兵庫県加古川市のガレージ トライシクルのブログです Tag Archive | カスタムショップノムラ

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国内物 H1F 完成しました。

以前、旧車系ユーチューバー?「ノリさん」こと高知のKH乗りさんに紹介して頂いてた「売ります!国内物500SS」ですが、未だ「まだありますか?」とか「納車完了しましたか?」との多くの問合せを頂きますので、過程をご報告したいと思います。

 

お陰様で、あの後すぐ、遠くは九州から出向いて頂き成約となりました。
僅か3000㎞という走行距離に加え、ノンレストア未再生原型車と言う事もあり、
極力オリジナルの姿を残すように仕上げるのに苦労しました。
しかしどうしても割れたシリンダーが目立ちます・・・
2サイクルのシリンダーは4サイクルに比べ、簡単に交換できます。
でも3000kmという距離のせいで交換はしたくありません・・・
ではどうするか?アルゴン溶接で肉盛りしてから地道に整形していくしかありません。

 

 

これほど割れたシリンダーはコストの兼ね合いで、普通なら交換した方がはるかに安くつきます・・・
特に何枚もになると、下側から順番に肉盛り→整形を繰り返さないと、あとからリューターが届きません。
ここはいつもお世話になっているアルミの魔術師「カスタムショップノムラ」の野村君に泣きつきます。
いつもまーまーめんどくさい事を「嫌な顔一つ」でやってくれる(笑)野村君には足を向けられません。

 

 

いや~仮仕上げとはいえ、ほれぼれする腕前です。
この業界で、数々の凄いヤツをみてきましたが、恐らく日本中のバイク屋でNC旋盤を自作してしまう猛者なんて彼以外に聞いたことがありません。

 

 

さすが3000km!クランクやコンロッドは新品かな?って思う程美しい・・・
異音どころか、手で回したら超スルスル~ときれいに廻ります。
長期放置プレイだったにもかかわらず、車庫保管だったのが功を奏しました。

 

 

ピストン廻りも新車かな?と思える程の程度の良さです。
もちろんシリンダーも傷など皆無。
当時のメーカーのクリアランス管理がどの程度だったかは不明ですが、
ここを交換しボーリングしてしまえば3000kmは味わえません・・・

 

 

とはいえ時代は令和!そこはやはり最新の技術も入れたいものです。
オリジナルのSTDピストンとリングにWPC処理を施し万全を期します。

 

完成したエンジンです。
トップガスケットや特殊ヘッドナットなどは交換、流石にヘッドはASSYで交換しましたが、パッと見て修正したと解る方はまずいないと思います。

 

 

いくら未再生原型車とはいえ、足元が汚いのはいただけません・・・
ハブはあえてバレル研磨とかやらず、汚れを落とす作業のみとし、ベアリング類は総入れ替え後、スポークも張替え、ブレーキ関係もドラム研磨&シュー交換し組み上げます。

 

 

トラブルの多い負圧コックもリプロ品に交換します。
ただこの後、謎の不調に悩まされ、落下式コックに交換しました。
謎の不調の原因はこれではなかったのですが、なぜかミドルクラスは落下式でH1やH2は負圧式なんです。
北米市場でのオーバーフローを嫌ったんでしょうか?コストの問題だったのか不明ですが、旧車には確実な落下式の方が安心と思うのは僕だけではないハズ。

 

 

その他、油脂類、ワイヤー類、チェーン&スプロケ、タイヤ、フォークインナーにキャリパーシールなどなど、書ききれない程の部品を交換し、徹底的に磨きを入れ完成です。
車検を取って試乗すると、今まで数多くのH1を乗りましたが、コレが新車に近い乗り味なんか・・・と感心しっぱなしです。
シフトタッチなんて本当に素晴らしい・・・なんと説明していいのか??「全てがめちゃめちゃシャンとしてる」んです。

ノリさんに散々「いくらですか」と聞かれ、まだその時、どうゆう販売をするか決めていなかったので凄く値段に迷いました・・・
気分が悪くなるコメントを頂いたりもしましたが、自分では納得できる作品?になりました。
最初からこうやってればもっと早く売れたのかもしれませんが(笑)
九州で新しいオーナー様の元、大切に乗って頂けば嬉しいです、早く陸送にかけ、オーナー様の感想が聞きたいです!!
N様、到着まで今しばらくお待ち下さいませ。

GPz400FⅡ 最終章。

相変わらずコロナは終息に向かうどころか、変異株の出現など、糖尿病持ちの自分は戦々恐々としております。
なかなかブログのUPもままならない中、GPz400FⅡもいよいよ最終章となりました。

 

 

小物類をサンドブラストします。
サビサビだった小物が本当にキレイになります。
プライベーターだった頃、レシプロ1馬力のコンプレッサーで車一台丸ごとやった事がありますが、本当に気の遠くなる作業でしたね・・・
今は5馬力ドライヤー付きスクリューコンプレッサーなので快適で静かなのですが、やはりキャビネットから漏れる粉塵に悩まされます・・・ウェットブラストの導入も考え中ですが、剥離やサビ落としはドライの方が効率がいいみたいなので悩む所です。

 

 

下地のサフを吹いてから2液ウレタンで塗装します。
こんな小物まで外注に出すとそれこそコストが跳ね上がりますので、特製ブース?で自家塗装。

 

 

タンクなどの外装が地元の先輩の塗装屋さんから帰ってきました。
流石プロ、あのボロボロだった外装がウットリするほどキレイになっています。
C2ならヤフオクでステッカーがあるのですが、せっかくの初期型C1ですので、やはりオリジナルカラーにしてあげたいですよね・・・手間を承知で塗り分けで塗ってもらいました。
先輩の塗装屋さんは、カワサキの純正塗装をしている会社の下請けをやっていますが、やはり当時と塗料が違うので、仕上がりは微妙に違うそうです。外観には興味のない私には違いなどマッタク解るはずもありません(笑)
先輩も昔は旧車の塗装も受けていたそうですが、やれ艶がどうとか色合いがどうとか殆ど病的なマニアにほとほと嫌気がさし、現在はお断りしているそうです。
そういや私のKHも高校を卒業する記念?にノーマルのライムグリーンに塗ってもらったのがついこないだのようですが、もう35年も経ってしまったんですね(汗)

 

 

レストアではない「修理」をやる上で悩むのがこのようなボルト類です。
いくらレストアではないといっても、せっかくの綺麗な外装もサビサビのボルトでは台無しですし、後の仕上がりが大きく変わります・・・缶スプレーで塗る訳にもいかず、かといってユニクメッキ専門業者に出すとやはりコストと時間がかかる上、管理も大変です。そこで自家メッキ、そう、いわゆる乾電池メッキを施します。

 

 

ちょうどOH、MYクルーザー(漁船)の防食亜鉛のカスがいっぱいあるので、亜鉛メッキして防錆処理後、軽く磨きを入れるとこの通り!

 

 

でもよくよく考えると、まだ純正のボルトがこの年式は出たのに、手間暇を考えると大赤字ですね(涙)
でもKHやマッハなど、部品が出ない場合やはり塗装より質感が断然いいし、外注に出す時間や手間がかからないのでOKとします。

 

 

てな感じで完成!と言いたいところでしたが、このあとまさか泥沼&迷宮入りになるなんて・・・
試運転すると流石に絶好調なんですが2~30分するとエンストして再始動も困難になります。
当初、トヨタディーラー時代からトラブルシュートが得意だった自分はこんなもん楽勝や!と高を括っていましたが、まさかの大苦戦!

点火コイルの点検交換から始まり、イグナイター、ピックアップコイル、挙句は再度キャブレター分解からバルブクリアランスの取り直しまで!何をやっても同じ症状、完全にお手上げです・・・
どうにもならず、聞くは一時の恥と兵庫県二輪組合様の協力の元、地元カワサキのレジェントショップ様にも教えを請いましたがどれにも当てはまりません・・・
症状的には点火系のはずですが、最終最後には空冷ゆえ、ピストンクリアランスに問題がとかまでなりましたが、さすがにピストンクリアランスは組付け時に入念に計測しています。

困った時に助けてくれる仲間には本当に頭が下がります。いつも削り出し部品やボクの駆け込み寺的存在のカスタムショップノムラの野村君があの旧車の最終兵器ASウオタニキットを持って参上してくれました。しかしウオタニキットに換えても同じ症状・・・
迷信などマッタク気にしない私でさえ「これ事故しとったからまさか怨霊が・・・」などと弱気な考えまで浮かぶ始末(涙)
ところがウオタニキットの電源取り出し場所を変えると止まり方が変わる事を発見!まさか・・・と思い電源ケーブルを新たに引き直すと全く止まらんやないかい!

「コイツやったんか・・・」

よくよく考えると、メインハーネスも当然交換したのですが、マイナー車ゆえ、新品などどこにもなくヤフオクで「実働車」と言う中古ハーネスに交換した事が迷宮入りする原因だったんですね・・・
今になって冷静に考えると経年劣化したハーネスがエンジンの熱である一定の温度になると抵抗が増え、イグナイターの要求電力に達しなくなってたなんて当たり前すぎて自分に腹が立ちます。
まさか同じ症状の中古部品があるなんて考えられませんでしたが、そこがその車両固有のウィークポイントだったのかもしれませんんね・・・恐るべし中古部品・・・イヤイヤ私もまだまだ未熟者だと痛感させられました。

このGPzには本当に苦労させられました・・・一人で業務をこなしているので、一つの作業の遅れはすべてのお客様の遅れとなります・・・でも本当に一番つらいのはGPzの納車を待ちわびていたM君だったに違いありません・・・
納期の遅れにも文句ひとつ言わず信頼してくれた彼には本当に頭が下がります。
その後、マイナー車であってもメインハーネスを製作してくれる業者を見つけ、鬼門だったメインハーネスも新品になり、そしてまだ新品の出るGPz750用コイルやパルスジェネレーター、もちろんレギュレターも純正新品に交換、本当に大赤字ですがこれで当初の目的だった名実共に「外観以外は新車」に近づけたかなと思っています。

 

納車後2か月が経ちオイル交換に来てくれた彼の「絶好調です!!」の言葉と満身の笑顔で全てが報われた気がしました。

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