400SS トラブルシュート
400SS続き その2
ミドルマッハの400SSの点火装置はKH400などのフラマグCDIとは異なり、バッテリー点火、いわゆるポイント点火とよばれる原動機黎明期からある、最も古典的な点火方式です。
ポイント点火は、調整こそ必要ですが、構成部品は単純ですので、修理は意外と簡単?です。
カワサキトリプルシリーズはこのポイント点火と、無接点CDIの二種類があります。
この頃はCDIシステムの黎明期とあって、下手すると毎年システムが変更されたりした事もありました。
初期型KA500SSは当時では最新鋭のCDIでしたが、車のようにコイルが一個で、ディストリビューターを介して各気筒に二次電流を分配していました。デスビがあるので、ローターとチップでかなりロスが出るし、リーク問題等もあり、H1Bでは古典的なポイント点火に戻ってしまいました。
H1Dになり、またまたCDIになったと思えば、H1EやFでそのCDIシステムが変更になり互換性もありません。
これだけの点火バリエーションがある機種も珍しいのですが、おそらくコストの問題と、輸出モデルにおいて、細かい調整が好まれない北米モデルにはメンテフリーのCDIシステムが採用され、コストも安く、信頼性の高いポイント点火は、主に国内向け車両に採用されたのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、この400SSはポイント点火と言いました。
ポイント点火は煩わしいポイントギャップの調整があるので、世間ではあまり歓迎されていませんが、CDI点火のような点火ユニット、いわゆる「ブラックBOX」がありません。
CDIやフルトラはメンテナンスフリーですが、ブラックボックスがあるので、ユニットがパンクすればもうどうしようもありませんが、ポイント式はエンジンが不調になったとしても、取りあえず走る事が可能です。
今回は、ポイントもコンデンサーも交換されたそうですが、エンジンは不調のままです。
エンジン本体やキャブも点検するも、異常は見受けられませんでした・・・
単純な物ほど奥が深い・・・
この言葉が頭をよぎります。
五感を研ぎ澄まして再度各部を点検します。時には匂いを嗅いたり、手で感触を確かめたりと旧車の修理にはやはり「勘」も必要です。
すると、ポイントの開閉運動に違和感を感じました。なぜかポイントが閉じている時間より、開いている時間の方が長いという、今まで経験したことのない動きをしてます。
ここで、ドエルアングルテスターの登場です。ドエルアングルテスターなんて、もはや修理現場では死語となった計測機器です。
プロの方でも、整備士の講習会とかでしか使ったことの方も多いと思います。平成に入ってからは軽貨物でさえフルトラ化の波が押し寄せ、よほど古い整備工場でしか持っていない化石のような機器かもしれません・・・
ドエル角とはポイントは閉じている角度の事で、ポイント点火車にとっては重要な角度です。
ドエル角とポイントギャップは密接関係なので、詳しい話はここでは割愛し、誤解を恐れずに言えば、ポイントギャップが合っていれば、だいたいのドエルアングルは問題ないはずです。
今回、このSSも、ポイントギャップは入念に合わせたハズなのに、ドエルアングルが基準値になりません・・・
もしかしてポイントカムかも・・・
お客様の当初の問診で、「納車されて少しの間は調子が良かった」の言葉に惑わされたのかもしれません。
上記の画像でも解るように、外からパッと見では、内部まで見えませんし、外観上は異常も見受けられません。しかし、こんなドエル角になるにはポイントカムが「ハート型?」にならないと不可能です。
再度、ポイントヨークをバラし、ポイントカムを外してじっくり観察すると、ビックリ仰天!
画像では解りにくいのですが、ヒールとの摺動面が著しく虫喰い状に偏磨耗しており、あきらかに段差ができてしまっているではありませんか!
これでは、ポイントが正常な動きをする訳がなく、ポイントやコンデンサーを交換しても調子が出なかった理由が合点します。
「コイツやったんや・・・」
不調の原因さえ特定できればコッチのもんです。ただ、悲しいかなこいつも、もちろんメーカー在庫なんてある訳がありません・・・
こうなれば、中古部品を探すしかないのですが、中古を使うと、間違いなく同じ事がおこります。
今回はおそらくポイントカムの潤滑をしているフェルトのメンテナンス不良が原因ですが、
私もまさかベーグライトでできたポイントヒールと、鉄製のポイントカムが喧嘩して、鉄が負けるなんて想像もしていませんでした。
何年も前にポイントカムに「気休め」でWPC加工を施した事を思い出し、倉庫を家捜しする事しばし、カムを見て昔の記憶が蘇りました。何年か前、このWPC加工済みポイントカムを15000円でヤフオクに出品しましたが、高すぎたのか、まったくノーコール(涙)。WPC加工代も決して安くはなかったので、安売りするくらいなら・・・と自身で保管していました。
こんなパーツに高価な加工を施しても、市場では受け入れられない・・・と少しガッカリしていたのですが、やはりこんな部品こそWPC加工の恩恵を受けるんだと今回確信でき、嬉しく思えました。オーナーにもこの事を報告し、WPC加工済みポイントカムへの交換を快諾して頂きました。
キック一発でトリプルは目覚め、キレイな三重奏を奏でています。
旧車には高価絶大の3sqで製作したエンジンアースも追加し、試乗しました。ポイント車らしい、
中低速のトルクが太くて非常に乗り易く、結果として速いマッハになりました。
取りに来て頂いたオーナー様にも試乗して頂き、「怖いくらいの加速だった!」と言う最高の褒め言葉を頂きました。
今回、やはり「ヤフオク」という一見、便利で安そうな購入をされ、結果的に高くついたかもしれません・・・
ミドルマッハはどうしても旧舎会?系のお兄さんなどに人気で「音だけ」と揶揄される事が多いですが、キチンと整備すれば非力と言われるKH400であっても、そこは腐っても2サイクル400cc、遅いハズがありません。
今回、見た目などは、マッタク変わらない本当に地味な依頼内容でしたが、唯一違うのは以前とは比較にならない「信頼性」です。
私も、20年程前、遠方のミーティングなどに参加する時、テールカウルの中は工具で満載はもちろん、下手すると、当時の彼女(現在の嫁さん)に「車でついてきてもらう」という事が当たり前でした(笑)
しかし、よ~く考えて頂きたい、マッハやKHが新車で売られていた当時、テールカウルに工具を満載して、車で後ろについてきてもらわないとツーリングは不可能だったでしょうか?「旧車だから」の一言で、片付けてはいないでしょうか?
フルオリジナルだ、当時物だとかを自慢する輩を否定はしませんが、完全な「整備」を施し、現在のパーツを流用する事で、ロングツーリングはもちろん、通勤にだって使う事は不可能ではありません。
思い入れ、憧れてやっとの思いで購入した旧車だからこそ、最低限、動力性能くらいは「当時物」にしてあげて欲しい・・・
新年明けましておめでとうございます。第一号は他人事とは思えないマッハ。
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今年一発目は、年末ギリギリに納車した、珍しい国内物の400SSマッハの修理記事でスタート!
一号なので、少し長めの内容ですが、最後まで見て頂けますと幸いです。
右側三本出しバラチャンとセブンスターキャストが決まった珍しい400SSマッハ。
聞けば、「ヤフオクで購入したが、調子が悪く、自分で修理したらエンジンが掛からなくなった」という内容。
・・・・・・コレは修理屋にとって一番やりたくない仕事かもしれません。
人が途中まで修理しかけて投げ出した場合、自分で部品をバラした訳ではないので、倍以上の時間が掛かります。
ましてや今回、ご自身で配線をやり直したまではいいのですが、「純正のカプラーは切断し、ギボシで作り直したが、電装関係もおかしくなってしまった」といいます(汗)
純正のカプラーを捨て、配線も変えてしまうと、配線図が役に立たなくなります・・・
やはり、近所の修理屋さんでは断られたらしく、このブログを見て、藁にもすがる思いで当店に電話された様です。
もちろん当店でもやりたくない作業ですが、瞬時に18歳の時の記憶が頭をよぎります。
そうです、私も何を隠そう、マッタク同じ失敗を整備士学校に入学した直後にやらかしました。
自分で配線をやり直そうとして、途中で訳が解らなくなって、エンジンが掛からなくなってしまったんです・・・
もちろん、当時、配線図などあるわけなく、それにもましてこの当時のカワサキ車は、赤に白を繋ぐとか、現在の常識では考えられない配線方法です。見知らぬ土地で唯一の足だったKHの故障は、私にとってそれは死活問題でした。
当時はネットなどもちろんありませんから、電話帳のバイク屋さんにかたっぱしから電話しまくったんですが、
「そんなもん、人の失敗のケツ拭きなんかできるか!」と怒鳴られたバイク屋さえありました・・・
やっとの事、各務ヶ原にあるカワサキグリーンショップ(現RSオオワキ様)になんとか頼み込んで修理を受けて頂きました。
あの時、修理から上がってきたKHのエンジン音を聞いたときの感動と御恩は今でも忘れる事ができません・・・
だから、他人事とは思えなかったんです・・・
素人さんにしては番号を打つなどして、それなりに努力された後は見受けられますが、
配線すべて黒というのはいただけません・・・
その時はいいですが、純正の配線を無視して作り直すと、後から見た別の人間には、何が何んだかマッタク解りませんし、なにより配線図が使い物にならなくなります。もし、旅先などでトラぶってもまず見てくれる修理屋はありません。
だから、私達は純正に拘ります。お客様がもし、遠方でトラぶったとしても、配線図がみれる修理屋さんなら、旧車に強くないお店でも修理ができます。配線図なんてそれこそFAXでだって送れちゃいますから。
ご自身でコンデンサーとポイントも交換されたそうですが、調子は良くならかったらしく、配線では?と思って配線に手を出したそうなので、まず徹底的に現状の把握とトラブルシュートを行います。
良く見ると、コンデンサーの端子を繋ぐ位置が違っていたりはしていましたが、圧縮もあり、不調の原因はその辺りではなさそうです・・・
トラブルシュートは一つ一つ着実に殺して行き、ちゃんとした原因を突き止めないと絶対に「再修理」が待っています。
未だ「コレや!」という内容にはたどり着きません・・・
コイルも社外の強化品に変更されていますが、抵抗値を確認しないと、フルトラ用の3Ω程度のコイルを使用すると、いずれコイルがパンクします、それ以前に取り付け方法がビニールテープにタイラップという状態です・・・
コイルは熱を持ちますから、ブラケットは固定の役目だけではなく、熱をフレームに逃がすという役も兼ねており、これでは熱が逃げず、抵抗値があっていたとしてもパンクのリスクが伴います。
私も過去はそうでしたが、どうしても「強化品」という響きに弱く、基本的な事がおろそかになりがちです。
ただ、キチンとツボさえ押さえれば、強化コイルに換装すると、ジェットの番手が変わってしまうほど効果があるのも事実です。
今回はまず、全て純正に戻し、発電関係や配線関係、並びに充電関係のリフレッシュを行い、信頼性の大幅な向上を狙います。
メインハーネスはもちろん、ジェネレターコイルからの配線、バッテリーリードまで引き直し、外されていたヒューズBOXも復元します。
ヨークはブラストし、配線もすべて引きなおし、リビルドが完了したジェネレータ
見た目も気持ちいいですね!
メインハーネスだけ引きなおしても、バッテリーリードや、ジェネレーターからの配線も引きなさないと効果が半減です。
この一連の作業を行うと、ヘッドライトはもちろんメーターインジケーターの明かりまではっきり違いが解ります。
人間で言うと大動脈を交換したような物ですね。
せっかく発電所や送電線をリフレッシュしたのなら、変電所まで更新したいですよね・・・
以前は純正他車流用でしたが、今回は一体型高性能ICレギュレターを使います。
なるべく純正の雰囲気を崩したくないので、冷却性は多少犠牲にしますが、バッテリーケースに小加工して取り付けました。
レギュレターとレクチファイヤーが一体となるので、スッキリしますし何より高性能IC内臓ですので、MFバッテリーの使用さえ可能です。ただ、マッハ系の充電システムは元々脆弱な上、セルモーターなどの電力消費の大きな物もありませんし、電圧制御も緻密になり過充電にもなり難くバッテリーの持ちが比較的に良くなると思うので、通常タイプの液入りバッテリーで良いと思います。
グチャグチャになっていてた配線も、ギボシをハンダ着けするなどして信頼性を向上させ、
灯火系統も全て点灯させ修理完了、国内物のみ付いていた速度警告灯も配線を繋ぎ直し点灯させました。
当時は、毛嫌いされた速度警告灯も、今となっては国内物の証ですので、点灯させるように修理しました。
電装関係の修理は予定通りに完了しましたが、肝心のエンジンが不調のままです。
圧縮はコンプレッションゲージの数値が三気筒とも基準内でしたので、不調の原因は混合気か点火しかありません。
キャブが二次エアを吸っている訳でもなさそうですし、キャブ各部を点検するも異常はなさそうです。
やはり点火が原因の可能性が大ですね。
次回へと続く・・・
高知のKH乗りさん。
KH乗りなら誰もが知っている?カリスマブロガーのノリさん。
高知県在住のKHをこよなく愛す好青年です。
随分前、まだサラリーマンだった私がネットで数少ないKHネタを探していると、
それはそれは写真の美しいブログを発見!
あまりのKHの美しさに見とれてしまった記憶が・・・
写真が美しいのもそうですが、その美しいKHのある部分を見て衝撃が走りました!
よ~く見ると、ナントあのヨシムラTMキャブが装着されているではありませんか!!
パーツの入手困難な上、センシティブなノーマルキャブにうんざりし、どうにかして社外キャブを付けてやろうと試行錯誤していた矢先に、私の目に飛び込んできたTMフラットバルブキャブの画像・・・
その頃、私の知る限り、KHに社外キャブを付けている人は誰一人として見た事が無かったので、正直「ヤラれた・・・先を越された」と落ち込みましたが、私もPWK28の取り付けに一段落していたので、「向こうは26φやし・・・」と自分に言い聞かせたのがついこの間のようです(笑)
またキャブについては、おいおいUPさせて頂きますね。
それからしばらくして、徳島であったBRCさんのミーティングで、あのブログのKHを発見!
これは何としてでもお話しないと!と思い、会場を見渡すも、ブログでしか見た事のない方を探すのは超アナログ世代の私には大変です・・・なかなかオーナーらしき方が現れませんが、なんとかイベントの帰り際にオーナーを発見し、無理矢理お声掛けさせて頂きました。みんなで帰るので、あまり引き留めるといけないと思い「いつもブログ拝見させて頂いてます!」とだけ伝えるつもりだったのですが、わざわざヘルメットを脱いで、キチンと挨拶して頂いた事は、今尚、鮮明に記憶に焼き付いています・・・
一瞬の出来事だったのですが、ノリさんの人間性を垣間見たようで、一瞬でファンになってしまいました。
それから何年か後の淡路島バイクミーティングで、私がトライシクルを開店すると伝えると、
遠路遥々、高知から駆けつけてくれました。
現在のトライシクルのHPの表紙は、その時、ノリさんが撮ってくれたものなんですよ。
ウチの商品を本当に理解してくれ、私が30年のKH生活の中で、本当に困った事や、欲しかったパーツなど、「解ってくれる」嬉しさは私にとって本当の意味の報酬であったりもします。
乘り続ける大変さ、乘り続けていく大変さを解っているからこそ解ってくれるんだと・・・
また、彼の手に掛かれば、タダの単車が芸術作品になるから素晴らしい!
私もカメラの勉強をしてみたいと思うようになったのも、ノリさんのブログの影響です。
ただ、何でも凝り性で、ドップリとハマる性格の私がカメラの世界に目覚めたら・・・
それこそ破産間違いなしなので・・・(汗)
しかし、これだけ愛してもらえるKHは本当に幸せでしょうね・・・
奥様がKHに嫉妬しないか不安なのは、私だけではないハズです(笑)
彼は最近、イベントに精力的に参加し、撮影会も行っているようですので、
愛車を、それはまるで七五三写真のように美しく撮ってくれる事間違いなしです!
ブログには、本当に美しい、芸術のような単車達が多数写し出されています。
目の保養にぜひ一度、ご覧くださいませ。
「高知のKH乗り」
https://blogs.yahoo.co.jp/nori_kh400cc_1115
カワサキの聖地 明石市
私の生まれ育った街のすぐ隣地区の明石市二見町へ、先ほど納車に行ってきました。
明石市は、日本標準時の街として有名?ですが、我らカワサキ党には、川崎重工明石工場のある、
カワサキ乘りの聖地としての方がしっくりくるかもしれません。
川崎重工では、オートバイは昔から、明石工場でのみしか生産していませんから、
全世界で活躍しているマッハやZ、いえ、カワサキ製のすべてのオートバイは、
この田舎町から生まれています。
私には、いつも見慣れた風景なのですが、特に西部地区はな~んにもなく、あるのは鄙びた漁村だけです。
今日も、冬タコの水揚げ作業が行われていました。
今や「明石蛸」として全国に出荷されるブランド品となりましたが、
その多くが西部地区で水揚げされ、特に古典的な漁法の「蛸壺」で獲られた蛸は痛みが少なく、高値で取引されます。
浜のそこらにタコツボが転がっている風景は、子供の頃からほとんど変わる事がありません。
若い頃は本当に何もない田舎町と思っていましたが、歳を重ねると、何もないと思っていた場所に、本当にいろいろ楽しい物がある事に気付かされます。
そういえば、小さい頃、浜にさえ行けば、遊ぶ事に困った記憶などなかったっけ・・・
いにしえの昔より変わる事のない漁師街独特の入り組んだ、まるで「尾道」かと錯覚するような街並みに張り巡らされた路地や坂道は、失いかかっている日本の風景にさえ見えてきます。
このお家なんて、絶対車庫証明は取れんやろな・・・とかいらぬ心配をしながら(笑)街をぶらり。
この辺りは、火事などあれば間違いなく消防車は入れません・・・多くが昔ながらの木造家屋なので、地元の「消防団」だけが頼りなのです。
明石には、名物の明石蛸を使った、「玉子焼き」というB級グルメがあります。
アッツアッツに焼けた玉子焼きを出汁につけて食べるのが明石流。
世間では「明石焼」と呼ばれますが、地元民は明石焼とは呼ばず、玉子焼きといいます。
また、一皿や一個とは言わず、「オカ~ちゃん、玉子一枚やいてんか!」と言って注文するんですよ。
ただ最近では、B級グルメブームのあおりを受け、お店やお客さんが増え、地元産のタコが追いつかず、外国産のタコを使う玉子焼き屋さんが多くなったのは寂しい限りです・・・
当、トライシクルは加古川市の一番東の端にありますが、
信号一つでそこからは聖地明石になります。
カワサキ乘りのみなさん、ぜひ一度、愛車の生まれ故郷、
明石へ愛車と一緒に里帰りしてみませんか?
スピードショップ イトウ 伊藤晶雄という男。
スピードショップ イトウといえば、バイクスピークというアメリカの過酷なレースに参戦、テイストオブ筑波などなど、レースの世界、並びにZ系カスタムにおいて、もはや説明の必要もない程の有名なショップになっています。
その店の代表、伊藤晶雄とは、たまたま岐阜にある中日本自動車短期大学で同級生でした。
彼と初めての出会いを今だ鮮烈に覚えています、18歳の一回生の時、学生専用二輪駐車場で、私がKH250を止めている真横にわざわざ?750RSで乗り付け、開口一番、ぶっきらぼうに「ケッチじゃん、渋いね・・・」と声を掛けてきました。
当時、KHは超不人気車で、向こうは当時からライダーの憧れ750RS通称「ゼッツー」と呼ばれる「ナナハン」です。ましてやナナハンは免許の関係で当時は本当に数少なく、ナナハンにさえ乗っていれば、車種に関係なく羨望の眼差しで見られました。
そんなナナハンに乗った男に上から言われたもんですから、素直に受け取れる訳もなく、「コイツ、見下ろしかえ・・・」ってヒガミ半分、ホンマそう思ってるんやろか?とかで複雑な気持になった記憶が(笑)
あれから30年・・・単車屋のオヤジになる夢をあきらめきれなかった私は、長年勤めていたトヨタディーラーを辞め、トライシクルを始める事に。
今まで長い間、会社という城に守られ続けていた自分にとって、経営とはまったく無縁な世界です・・・
そんな時、岐阜で単車屋を成功させたアキオの事が頭によぎります。無理を承知で、「研修させて欲しい」とお願いするも、「単車屋なんて絶対儲からん!オレでも食うのが精一杯やぞ!」と一蹴。
今ではあの時、晶雄の言った言葉の意味を身を持って痛感していますが(笑)最終的には同級生の無理な願いを快く受け入れてくれました。
その研修で受けた「いい物だけを造りたい」という晶雄イズムの影響は相当大きく、現在の私の大きな支えとなっています。
そして今年もまた、PMC様主催の「淡路島バイクフェスタ」の時期になってきました。
今年はまだ、ブースを出せる程の物もなく、イベント経験のない私は、また晶雄を頼り「イベントの研修をさせて欲しい」と願い出ると、岐阜弁?で「ほんだら~ケッチと部品持ってくりゃ~え~わ」と軽く言ってくれます。
SSイトウのブースで展示できれば、私にとってこれ以上の事はありませんが、さすがに一つ間違うと族車か旧車会に見えるKHを展示するのは完全に場違いです、なのに彼は「もってくりゃ~宣伝になるって」。
「イメージダウンになるのでは?」と問いかけると、「そんな小さい事で、ウチはどうもならん!」と言い切ります。
それどころか、自身が長い間培ってきた人脈を惜しげもなく私に紹介してくれ、多数の大御所と呼ばれる社長様ともご挨拶する事もできました。
ただ「同級生」という繋がりだけで、はたして自分は同じ様な事を他人にできるのだろうか・・・
緻密な造り込みと、自らライディングしTOTを走り、アメリカまで遠征、ブレずに一筋でやってきたからこそ今のSSイトウがあるんだと思い込んでいましたが、それも含め、彼の懐の深さと漢気が今のSSイトウを作り上げたんだと今回改めて痛感しました・・・
来年は絶対自分のブースを出すと固く決意し、学生時代の友人と淡路島を後にします、
晶雄、本当にありがとう。
KH用 ブレンボブレーキキット 競技用
構想から6年・・・念願のKH用完全ボルトオンブレーキキットが完成しました!
最近のオートバイにお乗りの方には、まず理解できないと思いますが、ディスクブレーキ黎明期のカワサキトリプルは本当に恐ろしい程ブレーキが効きません・・・ブレーキをなんとかしょうにも強化パットすらない現状に憂慮していました。
見た目と効きや価格のバランスがとれたブレンボラグビーキャリパーをKH250、400に完全ボルトオンで装着する為、スポーク逃げ加工済みキャリパー、専用サポート、ステンレスオフセットスペーサー、取り付けボルト、アールズステンメッシュホース、ステンバンジョーボルトをセット致しました。
ホースは純正3WAYジョイントまででとしましたので、ハンドル高さを気にせず取り付け可能です。
また、お求め易くなった、ブレーキホース無しキットもご用意致しました。
すでに、メッシュホースなどに交換済みのお客様や、安価な社外ホースで組んで頂いても制動力は、ほぼ変わりませんので、この機会にぜひブレンボの制動力を手に入れて下さい!
尚、ホースなしキットは、純正のホース&ブレーキパイプのままではご使用頂けません。
現在、社外ホースに変更されている方も、キャリパー側の取り付け部をバンジョータイプに変更し、P1.0のバンジョーボルトとクラッシュワッシャーをご用意下さい。
アールズ社製ブレーキホース付きボルトオンキット 税込み106700円(税抜き97000円)
ブレーキホース無し ブレーキキット 税込み87780円(税抜き79800円)
当初、限定50台分の予定でしたが、現在キャリパーの入手が困難で、初回10台限定とさせて頂きます。キャリパーが入荷次第順次生産予定ですが、今の所、キャリパーの年内入荷は難しいとの事ですので、お急ぎの方はお早目にご連絡下さいませ。
対抗2ピストンキャリパーの通称「ラグビーキャリパー」をKHのノーマルディスクとスポークホイールに装着できる様、冶具を制作し、フライス加工いたしました。
キャリパーの肉厚にも十分注意しながら、スポークとのクリアランスが確保できるよう切削しています、切削面は融雪剤等でも腐食しない様、ウレタン塗装を施し万全を期しております。(画像は塗装前です)
キャリパーサポートにはA2070系ジュラルミン材をマシンニング加工、あえて肉抜きはせず、80年代の無骨なレーサーを意識しデザインしました。もちろん切削後のアルミの腐食対策に白色アルマイト処理を施しております。
取りつけボルトにも拘り、細目ピッチSCM鋼ボルトはもちろんの事、フォーク側にはスズコバルトメッキボルトを、キャリパー側には、黒染めより耐候性のあるブラック三価クロメートメッキボルトを採用、旧車本来の雰囲気を損なわない様に配慮致しました。
ブレーキホースも現在ではアールズ社を採用するホースメーカーはめっきり少なくなりましたが、あえて「アールズ製」を採用、安価な他社製品でもまず問題ないのでしょうが、やはり私ら世代には「アールズ」の響きは特別なものです・・・
バンジョー等々、アルミ製のフィッティングならもう少し価格も抑える事もできたのでしょうが、どうもチープな外観が・・・やはりステンフィッティングの質感だけはどうしても譲れません。オフセットスペーサーもサビとは無縁のSUS304にて制作しております。
より強力な制動力をお求めの場合、ピストン径が一回り大きいロッキード製2629キャリパー仕様も別途ご用意致しております。価格、納期等お問合せ下さいませ。
本来の性能を十分に味わって頂く為にも、マスターシリンダーのオーバーホールは必ず行って下さい。純正1/2マスター対応としていますが、ニッシン製の一体型マスターへの交換と3WAYジョイントからマスターシリンダーまでもステンメッシュホースへの交換をお勧めします。
純正のスポークホイール対応ですが、製造より40年以上経った物が殆どです。旧車故、経年変化ならびに車両個体差も相当大きいです、ホイール単体の振れは必ずご確認下さい。
スポークとキャリパーのクリアランスは1.5mm~1mmを基準としております。
クリアランスが1mm以上確保できない場合、スポークの振れ取りを再度行い、クリアランスを規定以上確保できない場合は絶対に使用しないで下さい。
尚、この商品はあくまで「競技専用部品」です。一般公道でのご使用は絶対にお止め下さい。
公道でご使用された場合、当店での責任は一切取れませんのでご了承下さい。
また、ブレーキの取り付けには必ず認証工場で行って下さい。
くれぐれも慎重に取り付け、並びにご使用の程、よろしくお願い致します。
500SS KH400用 S45C特殊ヘッドナット
500SS KH400用 S45C特殊ヘッドナット
1台分 12本 12960円(税抜き12000円)
特殊な形状の400SS、500SS、KH400用のヘッドナットをS45C材にて制作いたしました。
このナットはよくも悪くも目立ちます。いくらキレイにエンジンをブラストしても、ヘッドナットがキレイじゃないと台無しです。
また、いくらスタッドボルトを強化品に替えても、ナットがそのままではきちんとトルク管理ができません・・・
見た目や耐候性ににも拘り、純正のユニクロメッキの色に近く、耐候性もユニクロメッキより高い三価クロメートメッキをベーキング処理を施した上で施しております。強化スタッドと合わせてご使用下さい。
500SS KH400 トリプル専用 特殊ヘッドナット制作しました。
スタッドボルトに次いで、マッハ用、特殊ヘッドナットを制作しました
H2やS1(750SS、KH250)には採用されず、 H1とS3(500SS、KH400)などに採用された特殊なナットです。
500SSとKH400は共通部品ですので、どちらの車種でも使用OKです。
エンジンをレストアする過程で避けて通れないのがこのナットです。
せっかくシリンダーやヘッドをガラスビーズなどでブラストしてキレイにしても、
マッハシリーズではこのヘッドナットが結構目立つ為、コレが汚いとナットが浮いてしまいます。当店でも、純正の特殊ナットを再鍍金して再使用していました。
再鍍金の仕上がりを決めるのは入念な下地処理に尽きます・・・
サンドブラストで下地を整え、ユニクロメッキをかけるんですが、
やはり何度も再使用してくると、表面がザラついてしまい、メッキの仕上がりを悪くします。
それに純正の特殊ナットは柔らかく、ネジ山が緩くなった物も多く見受けられます。
いくらスタッドボルトをクロモリなどの強化品に替えても、ナットも同時に替えないと意味がありません・・・
この特殊なナットの制作には相当手間が掛かりました・・・
もちろん純正ナットは随分前に製廃になっているので、どうせ造るなら少しでもいい物をと思いSS鋼より強度のあるS45C材で製作します。
まず、大き目のS45C材のボルトのネジ山を全て削ってから、ボルトの中心に穴を開け、その穴にネジを切り、さらにボルトの頭を17mmに落とすという二度手間、三度手間を掛け製造します。
強度的には、シリンダースタッドと同じSCM鋼が理想ですが、SCM鋼とユニクロメッキの相性がよくないんです。
このナットは外からよく見えるので、どうしても純正の雰囲気を崩したくありませんでした。
だから「ユニクロ色」に拘りたかったんです。
ただ、ユニクロメッキはコストは安いのですが、耐候性がイマイチです。
どちらのメッキ処理にしようか迷ったのですが、見た目が殆ど純正のユニクロメッキとほぼ変わらず、若干でも耐候性のある三価クロメート処理を施す事で、耐候性と見た目を両立しました。
強化スタッドと組み合わせる事により、より強靭にトルク管理する事が可能です。
今後、展開しようと思っているハイコンプ仕様などにも対応できます。
何でもかんでも強化すればいいと言う物でもありませんが、エンジンを開けたなら、
スタッドとナットは精神衛生上、新品に交換しておきたいですよね。
KH250 クロームメッキスポークとHリム装着例
当店オリジナルKH250 400用クロームメッキスポーク エクセルHリム装着例
かねてより要望の多かった、クロームメッキスポークを実際にKH250に組み込んだ画像をUPさせて頂きました。
このKH250は私個人の車両ですが、当店メッキスポークとアルムHリムを組み合わせています。
個人的には、Hリムはあまり好きではなかったのですが、光沢をエクセルHリムの光沢アルマイトの輝きに合わせた甲斐もあり、ノーマルのユニクロメッキ+クロメートニップルよりも、リムとの一体感があり、結果オーライかな?(笑)
アルミリムは見た目ももちろんですが、何より鉄より断然軽いんです!
これは純正リムとアルミUリムとの重量比較ですが、同じ1.85-18でもこれだけ重量差があります、単体で約40%もの軽量化になります。バネ下重量の差は、思った以上に操安性の差となります。
現在、新品の鉄リムはフロントが手に入りません・・・
DID製などの汎用18インチ40穴のリムで組もうとすれば、組めない事はないのですが、元々ドラムブレーキ用のリムですので、ディスクブレーキのKH系などで組むとスポークの倒れ角がキツくなりスポークに無理な力が掛かる為、危険です。
純正の鉄リムに比べ高価で、それなりの納期が掛かるEXCELリムですが、KH専用設計ですので、安心して乗って頂けると思います。
もちろん、スポーク張替えサービスも行っております。
ハブを送って頂ければ、ブラスト後、無給油ベアリングに打ち換え、振れ取りを行い、お返し致します。(バフ仕上げは別途料金)
足元が決まると、愛車が見違えるように見栄えがアップします!
納期は約二週間程掛かりますので、真夏や真冬のあまり乗らない時期とかがオススメですね。
KH250 SS350 KH400用 クロモリシリンダースタッドボルト
旧車乗りにとって、サビとは宿敵であり、サビ対策は永遠のテーマだったりします。
それ故、どうしても「ステンレス至上主義」に陥り易くなります。
かくいう私も例に漏れずステンレス至上主義者でした。
L型エンジンにハマりまくった20代、ステン等長タコ足を買う為に血眼になってバイトしてた事もあったな(笑)
「SUS304ミガキ」という素材の響きがサビと戦う旧車乗りには耳障りよく聞こえたんでしょうね・・・
だからまだサラリーマンだった10年程前、欠品のKH400のエンジンスタッドを、電蝕(アルミとステンレスでは電気的な腐食が起こる)のデメリットよりも、特殊な形状でサビ易いマッハ系のスタッドボルトには、迷わずサビに強いSUS304で製作しました。
今、現在も私のKH400の心臓部にはこのSUS304のスタッドボルトが入っています・・・
が、いろいろ解ってくると、ステンレスが旧車にとって必ずしも「最適」な訳ではないようです。
ステンは硬くサビに強いのですが、「脆い」のです。
脆いという事は、すなわち「折れ」や「欠け」になり易いという事になります、だから船舶関係のボルトにはステンレスは使わないんです、ステンボルトは折れやすい上に後の始末が悪いんです。
以前、スポークを製作する時、試作品をステンレスで作ったんですが、乗り心地が悪い上、やはり何本かのスポークが「折れる」という結果に・・・だから量産はできず、スチールにユニクロよりも数倍対候性のあるクロームメッキを施す事で発売に至りました。
そんな訳で、この度、満を持してミドルマッハ用クロモリ製シリンダースタッドボルトを発売します。
一概にクロムモリブデン鋼といっても様々ですが、2サイクルにはオーバークォリティーかと思える位、丈夫で粘りもあるSCM435に調質(焼き入れ、焼き戻し)を施しております。
当初、仕上げに純正同様ユニクロメッキをする予定でしたが、SCM435鋼とユニクロメッキは相性が悪く、素材のまま、もしくは黒染めで発売予定でしたが、パーカーライジング処理を施す事によりステンとまではいかなくても、飛躍的に対候性を持たす事ができました。
左から純正、ステンレス、クロモリです。
恐らく純正はS45C?いやもしかして安価なSS鋼かもしれませんね。
う~ん・・・しかし、ステンの鈍い光が妙にカッコええと思うのは私だけでしょうか(笑)
上段がKH250 SS350用で、下段がKH400用です。
それぞれ、上が純正、下がクロモリスタッドです。
こやって実際にケースに仮組みすると、怪しく黒光りするナニを見て思わずニヤリ。
こうゆうアイテムって見えないオシャレ・・・下着に拘るマダムみたいなもん?ですかね(笑)
とりあえず初回ロッド、KH250、SS350用とKH400用それぞれ限定30台分、製作致しました。
特殊な形状のヘッドボルトももうすぐ出来上がってきます。
最終検品が終わり次第、価格等お知らせ致します。