KH250&350SS用ボルトオンCDIキット 試作編
長らくお待たせ致しておりますKH250用CDIキットですが、
お問合せの多さに責任を痛感していますが、正直、色々な事に壁にぶち当たっている状況です・・・
「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで四歩下が~る」・・・戻っとるがな(涙)
自分でボケて自分でツッコみながら、次々と湧き上がってくる問題に戦々恐々です・・・
ひとつ問題を解決できたと思ったら、また別の問題・・・
モノ造りとはそういう物かもしれませんが、自分の知識の浅はかさを痛感する日々です。
でもそんな時、アースをミスった二次電流がボクの体内を流れ、指先から「バチッ!」と今まで経験したことのない激痛が走ります!
かなりの痛さなのに、こんなに強いんや!!とニヤける私を他人が見たら間違いなく「変態」扱いなのでしょうね(笑)
唯一のより所は、「強力な点火による調子の良い原動機になる補器の製作」に尽きますから・・・
フツーのバイク屋では見た事もない、まるでネズミ捕りレーダーの様な計測機器を駆使してテストしていきます。
オシロスコープの波形を何度も確認し、実車に取付け確認します。
先程、指先を走った激痛よろしく、コンデンサーから一気に放出される強力なスパークは、キック一発でいとも簡単にトリプルを目覚めさせました。
コレはいける!!と確信し、今までの苦労が報われる瞬間です・・・
とはいえイニシャルタイミングの設定や、配線の取り回し、完全ボルトオン化、量産化、耐久テストなどなど、まだまだたくさんの課題が山積みです・・・
順風満帆とはいかない開発に、誰かの猿真似や、どこかの製品をパクれたらこんな苦労は無いねんけどな・・・とボヤいた瞬間、社長から即答「パチもんには魂が宿らん・・・」と言われ目が覚めた思いです。
ふと見上げたメーカーさんのガレージで炎天下の中、今もなお快適な空間を作ってくれているこのクーラー、恐らく平成どころか昭和から働き続けてるであろうそれに、あえて「エアコン」とは呼ばず、敬意を込めて「クーラー」と呼ばせて頂きたい。
私の製品もこのクーラーの様に、草葉の陰からずっと末永く支え続け、そこに魂が宿るモノ造りでありたいと願って止みません。
またまた棚の肥やしを生産中。
ここんとこ忙しすぎて「ニッチモサッチモいかない」という言葉がありますが、まさにそんな出来事が・・・
この画像を見て何の部品か解る貴方は相当のマッハマニアな方です・・・
ほんでもって、このビミョーに違うカラーの役目が解る貴方は、もはや病的な猛者ですネ(笑)
でもって、何がにっちもさっちも行かんかというと、始まりはこのクランクの端についているカラーでした。
このカラー、右側のクランクシールが入る所なんですが、ここはミッションオイルに浸かっているので潤滑はもちろん、サビなど無縁に思えますが、なぜか傷や虫喰いが多くみられます。
こんな感じでオイルシールに接触しているのですが、ここのシールがうまくいかないとミッションオイルをここから吸ってしまい、ただでさえ煙たいトリプルなのに煙幕が止まらない車両となります。
そこで、「無い物は造る」そんな言葉がよぎります・・・
いつものようにウチのワンオフパーツを作ってくれる旧車友達のフーリン(製作者の愛称)を工場に呼び、ここんとこ死ぬ程忙しい上、図面の苦手なボクは「コレ作って~」って完全丸投げ状態。
すると2~3日して、「今回ワイヤーカットの工程が必要やから、チョット高くなるで」と連絡がありました。
なんでワイヤーカッターの工程がいるんやろ??と一瞬だけ脳裏をかすめましたが、もう何十年もの旧車仲間なので、彼には全幅の信頼をおいているのもあって二つ返事で完了。
で、出来上がったブツがコレなんですね・・・
最初はさすがフーリン!見事な出来栄えやね~と感心。
当初45Cで制作予定でしたが、そこは妥協せず551ホーライよろしくSKD11という金型などによく使われる高クロム系素材で制作。傷や腐食のない端面にウットリしていると、何か妙な違和感を感じます・・・
「なんや?このキー溝は??」
間違いに気が付いたその時、呆然としてしまいました・・・
そうです、前の打ち合わせの時、間違いなく私はこの部品をフーリンに渡しています・・・
発注前によく似たカラーの話をしていたのと忙しさのあまり製作部品をよく確認せず渡してしまったんです。
もう病的なマニアの方?ならお判りと思いますが、この部品は初期型500SSで採用されていたデストリビューターを無くした、H1B以降の500SSに採用されたデスビ駆動ギアの代わりに入れられるカラー、いわゆる92027-019なんですね。
H1B以降H1Fまでの500SSに使用されますが。こんなもん、無くさん限り必要のない部品やんけ!(涙)
この左から二つ目を造るつもりだったのに、出来上がってきたのは一番右の部品・・・
まだ左側の部品と間違ったのなら許せますが、キー溝があるやんけ!ってな感じで間違った自分を責めるしかありません・・・
ただでさえ売れないトリプルの部品・・・それでも採算度外視で作ってきたのは、「自分が使いたいから」の一点のみで信念を持って作ってきました・・・でもまさか自分が別に欲しくない部品まで作ってしまうなんて・・・
仕事が終わってからいつも嫌な顔一つせず付き合ってくれるフーリンにさすがにこの事は言えず、またまた棚の肥やしとなりそうです・・・
やはり忙しい時こそ「再確認」が大切って事を身に染みて感じた今日この頃です・・・合掌