KHのスイングアーム
KHのスイングアームは画像のように、旧式の砲金ブッシュで支持されています。
動きがいい訳がありません・・・
Z系でも初期のRSはブッシング支持ですが、A4かD1辺りからニードルベアリング支持に改良されています。
もちろん今頃のオートバイは、ほぼニードルベアリングで支持されています。
要はシャフトを「面」で支えるか「線」で支えるかの違いなのですが、今更ここだけベアリング化したからといって、劇的に路面追従性が上がる訳ではないでしょうが、ビ〇ーパンツよろしく「下着のオシャレ」感覚で造ってみたら、自分でもビックリするほど旋回性能が上がっているじゃ~あ~りませんか。
おそらく、一緒に交換したリアサスのおかげかもしれませんが、明らかに「サスが動く」んです!
「当時物」に拘った、こてこてカスタムも嫌いじゃない私ですが、「見えないオシャレ」も楽しいですよ。
CB1100R
元祖耐久レプリカのCB1100R
ホモロゲ取得の為、わずか全世界でRB、RC、RD合わせても5000台弱しか販売されなかった内の2台が当店に。
微妙な年式違いのRCとRDなのですが、細かな違いはKファンの私には解りません(笑)
でも35年程前、当時の新車価格が250万円以上した超高級車だった記憶が・・・当時の新車のナナハンが50万位だった事を考えるともの凄い金額ですよね~
ただどちらの機にも共通しているのは「長い間車庫で眠っていた」って事・・・
でもナントこのRD、新車からワンオーナー車なんです!!
まずはこのワンオーナー車のRDさんから目覚めて頂くとしましょう。
タンクはさすがレーサーレプリカ、なんと総アルミなので、
強烈な異臭を放つ、もはやガソリンではなくヘドロと化した物体に腐食される事もなく、清掃だけでなんとかなりそうですが、一回や二回の清掃では落ちそうもありません・・・
早くRCBレプリカの咆哮を聞いてみたい気持ちを抑え、
ドライスタートをいたわりながらの作業なので、今しばらく時間が掛かりそうですネ。
KH250 400のギア抜けについて
マッハに限らず、750から250まで全てのトリプルシリーズに言える事ですが、マッハらしい走りをすれば、必ずといっていい程ミッションがダメになります・・・
なんせ一番よく使うセカンドがダメになり、コーナーの出口などでパワーをかけると、いきなりエンジンが「ウォ~ン」となり、恐ろしやら、恥ずかしいやら(涙)
シフトミスによるオーバーレブは、ヘタをすると一番最悪な「焼き付き」と言う致命傷を引き起こす可能性が大です・・・
その原因として、クラッチの切れ不良、シフタードラムの摩耗、シフトシャフトの摩耗、リターンスプリングのへたり、シフトフォークの焼け&摩耗当等色々ありますが、やはり一番の原因はドッグの摩耗による嚙み合わせ不良です。
一番目の画像は、私が30年前、究極の負のスパイラルに陥り、挙句の果てには、シフトペダルを左足で常に保持しておかないと走れなくなってしまった時の(笑)摩耗しきったギアです。
シフターフォークの送り量の問題もありますが、パワーがミッションギアに掛かると噛み合わさったギアの部分(ドッグ部)に戻そうそうとする反力が掛かります。
正常な嚙み合わせ状態のドッグなら、問題ないのですが、摩耗により先が丸くなると、余計に抜け易くなり、負のスパイラルに陥ります。中にはドッグをアンダーカットして、逆テーパを付け抜け対策をされている強者もいらっしゃいますが本来、歯車というのは、外側が硬く、中は粘っこくなるよう熱処理されているので、アンダーカットすると、後処理に問題が残ります。
次回へ続く。
泣き所
トリプルシリーズに乗る限り、避けて通れないのが「ギア抜け」です。
非力なKH250ですら、ミッショントラブルが発生するのに、その倍以上のH1やH2なら・・・(汗)
カワサキトリプルシリーズは長兄のH2から、末弟のKH250まで基本的な構造は変わりません。
H2に限っては殆どH1とミッション強度が変わらないので、マッハらしい走りをすると、確実にミッションが逝ってしまいます。
クラッチの切れが悪いのもありますが、当時はSCM21と言う一応クロームモリブデン鋼で制作されていますが、焼き入れなど、当時は浸炭焼き入れなどが主流で、現在のSCM435+高周波焼き入れなどを施したギアとは雲泥の差があります。
どうしても、ドックが摩耗するとギアのかみ合わせが悪く、より抜け易くなり、さらに摩耗するという負のスパイラルに陥ります・・・
もちろん新品純正部品など、とうの昔に欠品となっており、中古のギアをだましだまし使うしかありませんでした。
「無いなら造るしかない!」
とはいえ、Z系みたく数を読める訳でもなく、中型でマイナーなKHのギアを制作しても売れるとは・・・
でもあきらめきれません!!
とりあえず量産するかどうかは別として、一番消耗が激しいセカンド(フォースギア)の試作品を作る事にしました。
もちろん粘りも強度も段違いのSCM435材に高周波焼き入れ+ショットピーニング(WPC処理)で完璧に仕上げ、自分のKHで長期テストをしてみたいと思います。
KH400の持病 エンジンが温まると火が飛ばなくなる
KH400の持病
カワサキトリプルシリーズはポイントレスの黎明期とあって、いろんな点火方式があります。
最初期H1のディストリビュータ方式CDIに始まり、H1Bでポイント点火に戻り、H1DでまたCDI点火になり、またすぐH1Eでブラシ式CDIに変更されています。
末っ子250シリーズのみ、コストの関係か?初期SSから最終KHまでポイント点火でした。
そんなバリエーション豊富な点火方式ですが、当時の輸出先の事情により(主に整備に無頓着な北米向け)無理に未完成な無接点方式が採用されたようです・・・
その為、フラマグ式CDIを採用したKH400は殆どの確率で点火用マグネットコイルの不具合により、「エンジンが温まると火が飛ばなくなる」と言う持病が発生します。
この症状は「400」のみ起こる症状ですが、かくいう私も30年程前、詳しい原因など解らず、「温まるとローターカバーにウーロン茶をかけて冷やす」という荒業を駆使し、ごまかしながら乗っていた記憶が(笑)
この点火用コイルはもちろん、とうの昔に製造廃止となっていますが、コイルを巻きなおす事により再生する事が可能です。
一度、きちんとやり直せば、信頼性も上がり、あの煩わしい三個もあるポイントギャップの調整から解放される無接点CDIの恩恵をあます事なく受ける事ができます。
400シリーズにお乗りの方、悲しいかな間違いなく「持病」は発生します・・・
ポイント点火には煩わしいメンテはありますが、調子を崩しても「必ずオウチに帰って来れる」というメリットがあります。
CDIは「ブラックBOX」です、どこかでエンジンがいきなり死亡し、愛車をその場に放置して帰る事なんて考えたくもありません・・・
それなりにコストはかかりますが、持病が発生する前にちゃんと予防をしましょう。
次回は、またまたトリプルシリーズの持病、「ギア抜け」についてお話したいと思います。
足回りのオーバーホール作業
地味な作業・・・
最近、当店では、よく足回りのオーバーホール作業を承ります。
フロントフォークOHに始まり、スイングアームピボットのグリスアップやステムシャフトのグリスアップなどなど・・・
この様な地味な作業は、ショップ側に限らず、お客様側としても、カスタムの様な華やかさもなく、見た目も殆ど変わらない割りに、それなりの工賃もかかる為、双方がやりたがりません・・・
かく言う私も、同じ地道な作業ならキャブセッティングなどの方が好きなんですが、ヤレた車両であればある程、コレをやると本当に見違えるように「足が動く」様になるので、引き渡し時にお客様が「全然違う!」と喜んでくれる事が唯一の励みです。
オートバイに乗る方の平均年齢がどんどん上がってきた事は、少し寂しくもありますが、地味な「整備」にキチンとお金をかけて頂けるライダーが増えた事は、オートバイが、熟成された趣味になってきたからかもしれませんね。
このような作業を、当店に依頼して頂ける事を誇りに思いながら、今一度、襟を正して作業していこうと思う今日この頃です。
最終エボリューションエンジン搭載の1998年ローライダー
ずいぶん前にサルベージしてきた最終エボリューションエンジン搭載の1998年ローライダー。
今となっては極端に登録台数の少ない正規ディーラー物のエボローライダーを「放置プレイ」するなんて・・・
しかし、ソレは想像を絶する程の長い道のりでした・・・
「走る」「曲がる」「止まる」+「なんとか観れる様にする」には相当の労力と時間を要しました。
嫁や息子まで?駆り出して「サビトリ」&「研磨」の連続です(涙)
サスペンション関係からブレーキ関係まで、徹底的に整備し、
キャブレターを全バラ清掃、完全ドライ状態になったエンジンをいたわりながら、再始動。
セル一発で、10年以上も主人を失ったエボローライダーは、再び心地よい「三拍子」を奏でだしました。
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今日はシーズカンパニーの登山さんの所へ新年のご挨拶によったら、
ナント、元カワサキ&モリワキファクトリーライダーだった多田選手がいらっしゃいました。
物凄くフレンドリーな方で、終始緊張ぎみの私に気さくに声をかけて下さったり、当時の濃~い裏話などを聞かせて頂け、本当に夢のような時間でした。
あの黄金の80年代を駆け抜けたカワサキの侍にお会いできた上、
ナント私のKHにまたがってくれて記念撮影。
それはもう家宝にさせて頂きます!
多田さんの現在の愛車がGPz750Rだったのが侍らしく、凄く印象的でした・・・
多田さん、登山さん本当にありがとうございました。
カワサキトリプル KH250 400 マッハ オーバーホール
旧車(特にトリプル系)の各種オーバーホール、まずはご相談ください。
特にマッハ系トリプルは比較的単純な2サイクルエンジンで、よもすれば「草刈り機」のエンジンとそう大きく変わりません。
ただ、やはり「ここだけは」という箇所もあるのも事実です。当店では35年間乗り続けてきた貴重な「経験」と「ノウハウ」を持っています。長年培ってきた秘儀を多様しながら、大切な宝物を未来永劫維持していく為のお手伝いができればと考えます。
カワサキトリプルの弱点である駆動系。ミッションギア、キックシャフトASSY、シフタードラムにWPC加工、必ずと言っていいほど焼けただれるシフトフォークにはWPC+Mos2加工を施し、万全を期します。
修理・レストア
華やかなカスタムなどに比べ、地味な「整備」は、掛けた費用の割りには見た目も変わらず、
お客様、ショップ双方にとってもあまり愉快なものではないかもしれません。
しかし、あえてこの様な地味な作業を施す事により、新車の様な乗り味に戻す事も可能です。
旧車だからこんなもの・・・と思って乗っていらしたお客様の車両に、「ごくあたりまえの整備」を施す事で、こんなに乗り易すかったのか・・・と驚かれるお客様もいらっしゃいます。
どうしても、外観やオリジナル度に目が行きがちです、決してカスタムを否定しているわけではありませんが、 今一度「整備」についてお考え頂ければ、もっと愛車が好きになるとトライシクルは考えます。