KH400 250用 強化スプリング
大変お待たせ致しました。
本当に何度も試作の上、納得のいく製品が出来上がりました。
あくまでストリートを気持ちよく走れるようなレート設定になっています。
ブレーキング時のノーズダイブを押さえ、峠道などのコーナーでよく踏ん張ります。
初期の動きも良く、ストロークするごとに腰が出てくるような感じです。
特に、タンデム時の安定感は特筆物です。タンデム乗車時では普通に走るのでさえ大変だったKHのフロントサスですが、このサスに交換する事で安心してタンデムライドを楽しんで頂けると思います。
フロント1台分2本 税込み15980円(税抜き14800円)
ヘタリにも強い高級バネ材SWP-V鋼に、更にショットピーニング処理を施しています。
大手メーカーにも納入実績のある国内工場にて生産しておりますので、安心してご使用頂けます。
コーナリング時の路面追従性の向上の為、ノーマルより若干長く設計、若干プリロードがかかるようにしています。
もちろん、スプリング組み込み時に、なんとか手のみでフォークトップナットが締まるようにも考慮しています。
ブレーキ強化されている方はもちろん、フロントフォークOH時に、ヘタったノーマルスプリングからのリプレイスメントパーツとしてもお使い頂けます。
最終型ですら40年以上経つKHシリーズですが、ほとんどの車両が一度もスプリングを交換されていません。
ヘタリきったノーマルから交換して頂けると、たかがスプリングですが、見違えるように走りが変わります。
高速ロック その2
前回は「高速ロック」について書きましが、では何故「焼き付く」のでしょうか?
焼き付きの原因は色々ありますが、中でも一番多いのが潤滑不良による焼き付きです。
2サイクルエンジンはその構造上、どうしても4サイクルエンジンに比べ不利ですが、潤滑さえ順調であれば、そうそう簡単に焼き付くものでもありません・・・
では何故潤滑不足になるのかは以前このブログでお話ししましたので割愛させて頂きますが、オイルによる潤滑をキチンと行う為に、混合ガソリンを使うという事も常々ご提案させて頂いております故、ここでは「焼き付きにくい」エンジンについてお話します。
ではどのようにして焼き付きにくいエンジンにするかというと、潤滑が上手くいかないなら、潤滑しないといけない物を、多少潤滑が滞ったとしても大丈夫なようにしてあげれば良い訳です。
そこで白羽の矢が立ったのが、WPC処理という技術です。WPC処理というのは、いわゆるショットピーニングの一種で、不二製作所の商標名です。
誤解を恐れずに説明すると、小さな鋼球を超高圧で被加工物に打ち付け、焼き入れと焼きなましを同時に行い、そしてその打ち付ける鋼球にモリブデン系の粒子を含ませ、被処理物を自体に潤滑性のある物質を染み込ませるという魔法の様な処理です。
右がノーマルピストン、左がWPC処理を施したピストンです。黒光りしたナニはまるで・・・
いえ、その黒光りの正体はモリブデンで、モリブデンとはグリスなどでお馴染みの滑りやすい物資です。随分昔から、ピストンスカート部にモリブデンにコーティングなどの処理もありましたが、摩耗によりコーティングが取れてしまうという問題もありました。
WPC処理はその金属の中にまで浸透するので、少々摩耗しても効果が薄れにくいそうです。
WPC処理も決して最新の技術という訳ではありません、私も商品名くらいは知っていましたが、どうもこの手の加工には夜中のTVショッピングよろしく大げさな表現で暗示にかからせられる様な気がし、それなりに高価なコストと相まって、なかなか触手が動きませんでした。
ところがある時、バイクではなく車なのですが、あの伝説のエンジン、日産L型エンジンにハマりまくっていた私は、9.8mmリフトという禁断の超ハイリフトカムに手を出します。
するとハイリフトカムを組むとバルブスプリングが固すぎたのもありますが、カム山が削れるというトラブルに遭遇します。
やはりその頃、他の人もハイリフトカムによるカム山の削れに悩まされた方は多く、まだネットも無い時代ですので、口コミで知った対策がオイルをモチュールの300Vを使うという事でした。
なるほど300Vを使うとカム山は削れなかったんです。その時はスゴイぞ300V!と喜んだのですが、当時からリッター3000円強というこれまた驚愕なお値段な上、ハイチューンエンジンとなれば、ゼロヨン何回かで油圧が下がってしまうという始末・・・
それに車はオイル容量が半端ではありませんので貧乏人の私が入れ続ける事は・・・
そしてある時、友人のL型でWPC処理を施したカムは、通常のオイルでもカム山は削れなかったんです・・・
そしてあの高速ロックをみまってガレージで長い間眠っていた私のKHが思い浮かびました。
もしかして、この処理は旧車にこそ価値があるのかも・・・
そして、その頃にはWPC処理はオートバイのレースで実績を挙げていたので、私のKHにも施工してみました。
組み上がって感じた事は「中低速が扱い易くなった」という事でした。もちろんこの処理で飛躍的にパワーが上がる訳ではありません、しかしこの後、私がWPC教という宗教に?入信するきっかけが訪れます。
それは一時期、トライアルごっごにハマり、愛車スーパーシェルパでゲロ道アタックに狂っていた私は、久しぶりに乗ったKHにナント!オイルを入れるのを忘れて走ってしまっていたんです・・・
今では考えられませんが、当時の2サイクル車にオイル警告灯なんて親切な装備はありません。
オイルタンクの窓でオイルが入っているか確認するしかないですが、その時はシェルパと同じように勘違いして油量の確認もせずKHでツーリングに出かけてしまったんです。
なんか今日はエンジンがおかしいな・・・と思いながらもすでに何十キロと走っていたその時、バックミラーに映る風景を見て青ざめました。その時になって、初めてオイル窓を確認していなかった事を思い出したんです・・・
やってもた・・・
でも意に反しエンジンは調子良くフツーにかかっています。たまたますぐそこにスタンドがあったので、2サイクルオイルを補充して事なきを得ました。
それからもずっと調子が良いので、未だエンジンは開けていませんが、もしWPC処理をせずに組んでいたら・・・
また、あの考えただけでも恐ろしい、高速ロックに見舞われていたかもしれません。
未だ調子が絶好調なので、開けるのは躊躇しますが今後の為、腰上だけでも開けてみて後日UPする予定です。
何キロ程オイルなしで走ったのかは不明ですが、ピストンやシリンダーの状態など興味津々です。
それ以来、私はWPC教の熱心な信者となりました。もちろんもう一台の愛車、スーパーシェルパにもWPC処理を施しています。
嫌がる従弟のセロー225にも無理やりWPC処理をしたところ、非力な小排気量車程、効果が解りやすく、あれほど拒否していた従弟でさえ、今になるとWPC処理は素晴らしい!やって良かったと言います(笑)
他にもいろいろエンジン部品の加工や、新しい技術などは日進月歩ですが今の所、焼き付きに対し、費用対効果が凄く高いのがWPC処理と言えます。
それくらい効果絶大?のWPC処理ですが、もうひとつ焼き付かせない為に大切な事があります。
それがピストンクリアランスです。
ウチでもう何度もボーリングに出してるなじみの内燃機屋さんでさえ「油すき間、百分の五でええか?」と聞かれます。
今や4サイクルエンジンでは0.02というクリアランスのエンジンがある位です。
ハイシリコンピストンやメッキシリンダー、ひいてはショートピンハイト化によって近年ピストンクリアランスはどんどん狭くなってきています。
クリアランスを小さくできると、圧縮はもとより、リング音も小さくでき、いいことだらけの様ですが、熱的にも潤滑的にも不利な空冷2サイクルエンジンのマッハ系に、現行のピストンクリアランスでいい訳がありません・・・
ましてやボア径の小さいS系と同じ3気筒で排気量の大きいH系などが同じクリアランスな訳がありません。
厳密にいうと、250と400でも全くピストンクリアランスは違います。
なのに、内燃機屋さんでは一般的に0.03~0.05という数値で仕上げる事が多いですね。
そりゃ、よく考えてみると今では一般の内燃機屋さんに2サイクルエンジンが入ってくる事なんてほとんど無いでしょうし、世代交代が進み2サイクルエンジンすら知らない平成生まれの職人さんがいても不思議ではありません。
また、エンジンの組み方でも多少は焼き付きにくいエンジンにすることができます。
このオイルシールに書かれた線の意味が解る貴方は相当病的なマッハマニアです(笑)
この線の意味についてはおいおいUPする予定ですが、シリンダーにノックピンのないエンジン故、ネジの締め方などなど・・・
このシールの事だってマニュアルには一切載ってないんです・・・
秘儀とまではいいませんが、ツボを押さえて組まないと、「焼き付きやすいエンジン」になり兼ねませんから。
そして最後は、「焼付かせにくい運転」についてです。
巷でマッハ系を見かけると、どうも過保護にしすぎているのか、まるでハーレーかと思う位に早め早めにシフトアップする御仁・・・
俗に言う「4スト乗り」というんでしょうか?思わず「2ストやねんから、もっとブチ回さんかえ!」と心で叫んでしまいます(笑)
2サイクルエンジンやロータリーエンジンは、必ずしも低い回転で走る方がエンジンに良い訳ではありません。
かといって私のように、親の仇といわんばかり常にブチ回しているのもどうかと思いますが(笑)
2サイクルというのは、ある程度決まった回転域でないと掃気や排気がうまくいきません。
リングの廻りやマフラーにカーボンが溜ったり、農機具などでは、ピストン頭部にもカーボンが蓄積し、圧縮比が変わって異常燃焼する個体もありましたから。
だから、実は「運転」で焼き付きは一番変わってくるのかもしれません・・・
4サイクルから乗り換えた方に多いのですが、2サイクルエンジンで過度のエンジンブレーキはご法度です。
もともと2ストはエンブレが効きにくく、主ブレーキさえも効かないときて、必要以上にシフトダウンをする方もいらっしゃいますが、分離、混合に限らず、混合気によって冷却および潤滑をしている2サイクルエンジンにとって過度のエンジンブレーキは命取りです。とはいえ、局度なエンブレでなければ、シフトダウン時にチョット多い目にアクセルを煽っておけば大丈夫です。
なんせ焼き付く手前で必ず前兆があるはずです、要はなんかおかしいと感じたら、すかさずアクセルを閉じて下さい。
そうすれば焼き付いたとしてもダメージは少なくて済むし、なにより安全です、うまく表現できませんが、アクセルを開いているのにいつもより力がないとか、なんとなくモーモ言う?(笑)と感じたら、アクセルを閉じて下さいね。
長文になりましたが、皆様に「高速ロック」だけは、経験して欲しくありませんから・・・
KH400 250用 強化フォークスプリング
単車乗りにとって最高な季節がやってきました。
GWも終盤になりましたが皆様如何お過ごしでしょうか?
当店も家族サービスの為、勝手ながら5,6日はお休みさせて頂きます。
ブレーキを換えるまで、ワインディングロードなんて無縁だったKHですが、ブレーキが効くだけで、コーナーがこんなに楽しい単車だっただなんて改めて驚いています。
ただ、純正の恐ろしい程に効かないブレーキならそう不満はないのですが、ブレーキキットを組み込むと、フロントサスペンションのノーズダイブが激しく、パニックブレーキなど掛けようものならフルボトムしてしまいます。
ノーズダイブが激しいと、せっかくの制動力も逃げてしまいますし、やはりワインディングロードでは、柔らかすぎるスプリングが気になりだします・・・
それ故、強化サスペンションスプリングを製作する事になったんですが、以前、試作品をバネ屋さんで製作するも、
固すぎてシックリいきません・・・再度レートと材質を変更してお願いしていた試作スプリングが、出来上がってきました。
さっそく自分のKHに組み込み、試乗しましたが、今回も「・・・???」です(涙)
KHのスプリングは、最近ではめっきり見る事が少なくなった「等ピッチスプリング」です。
最近の車両はスプリングの巻き方が途中で変わる「不等ピッチスプリング」を採用した車両が殆どです。
不等ピッチにする事で、初期は柔らかく、フルボトム付近では固くなるバリアブルレート、いわゆるプログレッシブな特性にする事ができます。
ただ、等ピッチにもメリットがあり、左右合計のスプリングレートを割って考える事もできるので、初期のレート設定がしやすくなります。
なのに左右のバネ定数を変えたりしても何故かシックリこないんです・・・
純正の無駄に長いスペーサーを取り払い、ロングスプリング仕様も試しましたが、あまり良い結果とはなりません。
ここまできたら、今更ここで妥協する訳にもいきません・・・
スプリングレートは個人の好みで大きく変わりますし、使用する状況でもレートは大きく変わります。
私はKHでレースをする訳ではありません。あくまでワインディングやストリートでの使用を前提とし、そこで気持ちよく走れるようにしたいだけなんです・・・
それ故、ただ固いだけの強化スプリングにはしたくありませんし、長期使用にも耐えられる耐久性も欲しい・・・
再度、担当者様に無理を承知で試作品のお願いを。
スプリングに最適な素材のSWP鋼ですが、そのなかのランクでよりヘタリに強いSWP-Ⅴ鋼にショットピーニングを施して万全を期します。
後は、実際の走行で納得できるかどうかだけです・・・
また試作品にコストが・・・
結局、ここまで拘っても、ミドルクラスでスプリングにまで考えてくれるユーザーが一体どれ位いるんやろ・・・
またしても不良在庫で「棚の肥やし」にしかならんねんやろな・・・って考えながら、
「あっ、それでお願いしま~す!」って軽~く発注してしまう自分が怖い・・・
だって、誰もKHのパーツ作ってくれへんねんもん!(爆)