兵庫県加古川市のガレージ トライシクルのブログです Archive | 旧車レストア

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泣き所

トリプルシリーズに乗る限り、避けて通れないのが「ギア抜け」です。

非力なKH250ですら、ミッショントラブルが発生するのに、その倍以上のH1やH2なら・・・(汗)
カワサキトリプルシリーズは長兄のH2から、末弟のKH250まで基本的な構造は変わりません。
H2に限っては殆どH1とミッション強度が変わらないので、マッハらしい走りをすると、確実にミッションが逝ってしまいます。

クラッチの切れが悪いのもありますが、当時はSCM21と言う一応クロームモリブデン鋼で制作されていますが、焼き入れなど、当時は浸炭焼き入れなどが主流で、現在のSCM435+高周波焼き入れなどを施したギアとは雲泥の差があります。
どうしても、ドックが摩耗するとギアのかみ合わせが悪く、より抜け易くなり、さらに摩耗するという負のスパイラルに陥ります・・・
もちろん新品純正部品など、とうの昔に欠品となっており、中古のギアをだましだまし使うしかありませんでした。

「無いなら造るしかない!」

とはいえ、Z系みたく数を読める訳でもなく、中型でマイナーなKHのギアを制作しても売れるとは・・・
でもあきらめきれません!!

とりあえず量産するかどうかは別として、一番消耗が激しいセカンド(フォースギア)の試作品を作る事にしました。
もちろん粘りも強度も段違いのSCM435材に高周波焼き入れ+ショットピーニング(WPC処理)で完璧に仕上げ、自分のKHで長期テストをしてみたいと思います。

足回りのオーバーホール作業

地味な作業・・・

最近、当店では、よく足回りのオーバーホール作業を承ります。
フロントフォークOHに始まり、スイングアームピボットのグリスアップやステムシャフトのグリスアップなどなど・・・

 

この様な地味な作業は、ショップ側に限らず、お客様側としても、カスタムの様な華やかさもなく、見た目も殆ど変わらない割りに、それなりの工賃もかかる為、双方がやりたがりません・・・

 

 

かく言う私も、同じ地道な作業ならキャブセッティングなどの方が好きなんですが、ヤレた車両であればある程、コレをやると本当に見違えるように「足が動く」様になるので、引き渡し時にお客様が「全然違う!」と喜んでくれる事が唯一の励みです。

 

オートバイに乗る方の平均年齢がどんどん上がってきた事は、少し寂しくもありますが、地味な「整備」にキチンとお金をかけて頂けるライダーが増えた事は、オートバイが、熟成された趣味になってきたからかもしれませんね。

このような作業を、当店に依頼して頂ける事を誇りに思いながら、今一度、襟を正して作業していこうと思う今日この頃です。

最終エボリューションエンジン搭載の1998年ローライダー

ずいぶん前にサルベージしてきた最終エボリューションエンジン搭載の1998年ローライダー。

今となっては極端に登録台数の少ない正規ディーラー物のエボローライダーを「放置プレイ」するなんて・・・

しかし、ソレは想像を絶する程の長い道のりでした・・・
「走る」「曲がる」「止まる」+「なんとか観れる様にする」には相当の労力と時間を要しました。

嫁や息子まで?駆り出して「サビトリ」&「研磨」の連続です(涙)
サスペンション関係からブレーキ関係まで、徹底的に整備し、
キャブレターを全バラ清掃、完全ドライ状態になったエンジンをいたわりながら、再始動。

セル一発で、10年以上も主人を失ったエボローライダーは、再び心地よい「三拍子」を奏でだしました。

2センチの拘り。

現在、トライシクルにて再生中の98年式ローライダー、
この車両は、いわゆる「エボ」と言われるエンジンを積んだ最終モデルです。
この貴重な最終モデルを15年以上、ほぼ産業廃棄物状態にまで「放置プレイ」された車両を、まずは「普通に走れる事」を目標に足回りから再生していきます。

最終とはいえ、生産からすでに19年も経っており、オリジナルの補給品もだいぶ欠品となってきました。
ハーレーの場合、幸いにも「社外品」というリプレイスメントパーツが多数あり、オリジナルにさえ拘らなければ、戦前のハーレーであっても代替部品には困りません。
しかし、あれだけのリプロパーツがあるのに、マイナーなダイナ、
しかもエボ後期のローライダーのサスのインナーチューブは、「設定なし」なんです(涙)
ところが、2センチ程短いインナーチューブの設定はあり、2センチ位なら間違いなく使用には問題ありませんが、私は許せません!
安価なリプロ製品も決して悪くはありませんが、2センチがどうしても・・・(笑)

そうなるともう、今ある物をなんとか再生して使うしかありません。
決してコストを度外視するわけではありませんが、割高な「再メッキ」に出すことに。

一概に「鍍金」といっても色々あるんです。ネジなんかにするユニクロメッキから金メッキやクロームメッキなどなど・・・
フロントフォークに施工されているメッキは硬質クロームメッキといってかなり硬いメッキを施します。

数日後、再メッキ工場へ送ったインナーチューブが帰ってきました。

それはもう「新品」といっても過言ではない仕上がりに思わずウットリ(笑)

フロントフォークなら、インナーチューブ以外のオイルシールやスライドメタルなどは、他車流用も比較的容易です。
「部品がない!」と修理をあきらめていた方も、「再メッキ」をかける事で、新車の足を蘇らせる事も不可能ではありません。
絶版車に乗るかぎり、「欠品」という壁は避けて通る事はできません・・・
「欠品」でお悩みの方、一度トライシクルへご相談下さい。

そして今後も、トライシクルで再生したり、ワンオフ制作した物なんかもUPしていく予定です。乞うご期待下さいませ。

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