番外編。GW、6輪オフ車釣りング。
お陰様で、ここ最近ず~っと超忙しく、ほとんど休み無しで作業していた為、GWは山にこもって心身共にリフレッシュ!
旧車乗りの方、特にウチのお客様にはあまり興味がない内容かもしれませんが、実は私、KHと同じ位オフ車も大好きなんです。
今回、トランポにもう一台の愛車、スーパーシェルパを積んで、渓流釣り&キャンプ&ゲロ道アタックという一粒で三度オイシイ4輪+2輪=6輪釣リング(6ツー)をご紹介したいと思います。
いわゆるこの6ツーなんですが、コレを一度でも経験すると、もう自走なんて・・・
バイク乗りの方なら解って頂けると思いますが、いくらハーレーだろうが、リッターバイクであろうが、快適さだけで考えると軽トラですら絶対かないません。バイクと違い、渋滞の心配もありそうですが、渋滞しそうな街中とはマッタク逆方向へいくので、渋滞の心配など皆無です。
軽トラとて、快適な空調はもちろん、疲れの最大の原因、風圧なんて皆無!!それにあの三角木馬よろしく鬼のようにケツの痛いOFF車のシートに比べれば軽トラですら天国です。
今回は旧車屋だけに?今やもう見る事もめっきり減った100系ハイエースで行きましたが、普段は実家のハイゼットにルーフキャリアを付けて6ツーしています。
この時は二人で岐阜まで6ツーした画像で、ルーフにも荷物満載、オッサン二人がひしめき合って乗車していますが、それでもバイクで自走よりはるかに楽チンなんて一般のバイクに乗らない方には理解不能でしょうね。
コレが今回の主役、これまた不人気車の殿堂カワサキ スーパーシェルパ。
コイツとも今年でもう20年の付き合いになりますが、飽きるどころか、ますます惚れこんでいます。
最初、本当はこのクラスの王者、セロー225WEが欲しかったのですが、カワサキキチの私にはコレしか選択の余地はありませんでした(涙)
昔は、この「トレッキングバイク」の見た目がどうしても受け入れられなかったのですが、一度乗ったらこんなオモロイ乗り物はありません!オフ車の割りに車高が低く、どちらかと言うとトライアル車に近い性格です。
その車高の低さからくる足つき性の良さは、二輪二足と言う言葉を生みだし、両足で地面を漕ぎながら悪路を走破できます。
足つき性がよければ、どんな道にも躊躇なく入っていけます、そう子供の頃、色んな道に自転車で入っていったあの感覚・・・童心に帰って探検ごっこが可能なんです。
この車両も例に漏れず、BEETボアアップキット、ハイカム、FCR35と、もはや別物のパワーですが、それでいて極低速性能はそのままどころか、逆に乗り易いのが素晴らしい・・・
今回は、昔よく行ってた鳥取県の某源流へ、林道を奥へ奥へと進めます。
2駆の私のハイエースではスタックしてしまう箇所もありましたが、必需品の牽引ロープで乗り切ります。
途中、今晩のご馳走、タラの芽を採ります。このタラの芽の天婦羅は絶品です。
従兄弟の自作タラの芽獲り器が大活躍!廃物利用ですが秀逸です(笑)
現地に着いたら、これまた今晩のご馳走の狩りに源流へと入ります。
車止めから先、もっと奥へと進入できるアドバンテージはトレッキングバイクの特権かもしれません。
人スレしていない上、今回は雨後という最高のコンディションにも恵まれ、入れ食い状態です。
着水と同時に獰猛な岩魚が飛び出してきました。
源流独特の天然物岩魚の美しい魚体に、しばし見とれてしまいます・・・
尺越えをGET!素晴らしい魚体です。
自分達が食べる分だけキープし、あとはリリース。
寝床を営設します、もちろんキャンプ場のような水道やWCなんてございません!たまにキャンプ場で発電機などを持ち込む輩も見受けますが、不自由を楽しむのがキャンプ、それならコテージかホテルで寝ろ!と思うのは私だけでしょうか?
まぁ、子供さんや女性の事を考えるとキャンプ場は仕方がないと思いますが、旧車を楽しまれる皆さんは、せめて、LEDランタンだけはご遠慮願いたいですね!LEDは確かに便利ですが、あの冷たい青白い光は、どんな時でもエンジン一発で始動するフューエルインジェクション車のようで・・・ガソリンランタンの温かい光とシュコ~という燃焼音は旧車乗りなら虜になる事間違いありません(笑)
キャンプの醍醐味、焚き火を囲んでの宴です。TVも携帯もない夜、これぞプライスレス!
気の置けない仲間と、とっておきの日本酒で乾杯!この至福のひと時が私をキャンプへと駆り立てます。
行きがけの駄賃代わりに頂いたタラの芽は天婦羅に。
最近ではスーパーでも手に入るようになった山菜ですが、山菜こそ鮮度が重要です。
とうてい同じものとは思えない美味しさです。
岩魚の塩焼き&骨酒。
焚き火の煙で適度に燻された塩焼は絶品。意外に岩魚はアマゴよりあまりクセがなく美味しいんですよ。
飯ごうで炊くご飯もまた格別です。コツはお米をといでから直ぐに火にけるのではなく、
少し漬け込んでから炊くと、ふっくら美味しいご飯が炊き上がります。
二日目は第3の目的「ゲロ道アタック」です。
ここはそうでもありませんが、ガレガレの獣道を二輪二足で突き進みます。
倒木や丸太超えなど、時には、茂みの中に突入する事も。
今回も私が大転倒をしてしまい、あわや大怪我をするところでした(汗)
ハンドガードがないと、クラッチレバーは枝にひっかかったり、いきなりブレーキがかかったりして危険ですので、必需品ですね。
これも低車高のトレッキング車ゆえ、なせる芸です。
ガレ道は本当に自分が単車に乗れていない事を痛感します・・・
基本であるはずのバランス感覚・・・オフ車に乗って、単車に乗せられていたんだなと改めて思います。
沢渡りは気持ちいいですね・・・マイナスイオンに癒されます。
日頃、街中で煙幕を撒き散らして走っている事に、危うく反省してしまう所でした(笑)
走る事、小1時間、ガレ道最終地点に到着しました。
標高が高いので、気温は結構低いはずですが、頂上に着く頃にはすでに汗だくになっていました。
最終地点に着いて、思わず「ワシら、ええ歳こいて、一体何しとんねん!」と言うと、思わず二人共大笑いしてしまいました。
ホント、ここまで走っても何の意味もありませんが、ガレ道を走破した達成感と、心地よい疲労が、妙な笑いを誘発したんだと思います。
おそらく登山家よろしく「そこに道があるから」走ってしまうんでしょうね(笑)
今回、番外編で、旧車にマッタク関係ないネタでしたが、二輪のおもしろさにジャンルなんてありません。
大のオッサン二人、本当に一日遊びまくることができるのが二輪の楽しさです。
オフ車に興味の無い方にこそ見て頂き、少しでもオフ車の楽しさを知って頂ければ幸いです。
特に、スマホで最後まで閲覧頂いた方、本当にお疲れ様でした(笑)
高速ロック その2
前回は「高速ロック」について書きましが、では何故「焼き付く」のでしょうか?
焼き付きの原因は色々ありますが、中でも一番多いのが潤滑不良による焼き付きです。
2サイクルエンジンはその構造上、どうしても4サイクルエンジンに比べ不利ですが、潤滑さえ順調であれば、そうそう簡単に焼き付くものでもありません・・・
では何故潤滑不足になるのかは以前このブログでお話ししましたので割愛させて頂きますが、オイルによる潤滑をキチンと行う為に、混合ガソリンを使うという事も常々ご提案させて頂いております故、ここでは「焼き付きにくい」エンジンについてお話します。
ではどのようにして焼き付きにくいエンジンにするかというと、潤滑が上手くいかないなら、潤滑しないといけない物を、多少潤滑が滞ったとしても大丈夫なようにしてあげれば良い訳です。
そこで白羽の矢が立ったのが、WPC処理という技術です。WPC処理というのは、いわゆるショットピーニングの一種で、不二製作所の商標名です。
誤解を恐れずに説明すると、小さな鋼球を超高圧で被加工物に打ち付け、焼き入れと焼きなましを同時に行い、そしてその打ち付ける鋼球にモリブデン系の粒子を含ませ、被処理物を自体に潤滑性のある物質を染み込ませるという魔法の様な処理です。
右がノーマルピストン、左がWPC処理を施したピストンです。黒光りしたナニはまるで・・・
いえ、その黒光りの正体はモリブデンで、モリブデンとはグリスなどでお馴染みの滑りやすい物資です。随分昔から、ピストンスカート部にモリブデンにコーティングなどの処理もありましたが、摩耗によりコーティングが取れてしまうという問題もありました。
WPC処理はその金属の中にまで浸透するので、少々摩耗しても効果が薄れにくいそうです。
WPC処理も決して最新の技術という訳ではありません、私も商品名くらいは知っていましたが、どうもこの手の加工には夜中のTVショッピングよろしく大げさな表現で暗示にかからせられる様な気がし、それなりに高価なコストと相まって、なかなか触手が動きませんでした。
ところがある時、バイクではなく車なのですが、あの伝説のエンジン、日産L型エンジンにハマりまくっていた私は、9.8mmリフトという禁断の超ハイリフトカムに手を出します。
するとハイリフトカムを組むとバルブスプリングが固すぎたのもありますが、カム山が削れるというトラブルに遭遇します。
やはりその頃、他の人もハイリフトカムによるカム山の削れに悩まされた方は多く、まだネットも無い時代ですので、口コミで知った対策がオイルをモチュールの300Vを使うという事でした。
なるほど300Vを使うとカム山は削れなかったんです。その時はスゴイぞ300V!と喜んだのですが、当時からリッター3000円強というこれまた驚愕なお値段な上、ハイチューンエンジンとなれば、ゼロヨン何回かで油圧が下がってしまうという始末・・・
それに車はオイル容量が半端ではありませんので貧乏人の私が入れ続ける事は・・・
そしてある時、友人のL型でWPC処理を施したカムは、通常のオイルでもカム山は削れなかったんです・・・
そしてあの高速ロックをみまってガレージで長い間眠っていた私のKHが思い浮かびました。
もしかして、この処理は旧車にこそ価値があるのかも・・・
そして、その頃にはWPC処理はオートバイのレースで実績を挙げていたので、私のKHにも施工してみました。
組み上がって感じた事は「中低速が扱い易くなった」という事でした。もちろんこの処理で飛躍的にパワーが上がる訳ではありません、しかしこの後、私がWPC教という宗教に?入信するきっかけが訪れます。
それは一時期、トライアルごっごにハマり、愛車スーパーシェルパでゲロ道アタックに狂っていた私は、久しぶりに乗ったKHにナント!オイルを入れるのを忘れて走ってしまっていたんです・・・
今では考えられませんが、当時の2サイクル車にオイル警告灯なんて親切な装備はありません。
オイルタンクの窓でオイルが入っているか確認するしかないですが、その時はシェルパと同じように勘違いして油量の確認もせずKHでツーリングに出かけてしまったんです。
なんか今日はエンジンがおかしいな・・・と思いながらもすでに何十キロと走っていたその時、バックミラーに映る風景を見て青ざめました。その時になって、初めてオイル窓を確認していなかった事を思い出したんです・・・
やってもた・・・
でも意に反しエンジンは調子良くフツーにかかっています。たまたますぐそこにスタンドがあったので、2サイクルオイルを補充して事なきを得ました。
それからもずっと調子が良いので、未だエンジンは開けていませんが、もしWPC処理をせずに組んでいたら・・・
また、あの考えただけでも恐ろしい、高速ロックに見舞われていたかもしれません。
未だ調子が絶好調なので、開けるのは躊躇しますが今後の為、腰上だけでも開けてみて後日UPする予定です。
何キロ程オイルなしで走ったのかは不明ですが、ピストンやシリンダーの状態など興味津々です。
それ以来、私はWPC教の熱心な信者となりました。もちろんもう一台の愛車、スーパーシェルパにもWPC処理を施しています。
嫌がる従弟のセロー225にも無理やりWPC処理をしたところ、非力な小排気量車程、効果が解りやすく、あれほど拒否していた従弟でさえ、今になるとWPC処理は素晴らしい!やって良かったと言います(笑)
他にもいろいろエンジン部品の加工や、新しい技術などは日進月歩ですが今の所、焼き付きに対し、費用対効果が凄く高いのがWPC処理と言えます。
それくらい効果絶大?のWPC処理ですが、もうひとつ焼き付かせない為に大切な事があります。
それがピストンクリアランスです。
ウチでもう何度もボーリングに出してるなじみの内燃機屋さんでさえ「油すき間、百分の五でええか?」と聞かれます。
今や4サイクルエンジンでは0.02というクリアランスのエンジンがある位です。
ハイシリコンピストンやメッキシリンダー、ひいてはショートピンハイト化によって近年ピストンクリアランスはどんどん狭くなってきています。
クリアランスを小さくできると、圧縮はもとより、リング音も小さくでき、いいことだらけの様ですが、熱的にも潤滑的にも不利な空冷2サイクルエンジンのマッハ系に、現行のピストンクリアランスでいい訳がありません・・・
ましてやボア径の小さいS系と同じ3気筒で排気量の大きいH系などが同じクリアランスな訳がありません。
厳密にいうと、250と400でも全くピストンクリアランスは違います。
なのに、内燃機屋さんでは一般的に0.03~0.05という数値で仕上げる事が多いですね。
そりゃ、よく考えてみると今では一般の内燃機屋さんに2サイクルエンジンが入ってくる事なんてほとんど無いでしょうし、世代交代が進み2サイクルエンジンすら知らない平成生まれの職人さんがいても不思議ではありません。
また、エンジンの組み方でも多少は焼き付きにくいエンジンにすることができます。
このオイルシールに書かれた線の意味が解る貴方は相当病的なマッハマニアです(笑)
この線の意味についてはおいおいUPする予定ですが、シリンダーにノックピンのないエンジン故、ネジの締め方などなど・・・
このシールの事だってマニュアルには一切載ってないんです・・・
秘儀とまではいいませんが、ツボを押さえて組まないと、「焼き付きやすいエンジン」になり兼ねませんから。
そして最後は、「焼付かせにくい運転」についてです。
巷でマッハ系を見かけると、どうも過保護にしすぎているのか、まるでハーレーかと思う位に早め早めにシフトアップする御仁・・・
俗に言う「4スト乗り」というんでしょうか?思わず「2ストやねんから、もっとブチ回さんかえ!」と心で叫んでしまいます(笑)
2サイクルエンジンやロータリーエンジンは、必ずしも低い回転で走る方がエンジンに良い訳ではありません。
かといって私のように、親の仇といわんばかり常にブチ回しているのもどうかと思いますが(笑)
2サイクルというのは、ある程度決まった回転域でないと掃気や排気がうまくいきません。
リングの廻りやマフラーにカーボンが溜ったり、農機具などでは、ピストン頭部にもカーボンが蓄積し、圧縮比が変わって異常燃焼する個体もありましたから。
だから、実は「運転」で焼き付きは一番変わってくるのかもしれません・・・
4サイクルから乗り換えた方に多いのですが、2サイクルエンジンで過度のエンジンブレーキはご法度です。
もともと2ストはエンブレが効きにくく、主ブレーキさえも効かないときて、必要以上にシフトダウンをする方もいらっしゃいますが、分離、混合に限らず、混合気によって冷却および潤滑をしている2サイクルエンジンにとって過度のエンジンブレーキは命取りです。とはいえ、局度なエンブレでなければ、シフトダウン時にチョット多い目にアクセルを煽っておけば大丈夫です。
なんせ焼き付く手前で必ず前兆があるはずです、要はなんかおかしいと感じたら、すかさずアクセルを閉じて下さい。
そうすれば焼き付いたとしてもダメージは少なくて済むし、なにより安全です、うまく表現できませんが、アクセルを開いているのにいつもより力がないとか、なんとなくモーモ言う?(笑)と感じたら、アクセルを閉じて下さいね。
長文になりましたが、皆様に「高速ロック」だけは、経験して欲しくありませんから・・・