KHのスイングアーム
KHのスイングアームは画像のように、旧式の砲金ブッシュで支持されています。
動きがいい訳がありません・・・
Z系でも初期のRSはブッシング支持ですが、A4かD1辺りからニードルベアリング支持に改良されています。
もちろん今頃のオートバイは、ほぼニードルベアリングで支持されています。
要はシャフトを「面」で支えるか「線」で支えるかの違いなのですが、今更ここだけベアリング化したからといって、劇的に路面追従性が上がる訳ではないでしょうが、ビ〇ーパンツよろしく「下着のオシャレ」感覚で造ってみたら、自分でもビックリするほど旋回性能が上がっているじゃ~あ~りませんか。
おそらく、一緒に交換したリアサスのおかげかもしれませんが、明らかに「サスが動く」んです!
「当時物」に拘った、こてこてカスタムも嫌いじゃない私ですが、「見えないオシャレ」も楽しいですよ。
マッハ KH トリプルシリーズの都市伝説?
マッハやKHの話で何故か「真ん中が焼ける」とよく言われます・・・
がっ!しかしである。
私の経験上、何故か3番シリンダー(勝手に右から順に呼んでます本当は1番)ばかり焼き付いています。
この帰国子女のKH400もキッチリ3番シリンダーが焼きついています・・・
マッハ系のシリンダーレイアウトだけを見ると、やはり真ん中のシリンダーの冷却効率が悪く見えますが、適正なピストンクリアランスとキチンとしたオイル管理をしていれば、そうそう焼きつくという事はありません。
では何故3番ばかり焼けるのか??
それは、単純にオイルポンプから「遠い」事に尽きます・・・
どうしてもデリバリパイプも長くなり、油圧の低下やポンプワッシャーからのエア噛みなども疑われます。
また、純正オイルポンプの信頼性が低いのもありますが、
タコメーターと共にオイルポンプを駆動している、チープなプラスチック製のギアとシャフトに不具合が出ている車両も多いですね・・・
オイルさえ切らさなければ、そうそう焼きつく物ではないハズなんですが・・・
そうやって永い間にマッハの「都市伝説」として拡散していったのでしょうね・・・
みなさん、くれぐれも「真ん中」ではなく、「3番」に気を使ってあげて下さいね!
CB1100R
元祖耐久レプリカのCB1100R
ホモロゲ取得の為、わずか全世界でRB、RC、RD合わせても5000台弱しか販売されなかった内の2台が当店に。
微妙な年式違いのRCとRDなのですが、細かな違いはKファンの私には解りません(笑)
でも35年程前、当時の新車価格が250万円以上した超高級車だった記憶が・・・当時の新車のナナハンが50万位だった事を考えるともの凄い金額ですよね~
ただどちらの機にも共通しているのは「長い間車庫で眠っていた」って事・・・
でもナントこのRD、新車からワンオーナー車なんです!!
まずはこのワンオーナー車のRDさんから目覚めて頂くとしましょう。
タンクはさすがレーサーレプリカ、なんと総アルミなので、
強烈な異臭を放つ、もはやガソリンではなくヘドロと化した物体に腐食される事もなく、清掃だけでなんとかなりそうですが、一回や二回の清掃では落ちそうもありません・・・
早くRCBレプリカの咆哮を聞いてみたい気持ちを抑え、
ドライスタートをいたわりながらの作業なので、今しばらく時間が掛かりそうですネ。
マッハ KH トリプルシリーズ共通キックスプリング
カワサキトリプルシリーズ全車種共通キックリターンスプリング。
かねてから純正部品が欠品状態だったトリプル全車種共通のキックリターンスプリングを制作いたしました。
当初、純正よりバネ乗数を上げ、強化品として作る予定でしたが、現在のスプリング用の素材は、当時より格段に良くなっていると製作担当者の方にアドバイスを頂き、高級スプリング素材である、いわゆるピアノ線と呼ばれるSWP鋼にて制作いたしました。
もちろん、某大手メーカー様に納入実績のある国内工場にて企画、生産しておりますので、安心して愛車の心臓部にご使用頂けます。
* 現在欠品中です。
KH250 400のシフトフォークについて
KH250に限らず、マッハ系トリプル全車に言えるんですが、バラせば間違いなく4TH&TOPフォークが焼けただれています・・・
恐らく4TH&TOPフォークはケース上部に着く為、オイルの潤滑に問題があるのかもしれません。
もちろんKH250の純正部品はありませんので、新たに作るか、現物を修理して使うしかありません(涙)
さすがにフォークの新造となると、コストがかかり過ぎるので、試作的に特殊溶接による「肉盛り」をして頂きました。
素材との相性や、熱による歪などを考慮しないと、後で使い物にならなくなります。肉盛りの作業には長年の勘と熟練の技術を要します。
肉盛りが完了したら、フライスで修正しますが、やはりこの一連の作業もコストとの兼ね合いが・・・
う~ん・・・Z系みたく、数が読めれば、新造するんやけどね・・・
泣き所
トリプルシリーズに乗る限り、避けて通れないのが「ギア抜け」です。
非力なKH250ですら、ミッショントラブルが発生するのに、その倍以上のH1やH2なら・・・(汗)
カワサキトリプルシリーズは長兄のH2から、末弟のKH250まで基本的な構造は変わりません。
H2に限っては殆どH1とミッション強度が変わらないので、マッハらしい走りをすると、確実にミッションが逝ってしまいます。
クラッチの切れが悪いのもありますが、当時はSCM21と言う一応クロームモリブデン鋼で制作されていますが、焼き入れなど、当時は浸炭焼き入れなどが主流で、現在のSCM435+高周波焼き入れなどを施したギアとは雲泥の差があります。
どうしても、ドックが摩耗するとギアのかみ合わせが悪く、より抜け易くなり、さらに摩耗するという負のスパイラルに陥ります・・・
もちろん新品純正部品など、とうの昔に欠品となっており、中古のギアをだましだまし使うしかありませんでした。
「無いなら造るしかない!」
とはいえ、Z系みたく数を読める訳でもなく、中型でマイナーなKHのギアを制作しても売れるとは・・・
でもあきらめきれません!!
とりあえず量産するかどうかは別として、一番消耗が激しいセカンド(フォースギア)の試作品を作る事にしました。
もちろん粘りも強度も段違いのSCM435材に高周波焼き入れ+ショットピーニング(WPC処理)で完璧に仕上げ、自分のKHで長期テストをしてみたいと思います。
トリプルシリーズCDI考(その2)
KH400乗っている限り、避けては通れない持病、エキサイターコイル不良なのですが、それについてあ~だこ~だと悩んでいた所、たまたま当店に、元川重開発部にいらっしゃいました巨匠がエスハチに乗って遊びに来てくださり、当時の開発秘話を聞く事ができました。
KH400はフラマグCDIとなっており、チャージコイルで発生させた電流を使って点火する為、バッテリーが内部ショートでもしない限り、バッテリーが上がった位では問題なくエンジンはかかります。
2個の発電用コイルと1個の点火用コイルがあり、フライホイールには6個の永久磁石が貼り付けられており、点火用コイルは二段になっています。下段のチャージコイルで発電し、上段はエキサイターコイルになっています。
三個のコイルの一つ分とフライホイールのマグネット一枚の大きさが同じになっていて、120度間隔に配置されたパルサーコイルでクランク角を検出して火を飛ばしています。
下中央の画像は、H1EやH1Fなどに採用されたブラシ式?のユニットですが、これは三つあるカーボンブラシにより分配されます。
初期ディストリビューター式に比べ、空中放電が無い分ロスは少ない上、浸水によるリークの心配もなくなりますが、カーボンブラシが消耗してしまいます・・・
その為、最後発のKH400のシステムがいいように思えますが、
この三個のコイルのうち、V字型に配置された発電コイルのニクロム線はそれなりに太いのですが、点火用エキサイターコイルには樹脂で保護されているとはいえ、かなり細いニクロム線で巻かれています。それにKHのカバーにはなぜか画像の→の位置に、切り欠きがあり、そこから雨水が侵入しやすくなっている気もします・・・
バラされた点火ユニットを見て巨匠曰く「当時はAC-DCやからな・・・」と
ヘビメタ??かな?と思いきや、交流→直流の意味だそうで、現在のシステムはDC-DCらしく、直流でユニットにきているそうです。
近年の高性能レギュレートレクティファイヤーとDCユニットを組み合わせれば、現在のシステムが流用できるかも??
今後の課題として、本当に目から鱗のお話をタイムリーに聞く事ができました。
KH400の持病 エンジンが温まると火が飛ばなくなる
KH400の持病
カワサキトリプルシリーズはポイントレスの黎明期とあって、いろんな点火方式があります。
最初期H1のディストリビュータ方式CDIに始まり、H1Bでポイント点火に戻り、H1DでまたCDI点火になり、またすぐH1Eでブラシ式CDIに変更されています。
末っ子250シリーズのみ、コストの関係か?初期SSから最終KHまでポイント点火でした。
そんなバリエーション豊富な点火方式ですが、当時の輸出先の事情により(主に整備に無頓着な北米向け)無理に未完成な無接点方式が採用されたようです・・・
その為、フラマグ式CDIを採用したKH400は殆どの確率で点火用マグネットコイルの不具合により、「エンジンが温まると火が飛ばなくなる」と言う持病が発生します。
この症状は「400」のみ起こる症状ですが、かくいう私も30年程前、詳しい原因など解らず、「温まるとローターカバーにウーロン茶をかけて冷やす」という荒業を駆使し、ごまかしながら乗っていた記憶が(笑)
この点火用コイルはもちろん、とうの昔に製造廃止となっていますが、コイルを巻きなおす事により再生する事が可能です。
一度、きちんとやり直せば、信頼性も上がり、あの煩わしい三個もあるポイントギャップの調整から解放される無接点CDIの恩恵をあます事なく受ける事ができます。
400シリーズにお乗りの方、悲しいかな間違いなく「持病」は発生します・・・
ポイント点火には煩わしいメンテはありますが、調子を崩しても「必ずオウチに帰って来れる」というメリットがあります。
CDIは「ブラックBOX」です、どこかでエンジンがいきなり死亡し、愛車をその場に放置して帰る事なんて考えたくもありません・・・
それなりにコストはかかりますが、持病が発生する前にちゃんと予防をしましょう。
次回は、またまたトリプルシリーズの持病、「ギア抜け」についてお話したいと思います。
3月になると、当店では、なぜか車の入庫が多くなります。
車検で入庫したライフですが、入念にチェックした甲斐か?マスターシリンダーからのブレーキオイルの漏れを発見。
ブレーキを構成する重要な部品なのですが、外してよく観察すると、ブレーキ倍力装置のサビ具合から判断すれば、ずいぶん前から漏れていた可能性が・・・
整備点検記録簿を見る限りこの車両は、前回某ディーラーにて車検したはずなのですが、本当に危ないところでした・・・
まさに昨今の車検価格の崩壊による悪しき一例かもしれません。
ディーラー整備士なんて、時間に追われ、効率のみ求めてられて、廻りを洞察する余裕なんてある訳がありません・・・
挙句の果てには、6本あるプラグが「3本だけメーカーが違う」という暴挙まで・・・これは明らかに6本交換するのが面倒くさかったのでしょう。
しかし、マスターシリンダーのインナーキット交換なんて何年ぶりでしょう・・・
昭和の頃の車は、2~3年もすれば、マスターからブレーキフルードが漏れるのは当たり前の事で、まだ見習いだった私は兄弟子達に怒鳴られながら作業したイヤな思い出が蘇ります(笑)
しっかし、なんでホンダ車ってタイミングベルトを交換するだけにここまでバラさんとアカンねん!
整備性の悪さは結局高額な工賃となって消費者に帰って・・・
イヤイヤ、価格競争の煽りで工賃に転嫁できる訳もなく、泣くのは場末の工場だけって話やね・・・(涙)
レガシーB4
先日、USS名古屋で購入したレガシーB4。
希少なGT-Bの5速M/T。13年も経っていますが、走行距離は3万9千Kmしか走っていない程度の良い車両です。
車検も通し、納車に向けて入念に整備します。
スバル伝統の水平対向エンジンは、整備士泣かせのエンジンです。
消耗品を徹底的に交換するんですが、水平対向ゆえ、いかんせん手がはいりません・・・クラッチフルードを交換するにも、インタークーラーまで外さないといけない始末。
やっと完成と思った矢先にマルチインフォメーションディスプレイとやらがいきなり壊れました(涙)
急遽、スバルの友人に聞くと、「あっそれ、レガシー全部なるで~まぁ持病みたいなもんやな ♪ 」と軽~く言ってくれます。
トドメは「メーカ対策部品みたいやから、部品代12000円くらいで済むで~」
オイオイ、なんで対策部品が一万超えんねん・・・(汗)
こうなると、またもや変に闘志が湧いてきます。
絶対「修理」してやる!!
どうせ、失敗しても元やし、とっととバラします!
この手の電子部品の不具合は、ほとんどが基盤のハンダ割れによる通電不良です。流石にどの部分の不良なのかは、老眼で近場がほとんど見えなくなったアラフィフの視力では判定不可能(涙)なので、可能な限り接点をハンダしまくりました。
いつものドキドキの瞬間・・・
キーを廻して、思わずガッツポーズ!
真っ黒だったディスプレイが再び光を取り戻しました。