー」で20年以上乗っていました。
この頃になると、前出の写真の様なボロさは微塵のかけらもないですね。
同じ単車とは思えない程、綺麗にはなったんですが、何故かずっと長い間「なんとなく魂が入らない・・・」ような口では表現できないような感覚に陥っていました・・・
そうなんです、綺麗にしたいという一心で、自分自身でわざわざ「自分の歴史」を消してしまっていたんでしょうね。
今では考えられない事ですが、フレームまで全バラ&新品のタンクにわざわざウレタンクリアーを吹いてしまったりとか(汗)
最近、ツーリング先などでよく「どこで買ったんですか?」と聞かれるんですが、37年前に買ったんですと伝えると皆驚かれます。
昔はその驚きも楽しかったんですが、今では、なんか自分で自分の歴史を消してしまったみたいで後悔していたんです・・・
ほんでもって外装を変えようと思ったきっかけは、愛媛のお客さんのKH250を修理した時、「絶対、外装はこのまんまで、中身だけ更新して欲しい!」との要望でした。当初、サンドイッチマンよろしく、チョット何言ってるのか判らない?って状態でしたが、よくよく見ると、カッコイイ歳の取り方をしたチョイ悪親父のようなたたずまいに見えてくるじゃあーりませんか。
今頃の若い方の方が、こと旧車については「解ってる」んかもしれませんね(汗)
そんな感じで、たまたま塗り忘れた当時物?の外装があったので取り替えたらKHにやっと魂が戻ってきてくれたみたいで嬉しくなりました。
たまには外装一式を別の色に交換するコスプレも悪くないなと思った今日この頃です。
しかし皆さん、ライムグリーンや漫画レインボーだけがKHじゃないでっせ!
と、まあ今回は別にどうでもええネタでしたが(笑)最後まで閲覧頂いた方、本当にありがとうございました。
クロームメッキスポークの入荷と価格改定のお願い。
長らく欠品中だったKH250 400 350SS用クロームメッキスポークが入荷しました。
誠に心苦しいのですが、仕入れ価格の急激な高騰により、KH用クロームメッキスポークの価格改定を行います。
変更前 24000(税込み26400円)→値上げ後 280000円(税込み30800円)
20%弱という大幅な値上げ幅となり、本当に心苦しいのですが、昨今の世界情勢の中、どうしても日本製に拘ってしまうと、社内努力にも限界があり、どうしても値上げをせざるを得ない状況となってしまいました・・・
以前、試作段階でコストとの兼ね合いもあり、台湾のメーカー様にも作ってもらった事があるのですが、やはり曲がりの均一性やニップル部のねじ切り精度、ひいてはクロームメッキの品質などは日本製と大きく異なります・・・
画像は今回新造した350SS用のインナースポークですが、やはり曲がりの均一性は素晴らしいですね。
また、ニップルのネジ部などは、海外製のとは大違いの精度なんです・・・
恐らく、ねじ切りの段階ではそう差はないんでしょうが、メッキの厚みが違うのか、ニップルの廻り方がマッタク違います!
一度でもスポーク組みを経験した事がある方ならご理解頂けると思いますが、スポークの曲がりにバラつきがあると、ハブ側では少しの差であっても、リム側では大きな差となり、スポークに無理な力が掛かってしまいます・・・
また、ネジ部の廻りが渋いと組付けや振れ取りの作業効率が著しく低下します。
画像ではお伝えし難いのですが、手で廻し比べると本当に日本製のスポークのニップルは本当に滑らかに廻ってくれるんです!
なかなか素人さんでスポーク組&振れ取りができる方は少ないと思いますが、やはりこのスポークを手にした同業者の職人さんには絶対解って頂けると信じて日本製に拘っています。
また、このシットリと落ち着いた輝きは、旧車會よろしくギラギラ&テカテカなチープなメッキとは異なります。
当初、耐候性を考慮し、ステンレスで制作予定でしたが、試作品の乗り心地並びに「折れ」の問題から、スチールにせざるを得ませんでした。
どうしても純正品などのユニクロメッキでは、2~3年もすれば輝きは失われてしまいます、それ故、ギラギラしないクロームメッキにも拘ったんです。
純正タイプのユニクロメッキなどに比べ、著しく耐候性が違います。何年も輝きが持続するだけではなく、スポークの汚れも簡単に落ちますので掃除も楽になります。
と、まぁ言い訳がましくなりましたが(笑)メーカーさん!材料高騰はある程度理解できますが、もう少し穏やかな値上げにしてくれないと心臓に悪いですよ、マッタク!(怒)
NGK B8HS-10 スパークプラグ
プラグギャップが市販二輪用より少し広めの船外機用スパークプラグです。
混合にされている方や、点火系を強化されている方にオススメです。
NGK B8HS-10 1本490円(税込み価格539円)
プラグギャップのお話。
今回は縁の下の力持ち?スパークプラグについてお話します。
当店ではスパークプラグはNGK製のB8HS-10という船外機などに使われる少し特殊なプラグを使用しています。
勘のいい方ならお気づきだと思いますが通常、市販の二輪用B8HSとかのプラグギャップは0.8mmに設定されています。
B8HS-10の後ろの方にある-10と言うのはプラグギャップの事で10ミクロン、すなわちプラグギャップは始めから1mmに設定されています。車用などは1.2mmとかの設定が普通にある位です。
これはプラグギャップを測定するプラグギャップゲージという工具ですが、最近の若い整備士さんなら見た事もないかもしれません・・・
なんせフューエルインジェクションによって空燃比も超シビアにコントロールされ、点火においてもダイレクトイグニッション等が当たり前になり、点火エネルギーも昔とは比較にならない程強くプラグの被りなど皆無です。
ではこのプラグギャップは何を意味するかというと、2次コイルで何万ボルトに昇圧された電流は空間を雷のように流れます。
この雷は電圧が高いと電線等がなくとも電気が空間を飛んでいきます。それゆえ街中の高圧線(2.5万ボルト)などは近くに寄っただけで人間など真っ黒コゲになるそうです・・・
だからエンジンでも12Vを点火コイルにて1万~2万Vぐらいに昇圧し、空間に火花を飛ばしています。
でも逆に言うと、電圧が低くかったり、あまりにも距離があると火は飛びませんし、エンジン内の点火プラグは燃料などの遮蔽物に常に邪魔されます。ましてや2サイクルエンジンでは分離であれ混合であれ、燃料中にガソリンより燃えにくい潤滑油が含まれます。
燃焼室内の火炎というのは燃焼室全般に広がるのに時間がかかります、それゆえ上死点より何度か前で火を飛ばして、そのタイムラグを補っています。燃焼室内に広がる火炎も一番最初はプラグギャップ内で小さな火炎ができ、その火が燃焼室内にじわっと広がるそうです。とはいえ0.01秒とかのお話ですが・・・
だから誤解を恐れずに言えば、プラグギャップは広けりゃ広い程いいわけなのですが、広すぎると前出のように火が飛ばなくなる「失火」状態になります。ではどうすればプラグギャップを広くとる事ができるか?
ならばプラグに送る電圧をもっと上げればよい訳で、そんな理由からCDIやフルトラではDIなどが開発されました。
もう一つ火花自体の強さや火炎伝播に大きく関わるのがプラグ自体の電極の太さです。
電極は細ければ細い程良いとされますが、あまりに細いと自身の高電圧により電極がすぐに摩耗してしまいます。
このプラグは昭和の終わりの頃、アフターマーケット界で一世を風靡した「Vプラグ」という商品です。
聞けば中心電極だったか忘れましたが、V字に削られ電極を細くしたのと同じ効果が出るそうで、
当時みんなこぞって高価なVプラグに交換していましたね。
今頃では、中心電極の先っぽに摩耗に強いイリジウムという白金のような高価なマテリアルを使って保護し、極端に細い電極でも摩耗し難く火花が強いイリジウムプラグが四輪の世界ではプラグ交換のし難さも手伝って主流になりつつあります。
ただ、2サイクル車にイリジウムプラグは相性があまり良くありません・・・電極の先端に貴金属チップがある構造上、ワイヤーブラシでゴシゴシなんてご法度です。完全にセッティングが出ているなら問題ないのかもしれませんね?
改めてアップで見ると中心電極の細さに驚きますね!
先にも述べたように、2サイクルエンジンの場合、電極の細さや要求電圧以上に「燃えにくさ」という問題がプラスされます。
しかし、今では2サイクルオイルの飛躍的な性能向上により50:1という昔では考えられないような混合比での運転が可能になりました。標準的な分離給油車両の混合比は20:1~25:1に設定されているので、混合専用オイルを使用することで「燃えにくさ」という面が解消されるのでプラグギャップが1mmでも被る事がなく、火炎伝搬が良くなり結果的に燃焼状態が良くなるようです。
最近では「ブログを見て混合化したら、凄く調子が良くなった」と遠方の方々からも嬉しいご報告を頂くことが多くなりました。
混合化によって爆発力が上がるだけでなく、プラグギャップが広げられ、点火も強くなる相乗効果で多くの方に恩恵を体感して頂いております。
H1、とくにエグリの頃など良質なオイルが無い上、初めてのリッター100馬力越え車両に北米を意識して濃いめの混合比にしたと川重の開発の方から聞いたことがあります。被りに対し、苦肉の策として沿面プラグなるものを採用していたのもうなずけます。
4サイクル旧車の世界ではもはや常識となりつつある、高性能アフターパーツのウオタニさんの点火システムも高電圧化によってワイドプラグギャップの設定となっています。もうすぐ発売予定のCDIに限ってはギャップ1.2mmでも楽勝で火が飛びそうな勢いです。
しかし、せっかくの高性能点火装置や高性能オイルを使ってるのに、肝心のプラグが「当時物」ではお話なりません・・・
混合化+PWKキャブ+CDIシステムで、補器の近代化により大幅なパワーアップと信頼性の向上が可能となりますが、縁の下の力持ち、「プラグ」について少しでも考えて頂ければと思います。
最初に市販二輪用B8HSのプラグギャップは0.8mmですと言いましたが、混合化された方、船外機用のとの差0.2mmがどう出るのか?コスト的にもお手軽ですので是非ご自身の単車で体感してみて下さいネ。
たかがプラグ、されどプラグです。
NGK B8HS-10 490円(税込み価格539円)
KH250&350SS用ボルトオンCDIキット 試作編
長らくお待たせ致しておりますKH250用CDIキットですが、
お問合せの多さに責任を痛感していますが、正直、色々な事に壁にぶち当たっている状況です・・・
「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで四歩下が~る」・・・戻っとるがな(涙)
自分でボケて自分でツッコみながら、次々と湧き上がってくる問題に戦々恐々です・・・
ひとつ問題を解決できたと思ったら、また別の問題・・・
モノ造りとはそういう物かもしれませんが、自分の知識の浅はかさを痛感する日々です。
でもそんな時、アースをミスった二次電流がボクの体内を流れ、指先から「バチッ!」と今まで経験したことのない激痛が走ります!
かなりの痛さなのに、こんなに強いんや!!とニヤける私を他人が見たら間違いなく「変態」扱いなのでしょうね(笑)
唯一のより所は、「強力な点火による調子の良い原動機になる補器の製作」に尽きますから・・・
フツーのバイク屋では見た事もない、まるでネズミ捕りレーダーの様な計測機器を駆使してテストしていきます。
オシロスコープの波形を何度も確認し、実車に取付け確認します。
先程、指先を走った激痛よろしく、コンデンサーから一気に放出される強力なスパークは、キック一発でいとも簡単にトリプルを目覚めさせました。
コレはいける!!と確信し、今までの苦労が報われる瞬間です・・・
とはいえイニシャルタイミングの設定や、配線の取り回し、完全ボルトオン化、量産化、耐久テストなどなど、まだまだたくさんの課題が山積みです・・・
順風満帆とはいかない開発に、誰かの猿真似や、どこかの製品をパクれたらこんな苦労は無いねんけどな・・・とボヤいた瞬間、社長から即答「パチもんには魂が宿らん・・・」と言われ目が覚めた思いです。
ふと見上げたメーカーさんのガレージで炎天下の中、今もなお快適な空間を作ってくれているこのクーラー、恐らく平成どころか昭和から働き続けてるであろうそれに、あえて「エアコン」とは呼ばず、敬意を込めて「クーラー」と呼ばせて頂きたい。
私の製品もこのクーラーの様に、草葉の陰からずっと末永く支え続け、そこに魂が宿るモノ造りでありたいと願って止みません。
お待たせ致しました!PWKキャブレター(一部)が入荷しました!
大変長らくお待たせ致しておりましたPWKキャブレターが入荷致しました!
あと何箇所か本体の加工が残っています。また、インマニの増産分と専用スロットルケーブルの入荷待ちです。
今月末~9月上旬には発売できると思います。
原料高騰や流通コストの関係上、心苦しいのですが、今回より値上げとなっています。
それに加え、今回もあまり数は多く作れておりません・・・
先行予約を頂いていたお客様分でほほ完売しそうですが、各排気量とも数台分は残っていると思います。
気になる方はお早目にご連絡下さいませ。
尚、350SS&KH250用は専用ニードルの在庫に限りがございます。
パワーフィルター&ファンネルキットの在庫も流動的です。物によっては数カ月待ちとなる場合がございます。
あらかじめご了承下さい。
350SS用ケイヒンPWK28キャブキット 154000円 (税込み169400円)
KH400用ケイヒンPWK28キャブキット 145000円 (税込み159500円)
KH250用ケイヒンPWK28キャブキット 154000円 (税込み169400円)
PWK28用 エアーファンネルキット 12500円 (税込み13750円)
PWK28用 パワーフィルターキット 13000円 (税込み14300円)
* お陰様で完売致しました。次期生産は未定です。
KH250用 350SS用 CDI点火装置試作
長らくご無沙汰しておりましたブログですが、よくよく考えると多忙とはいえ本年初でした(汗)
祈念すべき2023年度初?のブログネタは念願だったKH250用CDIキットの開発に一定の目途が経ったのと、製造元様から発表の許可も頂いたので、チョットだけ?リークさせて頂きます。
前々から何度もしつこい位言い続けている内燃機関の基本中の基本「良い圧縮」「良い点火」「良い混合気」ですが、当店のKHシリーズで「良い混合気」については大好評頂いているPWKキャブキットが、「良い圧縮」についてはエンジンをオーバーホールする事で完了します。後は「よい点火」を残すのみだったのですが、いかんせんこの点火システムについての開発については相当苦労させられました・・・
なにせKH250や350SSにおいては内燃機関黎明期の古典的なポイント点火だということは以前にもお伝えしましたが、このポイント点火は定期的なメンテナンスを必要とし、ひいては熟練の整備技術を要する部分もあり、当店に来店されるKHやSSの殆どが「調子悪い」というありさまでした。
イベントやツーリング等で故障して迷惑を掛けている車両の多くはKHやGT380などの2サイクルポイント車です。
Zに限らずほとんどの4サイクル車にはウオタニさんやリビルトシステムの発達という素晴らしい状態で、こと点火装置に関しては下手な90年代のバイクより故障が少なくなった気もする位です・・・
それ故、良い圧縮、良い点火、よい混合気さえクリアーすれば、元々超官能的なエンジンフィールのトリプルシリーズの良い所のみ楽しめるようになると信じて疑いません。
話はチョット脱線しますが、アフターマーケットのポイントレス化において、割合早い段階から4輪の世界ではあたりまえとなっていました。往年の日立フルトラやルミネーションの赤外線フルトラなどなど、またフルトラに限らず、ウルトラやワコーなどのCDIも色んなタイプが発売されていましたネ。
これはCDI用のいわゆる「ゴールドコイル」ってやつです。一世を風靡したシルバーコイルなんて死語の世界を懐かしむ御仁も多数いらっしゃるはずです。デスビレスにできる「同時点火キット」なるものまでありましたね・・・
この画像を見てピンとくる方は相当のLマニア、いえドラック(ゼロヨン)マニアでしょう(笑)
このアメリカ産CDIシステムが出た時は本当に衝撃的でした・・・
当時はすでにターボチューンが全盛で、一部熱狂的メカチューンマニアの燃料供給原は未だソレックスという古典的なキャブレターでした。キャブレターシステムでは、フューエルインジェクションの様な緻密な空燃比制御は不可能です。
ただでさえリッチな空燃比に加え、カムの作用角やオーバーラップが大きくなると、特に低速付近での燃焼が不安定になります。
元々の点火システムの経年劣化もあったと思いますが、このMSDイグニッションシステムには画期的な「マルチスパークシステム」というのが搭載されていました。CDIシステムと言うのはキャパシターディスチャージドイグニッション??の略で、誤解を恐れずに言えばポイント点火やフルトラシステムとは根本的に違うシステムです。フルトランジスターシステム(以下フルトラ)とは基本的な回路はポイント点火と変わらず、一次側回路の断続をポイントの代わりにトランジスターが無接点で回路の断続を行うシステムですが、CDIというのは、コンデンサーに貯めた電気を無接点のサイリスタ等の電気回路にて一気にコイルに放出するシステムです。
CDIシステムは高電圧の強力な火花が出る上、高回転での電力の追随性もフルトラ系よりも良く、高回転高出力だがプラグの被りやすい2サイクルエンジンで自己清浄作用も期待できるので相性は抜群とされています。
実際、純正点火システムも2サイクル車でフルトラシステムを採用している車種は、何年も先に進角制御で有利なデジタル化されたフルトラシステムを持つホンダMVXくらいしか思いつかないですネ・・・
ただそんないい事詰めくめの様なCDIにも火花の時間が短いという欠点があり、実際、低速域だけならCDI点火のKHより、ポイント点火の400SSの方が低速トルクを力強く感じましたが、高速域の伸びはやはりCDI点火のKHに軍配が上がります。
だからCDI点火の短い火花時間を解消する為、低回転時に複数回火を飛ばして結果的にフルトラに遜色のない点火時間を実現できたのがマルチスパークシステムなんです。
なにせ4サイクルといえど、既存の点火システムでは前出の低速域の被りに悩まされていたL型ドラックエンジンにこのMSDイグニッションシステムを組み込むとウソみたいにアイドリングが安定し、低速から高速まで一気に吹きあがるこの点火システムにみな心酔したものでした。
また、MSDイグニッションにはオプションでタイミングコンピューターというのもあり、多くが進角固定だったチューンドL型において、始動時は高圧縮エンジンと言うこともあり至難の業でした。
このタイミングコンピューターを付けると、自動で始動時は5度付近まで遅角し、高回転では40度以上までも進角する上、進角カーブまで変更できる優れものでした。今となっては閉角度制御なんて当たり前になりましたが、当時は救世主にさえ思えたもんです。
そんな素晴らしいMSDシステムの様な物をなんとかしてKHに搭載できないだろうか・・・と長年構想してきましたが、なかなか現実的には充電システムの問題や一般的なCDIは豪のロックバンドよろしくAC-DC方式という自ら交流を発生させてそれを使う、いわゆるフラマグ方式の為インナーローター方式のKHに流用はできません(涙)
もちろん、無接点化という意味では、すでにかの有名な?イギリス製のフルトラシステムは存在していますが、被りやすく、4サイクルの倍運動している?2サイクルエンジンにフルトラは相性がイマイチです。
それに元々から脆弱な充電システムのKHやSSに電力消費の多いシステムを組むと、灯火類を点けると調子が極端に悪くなるという症状に陥る恐れもあります(涙)
これをクリアーするとこちらの問題が・・・てな感じでどうしても完成には至りませんでした・・・
でもそこに救世主が現れました!
当初、コストの問題もあり中国や台湾の企業様にお願いしようかと悩んでいましたが、どうしても耐久性の問題や仕様変更の小回りが利かないなどの諸問題で頓挫していた所に、あるイベントで隣のブースだった企業様にご紹介頂き、国内の業者様で設計、製造して頂ける運びとなり、3Dプリンターなど最新の機器を駆使して頂き一気に試作品が完成する運びとなりました。
まだまだ量産化に向けての諸問題は山積みです・・・完全ボルトオン化や補給部品に拘る私のわがままの為、時間もかかりますが、KH専門店の意地にかけて必ず完成させます。高性能なPWKキャブレターと2サイクルエンジンに最もマッチしたCDI点火が完成すればそれはもう誰もが気兼ねなく官能的なトリプルサウンドを楽しめ、故障知らずのKHも夢ではなく現実になります。
PWKキャブの供給不足など、皆様には多々ご迷惑をおかけしておりますが、温かい目で見守って頂ければ嬉しく思います。