「コンゴウノススメ」 その2
当店オリジナル50:1混合専用オイルを実際に使用したお客様より、「オイルを変えただけで体感できるほど加速が良くなった」「プラグがカブらなくなった」「始動性が格段に良くなった」「煙で服が汚れにくくなった」「エキパイ取り付け部からタレるオイルが少なくなった」等々、お喜びの声が多数届いており、本当に嬉しく思います。
ただ、純粋に混合での使用が良い事は解っていても、「めんどくさそう・・・」とか、「純正のオイルポンプの処理はどうすれば??」などの質問も多いですね。
実際、分離給油で使用されていても、大切な愛車を想うあまり、分離給油+混合ガソリンとの併用で使用されている方が多いのも事実です。
しかし、純正のオイルポンプは混合比が、20:1~25:1位になるように設計されているので、併用して使うと、どうしてもオイルの混合比が濃くなりすぎてしまいます・・・純正のオイルポンプは取っ払ってしまうのが一番ですが、どうしてもオイルポンプと併用する場合は、極力オイルポンプ調整ワイヤーで絞りぎみにしたほうが良いようです。
ただし、純正のオイルポンプを付けたまま、分離給油のタンクを空にしての混合使用はお控え下さい。
エンジンオイルでオイルポンプのプランジャーの潤滑も行っています、オイルの空打ちはポンプにとっても良い事がないのです。
また、純正のオイルポンプを取っ払うと、元々オイルポンプがあった所からギアオイルが溢れます。
その為、純正のオイルポンプを外し、オイルが漏れてこなくする為のメクラ蓋をレーザーカッターにて製作しました。
このオイルポンプの台座はいびつな菱形をしていて、レーザーカッターでキレイな菱形に切ると、何となく違和感があります・・・
なかなか納得のいく形にはなりませんでしたが、微妙に左右非対称にする事で、そこそこに治まるようになりました。
その為、カバーには裏表があります。逆に組んでも間にガスケットがあるので、オイル漏れの心配はありませんが、拘った部分なので、正しく組み付けて下さいね(笑)
もちろん、ポンプから出ているデリバリーパイプも不要ですが、外したそのままでは、KHの構造上、クランクケースの密閉ができなくなり、一次圧縮にも影響する為、クランクケースに刺さっているバンジョーとボルトの代わりに入れる、ボルトと銅ワッシャーもセットにしています。また、ぱっと見、純正のバンジョーボルトに見た目が近くなる様、クロームメッキボルト&銅ワッシャー仕様としています。
尚、ボルトオンで混合仕様に変更できるよう、純正のオイルポンプガスケットもセットしました。
一台分 消費税込み6264円(税抜き5800円)です。
混合タンクについて、すでに車載用のブリキタンクはご存知だと思いますが、自宅ガレージなどでも簡単に混合ガスが作れる混合用ポリタンクも発売予定です。この手の混合タンクは、お近くのホームセンターでも手に入りますが、よく市販されているガソリンとオイルを別口から入れ、タンクをひっくり返さない混ぜるタイプに比べ、ひっくり返さず、簡単に混合ガソリンが作れる様になっています。
「鮫ブル」こと610ブル-バード2000GTーX
友人の後輩が凄い車に乗って来店。
ナント!「サメブル」こと610ブルーバードです。
サメブルを真近で見るなんて何年ぶりでしょう・・・
チンスポ&三分割りにスターシャークと、ボク達世代にはたまりません!マニア延髄のロンサムカーボーイのコンポなんて涙物です。
当時はあまり好きになれなかった610も今見ると、本当に理屈抜きでカッコいい!!
ただ、昨今の旧車の高沸には閉口します、購入価格を聞いて、ため息しか出ませんでした・・・
でも悲しいかな、本当に程度のええ車両はマニア間で取り引きされ、中古車屋さんに出回る代物は、購入後に恐ろしい程、費用が掛かる物が多いのも事実です。
でも、Zや箱スカなどに比べ、一時はゴミ扱いされた610ブルが、現在まで生き残ってくれたと考えれば妥当な金額なのかもしれません・・・
クォーターパネルに誇らしげに輝く「GTX」のエンブレムが燻し銀のシブさを醸し出しています・・・
男が男らしかった時代・・・女の子よりもシブい車に乗る先輩に憧れた・・・
ソレックスの生ガスの匂いと永チャンのBGM、そして夜の駅前ロータリー、何処の街でも繰りひろげられた光景。
携帯もポケベルもなかったけど、ロータリーにさえ行けば誰かに会える・・・車を転がしてるだけで死ぬほど楽しかった。本当に古き良きいい時代だったな・・・(涙)
しかしこの当時の車って斜め45度から見ると、なんてセクシーなんやろうね・・・
ソレ、タコ、デュアルの三種の神器で武装されたストレートシックスL型エンジンは、官能的なサウンドを奏でています。
廻りの空気を揺らす鼓動、この独特の雰囲気は、「マフラーだけ」変えた現在のガキ車では絶対に出えへん・・・
私も、KHに30年以上乗っていますが、19歳の時に買ったS30Zも、現在は「不動産」ですが、ガレージに大切に?しまっています・・・
トリプルとL型が三度の飯より大好きなんです・・・
だから、この610、よ~く冷静に観察すると、色々問題が有りそうで放っておけません・・・
旧車は初めての、この610オーナーは「旧車だから・・・」と思い込んでいた様ですが、まだまだ本調子には程遠い様ですね・・・
これからボチボチと当店で、現在の改良された部品などを取り入れながら、本来の性能を取り戻して行きたいと思っています。
オーナー様にも、修理の様子をブログにUPする事を快諾して頂いたので、みなさん、乞うご期待あれ。
ミドルマッハ用 混合用ブリキオイル缶
混合仕様にしたいけど、「どんだけ入れたらええねん!」と皆さん悩まれると思います。
そんな悩める貴殿の為に、KHシリーズで、満タンでキッチリ一本となる300ccに拘った携帯用オイル缶を製作しました。
ツーリングなどでは半分を目安に給油すれば、二回分ですし、KHなどミドルマッハには、テールカウル内の車載工具置きにピッタリと治まるサイズです。
よく昔、私も醤油のペットボトルなどでオイル容器として代用していた時、やはり僅かですがオイルが漏れ、テールカウル内が漏れたオイルでベトベトになった記憶があるので、コストを度外視し、フタの内側に漏れ止めのフタを内蔵した二重構造としました。
それと、やはり見た目も重要ですので、あえてレトロなブリキ仕上げにしております。
せっかくの鉄馬もチープなプラスチック容器では雰囲気が台無しですもんね・・・
また、純正の工具固定バンドを失われておられる方がほとんどですが、PMC製のリプロ品が使用できますので、ご安心下さい。
今後、純正のオイルポンプを外した所のメクラ蓋も発売予定です。現在、自分のKHでテスト中ですが、オイル漏れ等の結果が良好なら、量産予定ですのでしばらくお待ち下さいませ。
また、このオイルでも十分すぎる程の性能ですが、これよりもっと高性能な100%化学合成レーシングスペシャルもございますので、お気軽にご相談下さいませ。
トライシクル特製 50:1 混合専用2サイクルストリートエンジンオイル
1リットル 税込み2640円(税抜き2400円)
100%化学合成 レーシングスペシャル
1リットル 税込み3960円(税抜3600円)
100%化学合成 レーシングスペシャル1リットルのご注文はこちら
トライシクルオリジナル 300ccブリキオイル缶
税込み1320円(税抜き1200円)
KH ブレーキローター研磨 ドラム研磨
全国のKH乗りの皆様、まだまだ寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか?
こんなに寒い日が続くと、なかなか単車に乗る勇気?が沸きませんね(笑)
そんな冬こそ愛車のメンテナンスには絶好の季節かもしれません。
来るべき春に備え、ブレーキのメンテナンスなどは如何でしょうか?
最終型ですら誕生から、すでに35年以上経つKHシリーズは、人間で例えるなら、すでに60歳を過ぎたオ〇ハンかもしれませんね・・・夜の薄暗いカウンター越しなら、美魔女に見えたママさんも、朝方見るとタダのオ〇ハンだったというオチでは洒落になりません(汗)
制動の要となるフロントブレーキローターとリアドラムですが、30年以上酷使され続け、フロンディスクは使い古しのレコード盤(今の若い子に解るかな?)のようになっていて、酷い車両になると段付き摩耗を起こしている個体もあります・・・
一概にはいえませんが、レコード盤状になってしまうとブレーキの鳴きの原因になりますし、酷い個体ならジャダーが起きたりします。
また、高速道路などでフロントブレーキをキツくかけるとハンドルが触れたりするのは、ブレーキディスクそのものが、熱で歪んでいて、ハンドルがブルブル震える原因となります。
リアドラムに至っては、長期保管車などは、雨水が溜まり、腐食の激しい個体も多いです。
また、段付き摩耗が激しくなると、ブレーキシューがその段差にはまり、ブレーキパネルが外れ難くなってしまいます・・・
ドラムブレーキは放熱に関しては、風が直接当たるディスクブレーキに比べ、放熱性ではかなり不利です。熱歪により、真円ではなくなっている個体も多数あります。
そんな場合、専用の研磨機で「一皮剥いて」あげれば、この通り!
ほとんど新品の様な滑らかさ。
もちろん歪も完全に取れ、レコード状のキズも無くなり、パッドの当たり面積も若干ですが変わります。
リアドラムも段差や錆がなくなり、真円になります。
あまりに錆や歪の大きい個体は研磨にも限界があり、無理な場合もあります。
特に、保管状態が悪く、サビの根が深く奥まで入り込んでいる個体では研磨後であってもサビが残ってしまいます。
研磨後、フロントなら5.5mm以上、リアならDIA180.75mm以内ならOKです。
これによって制動力が飛躍的に向上する訳ではありませんが、ブレーキジャダーや鳴きには効果あります「旧車だからこんなもん」って思っているなら、それは大きな勘違いかもしれません。
この作業で「見た目」なんてマッタク変わりませんが、一皮むけた男になる事は間違いありません。
費用もそれほどはかかりませんので、寒い間にキチンと皮を剥いて、「その時」に備えましょう(笑)
フロントディスク研磨 9000円(税込み9900円)
リアドラム研磨 7000円(税込み7700円)
どちらも単体作業の料金です、送料及び脱着等は別途料金が掛かります。
Mr.ジェットスキーのポート考。
今日はMr.ジェットスキーこと、元川崎重工のレジェンド、F氏が遊びに来てくれました。
「ジェットスキー」とはカワサキの商標ですが、今や水上バイク全般をジェットスキーと呼ぶ程、すっかり定着した名詞となっています。
そのジェットスキーの歴史の中で、絶対に外す事のできない方がこのF氏です。
ジェットスキーの黎明期、ワークス勢と共に世界各国を股にかけ、自らチューンしたジェットスキーを駆り、チャンピオンにもなられた、ジェットスキーの父といっても過言ではないこのお方は、私にとっては「神」のような存在であり、またアレコレと私を叱ってくれる良きお師匠さんでもあります。
ジェットスキーの黎明期は市販モデルに、2サイクル三気筒が多く、SSやKHと共通な点が多いのです。
それもそのはず、二輪と同じ明石工場で設計、製造されていたので、汎用機事業部と二輪事業部で情報交換などよくしたらしく、師匠の周りには、かの有名なマッハやZ1の開発関係の方々など蒼々たるメンバーがズラリ!当時の開発秘話など私にとって興味深々なお話ばかりで、ただただ関心するばかりです。
またF氏はジェットスキーのワークスレーサーの開発も手掛けていた為、2サイクルエンジンのチューンにおいて凄まじい程の経験と知識を持っておられます。
せっかくコーヒーを飲みにきて頂いても。私の質問攻めで、ゆっくりくつろぐ暇もありません(笑)
今日は、掃気ポート、専門用語でスカベンジングポートと呼ぶらしいですが、その掃気ポートについてミッチリ講義して頂きました。
シュニューレポート?なる掃気ポートの曲がりや吹上げ角などなど、すべてが「目から鱗」なお話ばかりで、今までのポート研磨においての私の悩みや疑問などすべてが腑に落ちたというか、納得しまくりで、時間などアッと言う間に過ぎてしまいました。
スキッシュエリアやデトネーションに始まり、点火時期の高速遅角などなど、2サイクルを極めた者だけが知る世界に、私もまだまだヒヨッ子だという事を思い知らされます・・・
この吸気ポートの通称「のどちんこ」はリングの飛び出し防止の為にある事くらいは知っていましたが、排気ポートと掃気ポートとの関連や、主掃気ポートと副掃気ポートの役割など、マッタクもって目から鱗で、自分では昔から意味も解らず研磨していたポートですが、よ~く考えると、師匠の理論に知らず知らず近づいていた様で、少し嬉しかったりもしました。
そんな凄い師匠ですが、何故か?超の付くホンダファンで、ホンダSシリーズに関しても、日本一といっても過言ではないSのオーソリティーで、ウチのお店のすぐ近くで知る人ぞ知るSショップを営んでおられます。それはもう文句の付けどころのない究極のレストアを施されたS800がズラリと並ぶSマニアにとってはたまらない空間です。
http://s800garage.ko-co.jp/e208742.html
「コンゴウノススメ」
「コンゴウ」と言っても最近の若い方なら、何の事??って思われますが、
要はガソリンとオイルを初めから混ぜて使う事で、よくある混合仕様の原動機は、草刈り機などの農業機械です。モトクロッサーやロードレーサーなどは、オイルポンプすら要らぬ物(フリクションや重量)なので、現在でも混合仕様です。
逆に、ほとんどの市販車は「分離給油方式」を採用しており、専用のオイルタンクを装備し、オイルポンプで圧送されキャブ付近でガソリンと混合されます。
もちろん全てのマッハも分離給油方式を採用していますが、このオイルポンプ系統が曲者なんです・・・
なんせチェックバルブの不良や、バンジョーからエアを噛んだりして、オイルポンプから一番遠い1番シリンダーが全シリーズ共、よく焼きつきます。真ん中シリンダーが冷却が悪く、焼き付きやすいと言う都市伝説までありましたが、経験上、一番焼きついてしまうのは1番シリンダーなんです。
オイルポンプ廻りをバラした事のある方なら解ると思いますが、オイルポンプはタコメーター駆動ギアと同軸にあり、そのギアはプラスチック製だったりするんです(汗)
それにプランジャータイプのオイルポンプは、やはり定期的なオーバーホールが必要ですし、当時のオイルポンプの信頼性は、たとえOHをしていたとしても信頼性は乏しかったりします。
ましてやギアの調子が悪い車両では、いくらポンプの吐出量を調整しても、たまに思い出したように煙幕をまき散らしたりするからタチが悪い・・・
マニュアルでは混合比は20:1となっていますが、どうしても「焼きつくよりはマシ」と思い、混合比が濃すぎる状態で走っている方が多いのも事実です。混合比が濃すぎると、プラグのカブリや、消音器の詰まり、農機具ではポートの詰まりまで起こり、エンジンにとってはいいことなんてありません。
その辺り(絶対に均等にオイルを行きわたらせる)事を考慮すると、最終的には「混合」に尽きます・・・
ではイザ混合仕様で行こう!と思っても、実際の混合となると「一体どれくらいオイルをいれたらええねん!」といつも疑問に思いながらも、分離給油と併用して、タンクに「適量?」と思える量のオイルを入れ、それこそ「適当」な混合比で走っていました。
実際20:1となると、結構な量のオイルが必要です。マッハ系の場合、満タンで15リッター前後タンクが多いのですが、15ℓとして単純に750ccものオイルが必要ですが、若い頃、混合比など知る訳もなく、適当に「ドボドボ」とタンクにたらして、今思えば絶対100cc位しか入っていなかっただろうし、「分離給油専用オイル」を使って混合していたので、攪拌性も悪く、よく焼きつかなかったなと今更ながら恐ろしくなります。
分離給油用のオイルは、圧送を前提とした粘度で作られているので、タンク内でガソリンとの攪拌性が悪いです、また、モトクロス用などのレース専用混合オイルは、高回転、高出力エンジンの対焼き着き性を最重要視しているので、ストリートでは固すぎますし、何よりひまし油などの植物系オイルとの混合合成ゆえ「使い切る」事が大前提ですので、保管性が悪すぎます・・・
そんな訳で前置きが長くなりましたが、トライシクルでは、ちゃんと計量できるオイル容器と、50:1で使える最新オイルを発売します。
市販の2サイクルオイルは極一部のメーカーを除き、ほとんどの大手メーカーのオイルが悲しいかな80年代から90年代頭初に発売された製品を、ほぼそのまま継続販売しておりマッタクと言っていい程、中身は進化していません・・・もちろん、2サイクル全盛だった60年代~70年代の頃のオイルとは比べ物にならないほど良くなっていますが、それでもここ20年程は2スト車両の生産中止に伴い、新製品はほぼ発売されていませんでした。
それ故、この最新2サイクルオイルは、携帯性と経済性に優れた50:1で使え、なんといってもスモークレス!煙りの少なさは特筆物です。煙が少ないのは、マッハマニアには寂しいかもしれません?が、バックミラーに映る後続車に明らかに「煙たい」というゼスチャーをされた経験は誰しもがあると思います(笑)なにせ間違っても喜ばれるものでもありませんし、何より愛車には百害あって一理なしです。
もちろん、あまりオススメしませんが、煙が少ないので、分離給油も残しつつ、「お守り」代わりに100:1位で使用する事だってできます。それに50:1で使えるって事は単純に今までの半分以下の量でいいって事なので、オイルをバカ食らいするマッハには有難い話です。
それに、このオイルは「混合専用」ですので、ガソリンとの攪拌性は驚く物がありますし、保管性も私のKHで半年間、しかも条件の悪い春から秋までマッタク使用せずに保管していた混合ガソリンでも問題などなく実証済みですので、大切な愛車に安心して使用して頂けると思います。
50:1と20:1では爆発力も違うのか、明らかに体感できる程吹け上がりが良くなりますし、プラグも明らかにかぶり難くくなります。
50:1でも焼きつかないこのオイル、もう分離給油には戻れなくなるかもしれません。
現に私はこのオイルで2年走っています、WPC加工との相乗効果かもしれませんが、一回もプラグなんてカブった事がありませんし、焼き付きを恐れて回さない2サイクルエンジンなんて、なんの意味もありませんから・・・
ぜひ一度、環境にも優しく??愛車にも優しい50:1の気持ちのいい吹けを味わってみませんか?
携帯容器の方も、「どんだけ入れたらええねん!」に対応する為、満タンでキッチリ一本となる300ccに拘りました。ツーリングなどでは半分を目安に給油すれば、二回分ですし、KHなどミドルマッハには、テールカウル内の車載工具置きにピッタリと治まるサイズです。
よく昔、私も醤油のペットボトルなどでオイル容器として代用していた時、やはり僅かですがオイルが漏れ、テールカウル内が漏れたオイルでベトベトになった記憶があるので、コストを度外視し、フタの内側に漏れ止めのフタを内蔵した二重構造としました。
それと、やはり見た目も重要ですので、あえてレトロなブリキ仕上げにしております。
せっかくの鉄馬もチープなプラスチック容器では雰囲気が台無しですもんね・・・
また、純正の工具固定バンドを失われておられる方がほとんどですが、PMC製のリプロ品が使用できますので、ご安心下さい。
今後、純正のオイルポンプを外した所のメクラ蓋も発売予定です。現在、自分のKHでテスト中ですが、オイル漏れ等の結果が良好なら、量産予定ですのでしばらくお待ち下さいませ。
また、このオイルでも十分すぎる程の性能ですが、これよりもっと高性能な100%化学合成レーシングスペシャルもございますので、お気軽にご相談下さいませ。
トライシクル特製 50:1 混合専用2サイクルエンジンオイル
1リットル 税込み2592円
100%化学合成 レーシングスペシャル
1リットル 税込み3888円
トライシクルオリジナル 300ccブリキオイル缶
税込み1944円
PMC製 ツールバンド
税込み 972円
フレーム修正
GPz400FⅡを探して欲しい・・・
最初は、GPzなんかワシから見れば、現行車みたいなもんや!とタカを括っていましたが、
イザ探すとなると、コレがホンマにありません(汗)
ネットで検索するも、なんと全国に中古車は2台しかないという現実!
KHですら、中古車は50台位はありそうなので、あらためてビックリです。
何故なら巷のFⅡは多くがGPz400FのFⅡ仕様がほとんどなんです・・・
探す事しばし、やっとヤフオクで本物のFⅡのレストアベースが出品されていました。
ただ、明らかに怪しい代物です・・・ どうせ全バラするんやし!と思い切って仕入れるも、キッチリフレームに曲がりが(涙)
フレームのアライメントがキッチリ出ていなければ、いくら足廻りを修理してもダメなんです・・・フレームは日本語で「骨格」を意味しますので、ミリ単位での精度で修正していきます。
旧車の場合、知らずに曲がっているフレームで、そのまま乗っておられる方も実は多数いらっしゃいます。
人間の目では限界があるので、レーザー光線を使って曲がりを見ます。レーザー光線は常に真っ直ぐ出るので、その原理を利用して曲がりの測定をします。
フレームは、そうそう簡単に曲がるものではありませんが、こうやってレーザー光線で測定すれば一目瞭然です。
ベンダーという油圧で動く機械で曲がりを修正しますが、
時にはトーチであぶり、レーザーポインターで確認しながら慎重に寸法をだしていきます。
赤いレーザー光線の点がネックの中心にピッタリ治まり、キャスターやトレールを確認し、これで貴重な?FⅡの骨格の修正が完了しました。
この後、フレーム専用のブラスト屋さんでサンドブラストし、完全にサビを除去してから、工業用粉体塗装へ回します。
粉体塗装(パウダーコーティング)については、また後程UPさせて頂きますね。
新春 KH用ブレーキキット キャンペーンのお知らせ。
新春キャンペーン第一弾
新春とはいえ、まだまだオートバイ乘りにとっては厳しい寒さが続きますが、皆さま如何お過ごしでしょうか?
この寒い間に、キッチリ愛車のメンテナンスをぜひ行ってあげて下さい。
さて、かねてから当店より発売しておりますブレーキキットですが、「安全性が飛躍的に上がるのは十分解っているけど、手持ちが・・・」というお声が多かったので、この機会にぜひ現行車並みの安全性を手に入れて頂きたく、期間、個数限定で、分割金利手数料無料キャンペーンを行います。
尚、キャリパーの在庫と、マシンニング加工の都合上、初回5セットのみ限定、分割回数は12回までとさせて頂きます。
また、割賦利用については、信販会社の審査がございます、場合によってはご利用頂けない場合もありますのでご注意下さいませ。
例) KH用ブレンボラグビーボルトオンブレーキキットを12回払い。
初回9160円 2回目以降8200円X11回(送料別)
また、お求め易くなった、ブレーキホース無しキットも発売致します。
すでに、メッシュホースなどに交換済みのお客様や、安価な社外ホースで組んで頂いても制動力は、ほぼ変わりませんので、この機会にぜひブレンボの制動力を手に入れて下さい!
もちろん、新春ブレーキキットキャンペーンにも対応しておりますので、お気軽にご利用下さいませ。
KH用 ブレンボラグビーキャリパーキット ホース無し 税込み78,840円(税抜き73,000円)
尚、ホースなしキットは、純正のホース&ブレーキパイプのままではご使用頂けません。
現在、社外ホースに変更されている方も、キャリパー側の取り付け部をバンジョータイプに変更し、P1.0のバンジョーボルトとクラッシュワッシャーをご用意下さい。
ヨーロッパ車に純正採用されたブレンボラグビーキャリパー、ダストシールも装備し、鳴きも他の2696キャリパーなどに比べても少ないです。
なにより、パットの選択肢が広がります、流行りのシンタードメタル系のパットに変更すれば、真綿で締め上げたような効き味を手に入れる事だって不可能ではありません。
ブレーキが効くようになれば、比較的バンク角の稼げるミドルトリプルの楽しさが倍増します。
何より、イザという時の安心感は何物にも代え難いですから・・・
400SS トラブルシュート
400SS続き その2
ミドルマッハの400SSの点火装置はKH400などのフラマグCDIとは異なり、バッテリー点火、いわゆるポイント点火とよばれる原動機黎明期からある、最も古典的な点火方式です。
ポイント点火は、調整こそ必要ですが、構成部品は単純ですので、修理は意外と簡単?です。
カワサキトリプルシリーズはこのポイント点火と、無接点CDIの二種類があります。
この頃はCDIシステムの黎明期とあって、下手すると毎年システムが変更されたりした事もありました。
初期型KA500SSは当時では最新鋭のCDIでしたが、車のようにコイルが一個で、ディストリビューターを介して各気筒に二次電流を分配していました。デスビがあるので、ローターとチップでかなりロスが出るし、リーク問題等もあり、H1Bでは古典的なポイント点火に戻ってしまいました。
H1Dになり、またまたCDIになったと思えば、H1EやFでそのCDIシステムが変更になり互換性もありません。
これだけの点火バリエーションがある機種も珍しいのですが、おそらくコストの問題と、輸出モデルにおいて、細かい調整が好まれない北米モデルにはメンテフリーのCDIシステムが採用され、コストも安く、信頼性の高いポイント点火は、主に国内向け車両に採用されたのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、この400SSはポイント点火と言いました。
ポイント点火は煩わしいポイントギャップの調整があるので、世間ではあまり歓迎されていませんが、CDI点火のような点火ユニット、いわゆる「ブラックBOX」がありません。
CDIやフルトラはメンテナンスフリーですが、ブラックボックスがあるので、ユニットがパンクすればもうどうしようもありませんが、ポイント式はエンジンが不調になったとしても、取りあえず走る事が可能です。
今回は、ポイントもコンデンサーも交換されたそうですが、エンジンは不調のままです。
エンジン本体やキャブも点検するも、異常は見受けられませんでした・・・
単純な物ほど奥が深い・・・
この言葉が頭をよぎります。
五感を研ぎ澄まして再度各部を点検します。時には匂いを嗅いたり、手で感触を確かめたりと旧車の修理にはやはり「勘」も必要です。
すると、ポイントの開閉運動に違和感を感じました。なぜかポイントが閉じている時間より、開いている時間の方が長いという、今まで経験したことのない動きをしてます。
ここで、ドエルアングルテスターの登場です。ドエルアングルテスターなんて、もはや修理現場では死語となった計測機器です。
プロの方でも、整備士の講習会とかでしか使ったことの方も多いと思います。平成に入ってからは軽貨物でさえフルトラ化の波が押し寄せ、よほど古い整備工場でしか持っていない化石のような機器かもしれません・・・
ドエル角とはポイントは閉じている角度の事で、ポイント点火車にとっては重要な角度です。
ドエル角とポイントギャップは密接関係なので、詳しい話はここでは割愛し、誤解を恐れずに言えば、ポイントギャップが合っていれば、だいたいのドエルアングルは問題ないはずです。
今回、このSSも、ポイントギャップは入念に合わせたハズなのに、ドエルアングルが基準値になりません・・・
もしかしてポイントカムかも・・・
お客様の当初の問診で、「納車されて少しの間は調子が良かった」の言葉に惑わされたのかもしれません。
上記の画像でも解るように、外からパッと見では、内部まで見えませんし、外観上は異常も見受けられません。しかし、こんなドエル角になるにはポイントカムが「ハート型?」にならないと不可能です。
再度、ポイントヨークをバラし、ポイントカムを外してじっくり観察すると、ビックリ仰天!
画像では解りにくいのですが、ヒールとの摺動面が著しく虫喰い状に偏磨耗しており、あきらかに段差ができてしまっているではありませんか!
これでは、ポイントが正常な動きをする訳がなく、ポイントやコンデンサーを交換しても調子が出なかった理由が合点します。
「コイツやったんや・・・」
不調の原因さえ特定できればコッチのもんです。ただ、悲しいかなこいつも、もちろんメーカー在庫なんてある訳がありません・・・
こうなれば、中古部品を探すしかないのですが、中古を使うと、間違いなく同じ事がおこります。
今回はおそらくポイントカムの潤滑をしているフェルトのメンテナンス不良が原因ですが、
私もまさかベーグライトでできたポイントヒールと、鉄製のポイントカムが喧嘩して、鉄が負けるなんて想像もしていませんでした。
何年も前にポイントカムに「気休め」でWPC加工を施した事を思い出し、倉庫を家捜しする事しばし、カムを見て昔の記憶が蘇りました。何年か前、このWPC加工済みポイントカムを15000円でヤフオクに出品しましたが、高すぎたのか、まったくノーコール(涙)。WPC加工代も決して安くはなかったので、安売りするくらいなら・・・と自身で保管していました。
こんなパーツに高価な加工を施しても、市場では受け入れられない・・・と少しガッカリしていたのですが、やはりこんな部品こそWPC加工の恩恵を受けるんだと今回確信でき、嬉しく思えました。オーナーにもこの事を報告し、WPC加工済みポイントカムへの交換を快諾して頂きました。
キック一発でトリプルは目覚め、キレイな三重奏を奏でています。
旧車には高価絶大の3sqで製作したエンジンアースも追加し、試乗しました。ポイント車らしい、
中低速のトルクが太くて非常に乗り易く、結果として速いマッハになりました。
取りに来て頂いたオーナー様にも試乗して頂き、「怖いくらいの加速だった!」と言う最高の褒め言葉を頂きました。
今回、やはり「ヤフオク」という一見、便利で安そうな購入をされ、結果的に高くついたかもしれません・・・
ミドルマッハはどうしても旧舎会?系のお兄さんなどに人気で「音だけ」と揶揄される事が多いですが、キチンと整備すれば非力と言われるKH400であっても、そこは腐っても2サイクル400cc、遅いハズがありません。
今回、見た目などは、マッタク変わらない本当に地味な依頼内容でしたが、唯一違うのは以前とは比較にならない「信頼性」です。
私も、20年程前、遠方のミーティングなどに参加する時、テールカウルの中は工具で満載はもちろん、下手すると、当時の彼女(現在の嫁さん)に「車でついてきてもらう」という事が当たり前でした(笑)
しかし、よ~く考えて頂きたい、マッハやKHが新車で売られていた当時、テールカウルに工具を満載して、車で後ろについてきてもらわないとツーリングは不可能だったでしょうか?「旧車だから」の一言で、片付けてはいないでしょうか?
フルオリジナルだ、当時物だとかを自慢する輩を否定はしませんが、完全な「整備」を施し、現在のパーツを流用する事で、ロングツーリングはもちろん、通勤にだって使う事は不可能ではありません。
思い入れ、憧れてやっとの思いで購入した旧車だからこそ、最低限、動力性能くらいは「当時物」にしてあげて欲しい・・・
新年明けましておめでとうございます。第一号は他人事とは思えないマッハ。
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今年一発目は、年末ギリギリに納車した、珍しい国内物の400SSマッハの修理記事でスタート!
一号なので、少し長めの内容ですが、最後まで見て頂けますと幸いです。
右側三本出しバラチャンとセブンスターキャストが決まった珍しい400SSマッハ。
聞けば、「ヤフオクで購入したが、調子が悪く、自分で修理したらエンジンが掛からなくなった」という内容。
・・・・・・コレは修理屋にとって一番やりたくない仕事かもしれません。
人が途中まで修理しかけて投げ出した場合、自分で部品をバラした訳ではないので、倍以上の時間が掛かります。
ましてや今回、ご自身で配線をやり直したまではいいのですが、「純正のカプラーは切断し、ギボシで作り直したが、電装関係もおかしくなってしまった」といいます(汗)
純正のカプラーを捨て、配線も変えてしまうと、配線図が役に立たなくなります・・・
やはり、近所の修理屋さんでは断られたらしく、このブログを見て、藁にもすがる思いで当店に電話された様です。
もちろん当店でもやりたくない作業ですが、瞬時に18歳の時の記憶が頭をよぎります。
そうです、私も何を隠そう、マッタク同じ失敗を整備士学校に入学した直後にやらかしました。
自分で配線をやり直そうとして、途中で訳が解らなくなって、エンジンが掛からなくなってしまったんです・・・
もちろん、当時、配線図などあるわけなく、それにもましてこの当時のカワサキ車は、赤に白を繋ぐとか、現在の常識では考えられない配線方法です。見知らぬ土地で唯一の足だったKHの故障は、私にとってそれは死活問題でした。
当時はネットなどもちろんありませんから、電話帳のバイク屋さんにかたっぱしから電話しまくったんですが、
「そんなもん、人の失敗のケツ拭きなんかできるか!」と怒鳴られたバイク屋さえありました・・・
やっとの事、各務ヶ原にあるカワサキグリーンショップ(現RSオオワキ様)になんとか頼み込んで修理を受けて頂きました。
あの時、修理から上がってきたKHのエンジン音を聞いたときの感動と御恩は今でも忘れる事ができません・・・
だから、他人事とは思えなかったんです・・・
素人さんにしては番号を打つなどして、それなりに努力された後は見受けられますが、
配線すべて黒というのはいただけません・・・
その時はいいですが、純正の配線を無視して作り直すと、後から見た別の人間には、何が何んだかマッタク解りませんし、なにより配線図が使い物にならなくなります。もし、旅先などでトラぶってもまず見てくれる修理屋はありません。
だから、私達は純正に拘ります。お客様がもし、遠方でトラぶったとしても、配線図がみれる修理屋さんなら、旧車に強くないお店でも修理ができます。配線図なんてそれこそFAXでだって送れちゃいますから。
ご自身でコンデンサーとポイントも交換されたそうですが、調子は良くならかったらしく、配線では?と思って配線に手を出したそうなので、まず徹底的に現状の把握とトラブルシュートを行います。
良く見ると、コンデンサーの端子を繋ぐ位置が違っていたりはしていましたが、圧縮もあり、不調の原因はその辺りではなさそうです・・・
トラブルシュートは一つ一つ着実に殺して行き、ちゃんとした原因を突き止めないと絶対に「再修理」が待っています。
未だ「コレや!」という内容にはたどり着きません・・・
コイルも社外の強化品に変更されていますが、抵抗値を確認しないと、フルトラ用の3Ω程度のコイルを使用すると、いずれコイルがパンクします、それ以前に取り付け方法がビニールテープにタイラップという状態です・・・
コイルは熱を持ちますから、ブラケットは固定の役目だけではなく、熱をフレームに逃がすという役も兼ねており、これでは熱が逃げず、抵抗値があっていたとしてもパンクのリスクが伴います。
私も過去はそうでしたが、どうしても「強化品」という響きに弱く、基本的な事がおろそかになりがちです。
ただ、キチンとツボさえ押さえれば、強化コイルに換装すると、ジェットの番手が変わってしまうほど効果があるのも事実です。
今回はまず、全て純正に戻し、発電関係や配線関係、並びに充電関係のリフレッシュを行い、信頼性の大幅な向上を狙います。
メインハーネスはもちろん、ジェネレターコイルからの配線、バッテリーリードまで引き直し、外されていたヒューズBOXも復元します。
ヨークはブラストし、配線もすべて引きなおし、リビルドが完了したジェネレータ
見た目も気持ちいいですね!
メインハーネスだけ引きなおしても、バッテリーリードや、ジェネレーターからの配線も引きなさないと効果が半減です。
この一連の作業を行うと、ヘッドライトはもちろんメーターインジケーターの明かりまではっきり違いが解ります。
人間で言うと大動脈を交換したような物ですね。
せっかく発電所や送電線をリフレッシュしたのなら、変電所まで更新したいですよね・・・
以前は純正他車流用でしたが、今回は一体型高性能ICレギュレターを使います。
なるべく純正の雰囲気を崩したくないので、冷却性は多少犠牲にしますが、バッテリーケースに小加工して取り付けました。
レギュレターとレクチファイヤーが一体となるので、スッキリしますし何より高性能IC内臓ですので、MFバッテリーの使用さえ可能です。ただ、マッハ系の充電システムは元々脆弱な上、セルモーターなどの電力消費の大きな物もありませんし、電圧制御も緻密になり過充電にもなり難くバッテリーの持ちが比較的に良くなると思うので、通常タイプの液入りバッテリーで良いと思います。
グチャグチャになっていてた配線も、ギボシをハンダ着けするなどして信頼性を向上させ、
灯火系統も全て点灯させ修理完了、国内物のみ付いていた速度警告灯も配線を繋ぎ直し点灯させました。
当時は、毛嫌いされた速度警告灯も、今となっては国内物の証ですので、点灯させるように修理しました。
電装関係の修理は予定通りに完了しましたが、肝心のエンジンが不調のままです。
圧縮はコンプレッションゲージの数値が三気筒とも基準内でしたので、不調の原因は混合気か点火しかありません。
キャブが二次エアを吸っている訳でもなさそうですし、キャブ各部を点検するも異常はなさそうです。
やはり点火が原因の可能性が大ですね。
次回へと続く・・・