兵庫県加古川市のガレージ トライシクルのブログです Tag Archive | H2

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現状把握という事。500SS点検

最近、当店に「一度、自分のバイクの状態を見て欲しい・・・」という依頼を多く頂きます。

この500SSも何年も前に現オーナー様のご友人が購入し、その後放置状態だった車両を購入した為、
一度当店で点検して欲しいとのご依頼でした。

 

 

遠路、四国は香川からご来店頂きました。
早速、基本点検から始めるんですが、その前に、自分の単車が何モデルなのかを知っている方が少ないので、フレーム番号からモデルを検索します。

 

 

H1F-330**ですので、H1E以降エンジンが振動対策でラバーマウント化されたマッハモデル最終型H1-Fですね。
よくKA以降のH1はキバが削がれたとか言う方もいらっしゃいますが、確かに車体ディメジョンの変更やエンジンの小変更で加速感こそ少なくなりましたが、「マッハⅢ」の名は伊達じゃない、キチンと整備されたH1は後期だろうと2ストらしい官能的な吹け上がりを堪能できます。
それにあの不快以外何物でもない振動をうまく軽減してくれていますので、KH400と共に、私はH1後期は大好きです。
しかし、私もH1ーFは所有していますが、見た目は絶対H2やエグリの方がカッコええですよね(笑)

 

 

エンジンもフレ番とほぼ適合のKAE-1030**ですので、ほぼ載せ替えは無しかな?
よくヤフオク等で「載せ替えなし!」と明言されていらっしゃる方を見受けますが、カワサキモータースジャパン(以下KMJ)でも、正式にフレームとエンジンの組み合わせの記録はないそうなので、断言は不可能なんです・・・

 

 

生い立ちが解ったら、本題の点検に入ります。
まずは、個体のコンディションを知る上で絶対に欠かせない圧縮圧力の測定です。
原動機を見る上で「よい圧縮」「よい点火」「よい混合気」は旧車に限らず現行車だって全く同じです。

たまに圧縮比と勘違いされている方がいらっしゃいますが、測定するのはあくまで実際の圧力なんです。
コンプレッションゲージをプラグホールに装着し、アクセル全開でフルキック!!
何回かのキックでメーターが一番振った数値を読みます。
おおむね、各気筒10㎏以上あり、極端な気筒差が無ければOKです。
幸い、この車両も三気筒共、10㎏以上振ってくれたので、「よい圧縮」は合格です。
当店の簡易点検でも一番の要がやはりこの圧縮測定に尽きます・・・
いくらキャブセッティングや点火を強化しようが、圧縮が無い事にはどうしょうもないからなんです。
圧縮のないエンジンの調整程、無駄な物はありませんから。

 

 

続いては「良い点火」ですが、H1系はH1-Bのみを除いて、無接点CDIを採用しているので、
あの煩わしいポイント調整から解放されます。ただし、CDIとうのはいわゆるブラックBOXですので、ポイントの様な、だんだん調子が悪くなる事などなく、いきなり死ぬ事が・・・
0か100ですので、そうゆう意味ではポイント点火は複雑な電装品は必要ないので、悩む所です。
ただ、このH1-FのCDIシステムは初期のKAに比べ、比較的信頼性は高いですね。

そして「よい混合気」ですが、最初から一番気になっていたのがこのパワーフィルターってヤツ。
H1に限らず、トリプルはノーマルのエアークリーナーBOXを取っ払っている車両を多く見受けます。
ハッキリ言います!パワーフィルターなんてストリートでは百害あって一利なしです!
このエアクリBOX様のおかげで、寒暖の差や、ひいては湿度までうまくコレがカバーしてくれているんですよね・・・
確かに、レースなどの一定の限られた状況なら、絶対吸入量が多いので有利なんでしょうが、ストリート使用では、雨も降るし、春や秋なら昼と夜の温度差は相当です。だからどんな状況でも常に「良い混合気」を供給するの為、エアークリーナボックスの装着を強くお勧め致しました。

しかし、かくいう私も16歳当時、先輩のヨツワに装着されたあの三種の神器の一つ「ソレックス」の吸気音に強烈に憧れ、エアクリを取っ払うとあのソレックスの音に似たような音になるKHの吸気音に酔いしれた挙句、エンジンを焼き付かせるという醜態を身を持って経験しています。
やはり、帰国子女のマッハにもエアクリが無い個体が多いのは、あの吸気音の誘惑には勝てないアホなマッハ乗りってのは万国共通なのですね(笑)

その2へ続く。

2ストロークマガジン

「2ストロークマガジン」

 

 

半年に一回発売されるこの雑誌、昔から発売を楽しみにしていました。
そんなマニア延髄の雑誌社から取材の申し込みを頂きました。

まさか自分が雑誌に取材されるなんて思ってもみなかったので、物凄く光栄な事なのですが、同時に緊張と不安がよぎります・・・
編集長じきじきに取材に来てくださり、聞けば、自らH2を駆り、テイストオブ筑波などのレースに参戦する凄い方です。
そんな編集長が私のKHに「後で試乗する」と言われたので、どの様な評価を頂くのか凄く心配です・・・

 

 

同行されたカメラマンのH様、どこかでお会いした様な・・・・?と記憶を辿っていくと、何年か前にたまたま立ち寄った地元の後輩が営む暴〇族専門店、失礼!(街道レーサー?と呼ぶらしい)V&Aトータルサービスのブタ目?マークⅡの撮影の時にお会いした事を思い出しました。

 

 

この後輩、大昔から車高短ひとすじの超硬派な男です。
そんな彼の迷言?「車高の低さは知能の低さ・・・」
なるほど、妙に説得力のある言葉に思わずうなずいてしまいました(笑)

 

 

話が脱線しましたが、撮影の為すぐ近くの港まで移動するも、撮影が始まった途端に雨が・・・
そんな悪天候の中、一生懸命私のKHを撮影してくれています。
本降りになりだして、試乗は中止かな?・・・と思っていましたが、さすがは生粋のマッハ乗りの編集長、どしゃ降りの中、ものともせず甲高いエキゾーストノートを奏でながら煙の向こうに消えていきました。

 

 

そして、どしゃ降りの中すべての撮影が終わった頃、雨が止むというオチまでつきました(涙)
店に戻り、お互い仕事を忘れて?トリプル談義(汗)
私がTOTを走る編集長様のH2の事を質問攻めで、どちらが取材しているのか解らない程に(笑)
でも本当は峠道で試乗してもらいたかったのですが、あいにくの天気と相まって私のKHの本当においしい所は見てもらえたかどうか・・・

今回の撮影が、次回発売の11月号に掲載されるかどうか微妙な時期らしく、不安と楽しみが入り混じって気が気でありません。
皆様、ぜひ11月中旬~下旬??には書店で「2ストロークマガジン」のご購入よろしくお願い致します。
どれ位の大きさで掲載されるかはお楽しみですが、無論、家宝とさせて頂きます。

 

 

Mr.ジェットスキーのポート考。

今日はMr.ジェットスキーこと、元川崎重工のレジェンド、F氏が遊びに来てくれました。
「ジェットスキー」とはカワサキの商標ですが、今や水上バイク全般をジェットスキーと呼ぶ程、すっかり定着した名詞となっています。

そのジェットスキーの歴史の中で、絶対に外す事のできない方がこのF氏です。
ジェットスキーの黎明期、ワークス勢と共に世界各国を股にかけ、自らチューンしたジェットスキーを駆り、チャンピオンにもなられた、ジェットスキーの父といっても過言ではないこのお方は、私にとっては「神」のような存在であり、またアレコレと私を叱ってくれる良きお師匠さんでもあります。

 

ジェットスキーの黎明期は市販モデルに、2サイクル三気筒が多く、SSやKHと共通な点が多いのです。
それもそのはず、二輪と同じ明石工場で設計、製造されていたので、汎用機事業部と二輪事業部で情報交換などよくしたらしく、師匠の周りには、かの有名なマッハやZ1の開発関係の方々など蒼々たるメンバーがズラリ!当時の開発秘話など私にとって興味深々なお話ばかりで、ただただ関心するばかりです。

またF氏はジェットスキーのワークスレーサーの開発も手掛けていた為、2サイクルエンジンのチューンにおいて凄まじい程の経験と知識を持っておられます。
せっかくコーヒーを飲みにきて頂いても。私の質問攻めで、ゆっくりくつろぐ暇もありません(笑)

今日は、掃気ポート、専門用語でスカベンジングポートと呼ぶらしいですが、その掃気ポートについてミッチリ講義して頂きました。
シュニューレポート?なる掃気ポートの曲がりや吹上げ角などなど、すべてが「目から鱗」なお話ばかりで、今までのポート研磨においての私の悩みや疑問などすべてが腑に落ちたというか、納得しまくりで、時間などアッと言う間に過ぎてしまいました。

スキッシュエリアやデトネーションに始まり、点火時期の高速遅角などなど、2サイクルを極めた者だけが知る世界に、私もまだまだヒヨッ子だという事を思い知らされます・・・
この吸気ポートの通称「のどちんこ」はリングの飛び出し防止の為にある事くらいは知っていましたが、排気ポートと掃気ポートとの関連や、主掃気ポートと副掃気ポートの役割など、マッタクもって目から鱗で、自分では昔から意味も解らず研磨していたポートですが、よ~く考えると、師匠の理論に知らず知らず近づいていた様で、少し嬉しかったりもしました。

 

そんな凄い師匠ですが、何故か?超の付くホンダファンで、ホンダSシリーズに関しても、日本一といっても過言ではないSのオーソリティーで、ウチのお店のすぐ近くで知る人ぞ知るSショップを営んでおられます。それはもう文句の付けどころのない究極のレストアを施されたS800がズラリと並ぶSマニアにとってはたまらない空間です。

http://s800garage.ko-co.jp/e208742.html

500SS KH400 トリプル専用 特殊ヘッドナット制作しました。

スタッドボルトに次いで、マッハ用、特殊ヘッドナットを制作しました

H2やS1(750SS、KH250)には採用されず、 H1とS3(500SS、KH400)などに採用された特殊なナットです。
500SSとKH400は共通部品ですので、どちらの車種でも使用OKです。

 

 

エンジンをレストアする過程で避けて通れないのがこのナットです。
せっかくシリンダーやヘッドをガラスビーズなどでブラストしてキレイにしても、
マッハシリーズではこのヘッドナットが結構目立つ為、コレが汚いとナットが浮いてしまいます。当店でも、純正の特殊ナットを再鍍金して再使用していました。

 

 

再鍍金の仕上がりを決めるのは入念な下地処理に尽きます・・・
サンドブラストで下地を整え、ユニクロメッキをかけるんですが、
やはり何度も再使用してくると、表面がザラついてしまい、メッキの仕上がりを悪くします。
それに純正の特殊ナットは柔らかく、ネジ山が緩くなった物も多く見受けられます。
いくらスタッドボルトをクロモリなどの強化品に替えても、ナットも同時に替えないと意味がありません・・・

この特殊なナットの制作には相当手間が掛かりました・・・
もちろん純正ナットは随分前に製廃になっているので、どうせ造るなら少しでもいい物をと思いSS鋼より強度のあるS45C材で製作します。
まず、大き目のS45C材のボルトのネジ山を全て削ってから、ボルトの中心に穴を開け、その穴にネジを切り、さらにボルトの頭を17mmに落とすという二度手間、三度手間を掛け製造します。

 

 

強度的には、シリンダースタッドと同じSCM鋼が理想ですが、SCM鋼とユニクロメッキの相性がよくないんです。
このナットは外からよく見えるので、どうしても純正の雰囲気を崩したくありませんでした。
だから「ユニクロ色」に拘りたかったんです。
ただ、ユニクロメッキはコストは安いのですが、耐候性がイマイチです。
どちらのメッキ処理にしようか迷ったのですが、見た目が殆ど純正のユニクロメッキとほぼ変わらず、若干でも耐候性のある三価クロメート処理を施す事で、耐候性と見た目を両立しました。

強化スタッドと組み合わせる事により、より強靭にトルク管理する事が可能です。
今後、展開しようと思っているハイコンプ仕様などにも対応できます。
何でもかんでも強化すればいいと言う物でもありませんが、エンジンを開けたなら、
スタッドとナットは精神衛生上、新品に交換しておきたいですよね。

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