KH250B3 国内物
国内物フレームのイチから組み上げるKH250です。
フレーム番号からKMJで国内販売されたB3モデルという事も確認済みです。
車検の必要のない250ですから、後々の維持も楽な上、煩わしいノーマル戻しの必要がありません。
動力性能は350や400には到底及びませんが、非日常な速度域でなくても官能的なトリプル高回転サウンドが楽しめたりと、最小トリプルは最小故の楽しみ方があります。
Zのオーナー様なども、セカンドに購入される方も増えてきています。唯一無二の存在であるトリプルクウォーターをこの機会に手に入れてみませんか?
車両本体価格 156万円(税込み168.4万)
72回払いローンOK。
貴重な国内物フレームですので、バラせる所はできる限りバラして組み上げていきます。
パーツも私が30年程前からストックしていた国内物パーツをふんだんに使用します。
もちろん国内物の証、固定式ステップやKm表示速度計&速度警告灯もあります。
フレーム、スイングアーム、スタンド類はブラスト後、半艶パウダーコートで仕上げています。
外装はお好みのカラーに塗装致します。
シートもお好みに合わせて、ノーマル~アンコ抜きSSタイプまで対応致します。
日本語表記のシート裏ステッカー。もちろん表皮は張替えます。
エンジンはM/T点検、クランクリビルド、シリンダーはボーリング&ホーニング後、
ピストン、リング、ピンはWPC処理を施し万全を期します。
信頼の要、電装部品も新品ポイントはもちろん、新品ハーネス&ICレギュレターに換装、通勤使用にも耐える信頼性をめざします。
その他、消耗品も交換します。
前後ホイールはハブブラスト&スポーク張替えし、タイヤ&チューブも新品に交換。
フロントフォークOHにブレーキOH等々、ここでは書ききれません・・・
外観は完璧とまではいきませんが、当店オリジナルパーツをふんだんに組み込み「走る」「曲がる」「止まる」位は当時物にしたいものです。
尚、現在欠品パーツもございます故、納期には相当時間を要します!がしかし、安心してKH250を楽しんで頂けると確信しております。
安心できるKHをお求めで、かつ納期を焦らず待って頂ける奇特な方?からのご連絡お待ちしております。
その他もう一台、希少な国内物250SSございます、詳しくはお電話にてお問合せ下さいませ。。
中古車の販売形態について
「オーバーホール済み」
これほどあいまいで都合のいい表現の言葉はありません・・・
何をもってオーバーホール(以下OH)と呼ぶのか、全くもって定義などありません。
腰上を開けただけでOH済みと言う方もいれば、腰下まで完全にバラし、各部計測後、修理書の基準値を持って修正もしくは交換を行う事をOHと呼ぶ人もいます。酷い場合はバラして清掃し、組み立てたただけでOH済みと呼ぶ不届き者もいます。
特に旧車の場合、一時期、中古車の流通過程にかなり問題があった時期もありました。
メーターの改ざん、修復暦の定義などなど・・・最近ではそれに加えて、やれ当時物だ国内物だ、フルオリジナルだと理解に苦しむ付加価値が生まれ、いよいよ選定が困難になっているのが現状です。
それ故、当店では、極力エンジンを開けた状態で中古車を販売したいと考えています。
この売り方が正しいかどうか、未だ模索中なのですが、5~6年落ちの通常の中古車と違い、キチンとした定義もなく一部の心無い業者が存在する現状では、購入に不安をかかえながら決めておられるユーザーが多いのも事実です。
だから一つの販売形態としてエンジンを開けた状態で販売する事を提案してみました。
また、そのような販売形態にするのも、中古車市場に流通している殆どのKHがリング音どころか、クランクベアリングから異音発し、マフラーを外してEXポートから覗いたピストンは縦傷まみれです・・・
良心的な中古車店では、腰上くらいは開けてくれる場合もありますが、KHシリーズの持病であるセカンドギアの抜けや、クランクベアリングの異音、並びにセンターシールの劣化などを考えると、前回書いた焼き付きのリスクも含め、結局全バラするハメとなります。
だから中古車の仕入れは、中途半端にエンジンが掛かっている車両より、仕入れ価格が安く、その分OHにまわせる不動車の方がよかったりします。
実際にエンジンをバラし、各部入念に計測し、修理書の基準値に基づいて良否判定をする。
これが理想ですが、交換の判定が下されたとしても部品がない現実にはどうしょうもありません。
だから「フルOH」なんて供給部品に心配のないZ系以外、悲しいかな現実不可能なんです・・・
でも、できる限りの部品は交換したいものです・・・
当店ではエンジンの心臓であるクランクに関しては程度の良い悪いに関わらず、全ベアリング、コンロッドピン、センターシール、大端ベアリングは交換の上、入念に芯出しします。
めったに開ける事のない腰下だからこそ、開けた時には、できる限りの事はやっておきたいですもんね・・・
このキックリターンスプリングもしかり、もちろんとっくにメーカ製造廃止の上、ヘタリやすく折れてしまう個体もあるようです。
問答無用で当店オリジナルのリターンスプリングに交換します。
今でこそマッハ専門の何店舗がリプロパーツとして出していますが、10年程前は今みたいにリプロパーツは少なく、程度の良い中古を探すか自分で制作するしかありませんでした。
「無いなら造る・・・」
どうしてもスプリングの中古品なんて使いたくなかったので、この頃からそう思い始めたのかもしれません。
スタッドボルトなんて、特殊ナットで位置決めを行わない250や350は本当によく曲っています。
それ故、シリンダーを抜く時、固着に加えて曲がりが抜けにくくし、無理な所を叩いたりしてフィンを割ってしまう方もいます。
これももちろんメーカー製造廃止ですので造るしかありませんでした。
ピストン、リング、ピンにはWPC処理を施し万全を期します。
この画像は試験的に電触を恐れず、試験的にステンレススタッドボルトを使用しましたが、量産品ではクロモリ鋼を採用しています。
ピストンクリアランスは過去に何度も試験し、何基もエンジンをオシャカにして得たクリアランスに設定します。
もちろん排気量によって異なります。
ミッションのギアはもちろん、ドッグの状態や、よく焼けただれるシフトフォークも入念に計測、点検します。
やはりこの部分にも本当に効果のあるWPC処理を全数行いたいのですが、やはりコストの問題があり、毎回本当に悩みます・・・
ZやH2ならともかく、なかなかこんな部分にまでコストをかけて頂ける中型のKHのお客様は稀です。
今回、一番訴えたかったのは、本当はココなんです、どうしても中古車の場合、原価を上げたくはありません。
ミッションに高価なWPCを施工したとしても、組んでしまえば見えませんし、効果の方も比べる物がないので満足感は得られ難いんです・・・
かけた原価を販売価格に転嫁できればなにも問題ないのですが、やはりネット販売が主流となりつつある昨今、値段の順で検索されるとなるど、店頭価格を決めるのにも神経を使います。
競争力のある店頭価格にしょうとすれば、やはりそのまま何もせず組まざるを得なくなります・・・
だからエンジンを開けた状態で販売してみたいと思うようになりました。
開けた状態でオプション設定としておれば、WPCを施工しても工賃はかかりません。
特にこのKHなんて、本当にミッションの状態はよく、10台中9台は焼けただれているシフトフォークやシフタードラムなんて新車かな?と思うほどキレイな状態です。
せっかくこんな程度のいいエンジンなので、このままケースを閉じることに後ろ髪を惹かれる思いなんです・・・
できる限りこんないい状態のパーツを、永きに渡り維持して欲しいと願ってやみません。
OHする度に倉庫に程度の良いパーツをあさりまくってきたからこそ、このエンジンの程度の貴重さが痛い程解るんです。
これは私のKHに組み込む前のWPC処理を終えたシフト関係のパーツです。
ここまでやると、もはや「暗示」の世界ですが、将来の部品供給を考えるとそうさせてしまうのかもしれません。
でも、私のKHみたく全てのパーツにWPC処理をする必要はありません、要所要所でいいので、ココだけはという所には施工したいですね・・・
だから売れるまでエンジンは開けておこうと思います。
スピードショップイトウ オリジナルゼファー750用FCR35φキャブキット
ゼファー750用FCRキットは今更珍しいものでもありませんが、世間一般で見るFCRは何故か見た目がシックリきません・・・
それは無駄にデカいチェーンテンショナーのせいで、どうしてもスピゴット(インマニ)が長くなってしまう為なんです。
これはZR7系エンジンを搭載した後期型ゼファー750なので、テンショナーは小さくなっており、スピゴットを短くしても干渉しません。前期型でも、マニュアルテンショナーに交換すれば、装着可能かと思われます。
スピードショップイトウさん(以下SSイトウ)で、ショートスピゴット対応のFCR35を、ゼファー750用にニードルをリセッテイングして販売してくれます。
ズビゴットの長さというのは、エンジン特性に顕著に作用します。一般的にインマニが長くなると低速型になるといわれ、短いと高回転型になるといわれます。
四輪などでは、吸気管長を変化させる機構をもった原動機も存在している位なのですが、口径やファンネルなど、多数の要素があるので一概にはいえません。
それよりもやはりオートバイ、特に「単車」と呼ばれた時代の車両は「見た目」も重要なファクターとなりえます。
このSSイトウFCR35は、ショートスピゴットと、よもすれば少し口径オーバーかなと思われるビッグボディーの35φと言う吸入空気量がもたらすフィールはノーマルのそれとは比較しようの無いほど激変し、高回転での官能的なフィールをもたらしてくれます。
大きけりゃいいって事のないキャブ口径の選定ですが、逆に口径が小さ過ぎてもアクセルの開閉に対し、ギクシャクする場合もあります。
数多くのレースで培われた伊藤晶雄氏によるジェットニードルの選定のおかげで、心配していた中低速のもたつきなど皆無であり、
ことこのマフラー以外フルノーマルのゼファー750に関しては、逆に中低速でのアクセルのツキも程よく穏やかで、非常に乗り易くベストな口径となりました。
ただし、ビッグボディー故、どうして大きなノーマルの燃料コックではボディーと干渉してしまいます。GSXやピンゲルなどの小さめのコックへの換装が必須となります。
やっぱし、これくらいの吸気管長の方が、リッタークラスよりも高回転が使えるナナハンクラスはベストな選択ですが、何より見た目はバツグンにカッコいいですしね!
これで、こう少し長めのファンネルを装着すればなおカッコよろしですね。
KHのスイングアーム
KHのスイングアームは画像のように、旧式の砲金ブッシュで支持されています。
動きがいい訳がありません・・・
Z系でも初期のRSはブッシング支持ですが、A4かD1辺りからニードルベアリング支持に改良されています。
もちろん今頃のオートバイは、ほぼニードルベアリングで支持されています。
要はシャフトを「面」で支えるか「線」で支えるかの違いなのですが、今更ここだけベアリング化したからといって、劇的に路面追従性が上がる訳ではないでしょうが、ビ〇ーパンツよろしく「下着のオシャレ」感覚で造ってみたら、自分でもビックリするほど旋回性能が上がっているじゃ~あ~りませんか。
おそらく、一緒に交換したリアサスのおかげかもしれませんが、明らかに「サスが動く」んです!
「当時物」に拘った、こてこてカスタムも嫌いじゃない私ですが、「見えないオシャレ」も楽しいですよ。
マッハ KH トリプルシリーズの都市伝説?
マッハやKHの話で何故か「真ん中が焼ける」とよく言われます・・・
がっ!しかしである。
私の経験上、何故か3番シリンダー(勝手に右から順に呼んでます本当は1番)ばかり焼き付いています。
この帰国子女のKH400もキッチリ3番シリンダーが焼きついています・・・
マッハ系のシリンダーレイアウトだけを見ると、やはり真ん中のシリンダーの冷却効率が悪く見えますが、適正なピストンクリアランスとキチンとしたオイル管理をしていれば、そうそう焼きつくという事はありません。
では何故3番ばかり焼けるのか??
それは、単純にオイルポンプから「遠い」事に尽きます・・・
どうしてもデリバリパイプも長くなり、油圧の低下やポンプワッシャーからのエア噛みなども疑われます。
また、純正オイルポンプの信頼性が低いのもありますが、
タコメーターと共にオイルポンプを駆動している、チープなプラスチック製のギアとシャフトに不具合が出ている車両も多いですね・・・
オイルさえ切らさなければ、そうそう焼きつく物ではないハズなんですが・・・
そうやって永い間にマッハの「都市伝説」として拡散していったのでしょうね・・・
みなさん、くれぐれも「真ん中」ではなく、「3番」に気を使ってあげて下さいね!
KH250 400のシフトフォークについて
KH250に限らず、マッハ系トリプル全車に言えるんですが、バラせば間違いなく4TH&TOPフォークが焼けただれています・・・
恐らく4TH&TOPフォークはケース上部に着く為、オイルの潤滑に問題があるのかもしれません。
もちろんKH250の純正部品はありませんので、新たに作るか、現物を修理して使うしかありません(涙)
さすがにフォークの新造となると、コストがかかり過ぎるので、試作的に特殊溶接による「肉盛り」をして頂きました。
素材との相性や、熱による歪などを考慮しないと、後で使い物にならなくなります。肉盛りの作業には長年の勘と熟練の技術を要します。
肉盛りが完了したら、フライスで修正しますが、やはりこの一連の作業もコストとの兼ね合いが・・・
う~ん・・・Z系みたく、数が読めれば、新造するんやけどね・・・
KH250 400のギア抜けについて
マッハに限らず、750から250まで全てのトリプルシリーズに言える事ですが、マッハらしい走りをすれば、必ずといっていい程ミッションがダメになります・・・
なんせ一番よく使うセカンドがダメになり、コーナーの出口などでパワーをかけると、いきなりエンジンが「ウォ~ン」となり、恐ろしやら、恥ずかしいやら(涙)
シフトミスによるオーバーレブは、ヘタをすると一番最悪な「焼き付き」と言う致命傷を引き起こす可能性が大です・・・
その原因として、クラッチの切れ不良、シフタードラムの摩耗、シフトシャフトの摩耗、リターンスプリングのへたり、シフトフォークの焼け&摩耗当等色々ありますが、やはり一番の原因はドッグの摩耗による嚙み合わせ不良です。
一番目の画像は、私が30年前、究極の負のスパイラルに陥り、挙句の果てには、シフトペダルを左足で常に保持しておかないと走れなくなってしまった時の(笑)摩耗しきったギアです。
シフターフォークの送り量の問題もありますが、パワーがミッションギアに掛かると噛み合わさったギアの部分(ドッグ部)に戻そうそうとする反力が掛かります。
正常な嚙み合わせ状態のドッグなら、問題ないのですが、摩耗により先が丸くなると、余計に抜け易くなり、負のスパイラルに陥ります。中にはドッグをアンダーカットして、逆テーパを付け抜け対策をされている強者もいらっしゃいますが本来、歯車というのは、外側が硬く、中は粘っこくなるよう熱処理されているので、アンダーカットすると、後処理に問題が残ります。
次回へ続く。
泣き所
トリプルシリーズに乗る限り、避けて通れないのが「ギア抜け」です。
非力なKH250ですら、ミッショントラブルが発生するのに、その倍以上のH1やH2なら・・・(汗)
カワサキトリプルシリーズは長兄のH2から、末弟のKH250まで基本的な構造は変わりません。
H2に限っては殆どH1とミッション強度が変わらないので、マッハらしい走りをすると、確実にミッションが逝ってしまいます。
クラッチの切れが悪いのもありますが、当時はSCM21と言う一応クロームモリブデン鋼で制作されていますが、焼き入れなど、当時は浸炭焼き入れなどが主流で、現在のSCM435+高周波焼き入れなどを施したギアとは雲泥の差があります。
どうしても、ドックが摩耗するとギアのかみ合わせが悪く、より抜け易くなり、さらに摩耗するという負のスパイラルに陥ります・・・
もちろん新品純正部品など、とうの昔に欠品となっており、中古のギアをだましだまし使うしかありませんでした。
「無いなら造るしかない!」
とはいえ、Z系みたく数を読める訳でもなく、中型でマイナーなKHのギアを制作しても売れるとは・・・
でもあきらめきれません!!
とりあえず量産するかどうかは別として、一番消耗が激しいセカンド(フォースギア)の試作品を作る事にしました。
もちろん粘りも強度も段違いのSCM435材に高周波焼き入れ+ショットピーニング(WPC処理)で完璧に仕上げ、自分のKHで長期テストをしてみたいと思います。
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今日はシーズカンパニーの登山さんの所へ新年のご挨拶によったら、
ナント、元カワサキ&モリワキファクトリーライダーだった多田選手がいらっしゃいました。
物凄くフレンドリーな方で、終始緊張ぎみの私に気さくに声をかけて下さったり、当時の濃~い裏話などを聞かせて頂け、本当に夢のような時間でした。
あの黄金の80年代を駆け抜けたカワサキの侍にお会いできた上、
ナント私のKHにまたがってくれて記念撮影。
それはもう家宝にさせて頂きます!
多田さんの現在の愛車がGPz750Rだったのが侍らしく、凄く印象的でした・・・
多田さん、登山さん本当にありがとうございました。