兵庫県加古川市のガレージ トライシクルのブログです Archive | 店舗ブログ

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2024年締めにあたり・・・トライシクルでエンジンを組むという事。

今年もいよいよ残すところ僅かとなりました。
最近よく「ブログ楽しみにしています」という身に余るお言葉を頂きます。
毎回、好き勝手に言いたい事を書いてる私にとって本当に有難い事です・・・

あまりこういった事は公表はしたくはないのですが、トライシクルでエンジンのオーバーホールをして頂いている方に報告も兼ねての内容です。
このブログでも口が酸っぱくなるほど言い続けている「部品がない!」というワードですが、本当に嫌になるほど補給品は皆無です。
せっかくエンジンを開け、各部計測をし、要交換部品を発見しても新品補給品はないので、「中古良品」を使うか、「見なかった事」にするしかありません・・・
特にヤフ〇ク等の「中古良品」ほどタチの悪い物はなく、何度もエッらい目にあわされてきました・・・

 

 

これはクランクの右先端部ですが、殆どの車両はこの先端のオイルシールと接触する部部が腐食や擦りキズがあり、これで本当に一時圧縮が保たれるのか不思議です・・・
材質が弱いのか、オイルシールのリップの当たる部位はツメで引っかかる程の傷がある事が殆どです。

 

 

折角、ベアリングやセンターシールを交換して入念に芯出しをしても、こんな状態のカラーで組みたくはありません・・・
よくお客様からラビリンスシールにした方がいいか?とか、雑誌に掲載された記事を見てその様な加工ができないかと問い合わせが多くありますが、そらやらんよりやった方が絶対ええに決まってます、が、しかしである!この辺りの所をちゃんとやった上でせんとそれこそ本末転倒です・・・
センターシールだけ半永久的に使えてもサイドシールはゴムのままやし、サイドシールの方が断然弱いのにどないやねん?と首をかしげたくなります・・・
エンジン加工に湯水の如くコストをかけられる方は稀で、やはり優先順位を間違えてはいけません。
一点豪華主義ではエンジンの調子は絶対にでません・・・やはり補器類も含めたトータルで考えないと意味がないんです。
何台も他のお店で「フルOH」をしたというエンジンも開けましたが、この箇所がちゃんとしたクランクを見た事がありません・・・
新品部品は出ないので、おそらく前出の「見なかった事」にしているんだと思います・・・

 

 

ただ、幸いにもこの部分は取り外し可能なので、汎用旋盤で比較的簡単に制作する事ができます。
中にはバラせる事を知らずにそのまま見て見ぬふりをして組んでいるショプさんも多いですね。
鍛造品であるクランクの素材との相性などはメーカーの開発さんレベルでないと判りませんが、
自分の知識で出来る限りの素材を吟味して製作しているつもりです。
何よりキズまみれのそれより絶対いいハズ!と信じて製作しています。

 

 

これはクラッチのプシュロッドシールとプッシュロッド短ですが、ココも殆どの車両がシールとの接触面が爪で引っ掛かるほどのダメージを受けています。これも比較的簡単に制作可能ですが、常に力のかかる部分なので大事を取ってSKD11という素材で制作しています。

 

 

嫁と畳は新しい方がええ。って昔のエラい方は言ってますが(笑)新品に勝るものはありません。
この様な部品は組んでしまうと外からは見えません・・・
見えなくなってしまうからこそちゃんとしておきたいと思っています。何年か後、ウチで組んだエンジンを誰かが開けた時、その人間がどう思うかを常に考えてエンジンを組んでいます。
雑誌で取り上げられる様な華やかな物でもありませんが、優先順位を間違わない様、常に自問自答しながら日々悩む毎日です。

 

 

これは今後製作予定?のトリプルの鬼門、チェンジシャフトロッドです。
例によってここもオイルシールとの接触面が摩耗し、M/Tオイルが漏れます・・・
ここからオイル漏れをしていないトリプルは本当に稀で、ガレージにオムツは必須です。
やはりこの頃はまだイギリス様式の「右チェンジ」の考えが抜けきれず、シフタードラムが右側にあるマッハ系全ての泣き所で、W1SAよろしく長いチェンジシャフトで、むりくり左チェンジにしていたんでしょうね・・・実際、H1には右側にもシャフトが出ていますから。
右から長いシャフトで繋げている構造上、絶対に回転方向以外の力がかかり、ただでさえキズまみれの接触面に縦方向の力も加わりオイルが漏れます(涙)
Z辺りから北米を意識してか、最初から左チェンジありきで設計されているので、「新世代」のエンジンといえます。
Zどころか下手するとFXと同世代のKHですらマッハの時代のままの一世代も二世代も前の設計で、本当にダメですね。
このすぐブリブリになるチェンジシャフトは絶対に新たに作りたいのですが、先端のチェンジリンクが付く部分は転造と言ういわゆる「ハンコ」のようなもので制作するんですが、転造は大量生産には向ていますが、金型を新たに作る必要があり、少量生産には向きません・・・
なんとかスプラインを切る工場様で制作できる見込みは経ちましたが、コストの問題で頓挫しています・・・
当時物のレプリカなら少々高くても売れるんでしょうが、こんな見えない部分にいったい何人の方が買ってくれうのだろうか?と毎度の「棚の肥やし」理論で未だ制作には至りません・・・今の所、私も見て見ぬふりをするしかないのが現状で、本当にはがゆい思いをしています。

 

 

これらの部品は基本、非売品です。この他にも無い物は多数ワンオフで製作しできる限り交換する様にしています。
せっかく数あるショップの中からウチを選んで頂いたお客様に「専門店」の値打ちもないとダメですもんね・・・
ウチは基本トリプルしかやりません。っていうとカッコよく聞こえますが、実はトリプルしかできないんですよね・・・
有難い事にたまにフォーワンとかの依頼もありますが、丁重にお断りしています。何故なら専門でないので知らない事がいっぱいあるからなんです。
一部例外を除き、何んでもできるショップって結局の所、何んでもできないと思うからなんです・・・

トライシクルでエンジンを組む。という事ですが、まだまだ自分自身で納得がいくエンジンには程遠いです。
ただ、一つ気がかりなのは、非売品でない物でさえ殆どのショップ様が「業販して欲しい」との要望がありません・・・
私はお客様の為になるなら、他店様にあってウチには無い部品は躊躇せず業販して頂ています。
だけどウチの部品も本当に一部のショップ様しか買って頂いていないのが、儲けとかではなくトリプルを愛す身からすると本当に寂しいですね・・・

早く「フルオーバーホール」という言葉が使えるようになりたいと日々願う毎日です。
皆様、どうぞ良いお年を!

 

 

 

キックカラ― 92028-072 を製作しました。

KHに限らず、カワサキトリプルのキック周りはトラブルが多くて困ります・・・
H2なんて高圧縮のエンジンに耐え切れずキックシャフトそのものが折れるという恐ろしい事もあれば、KHシリーズでは車体が左側に傾くとキックが「スカっと」抜け、車体を右側に倒した時のみキックが可能というシャレにならん話まであります。
250から750まで共通というキックスプリングなんて今では考えられない代物です。

 

 

当店では、M/Tはもちろん、キックシャフトにも大事を取ってというか、半分もうおまじないのような気持ちでWPC処理を施します。
本来、WPC処理はフリクションの軽減を期待するものですが、ピーニングにより表面硬度が上がるので、補給部品の壊滅的な旧車には有難い処理です。

 

 

とはいえ、割れてしまったものまでどうこうできる訳がありません・・・
これはS系やH1に使われているキックカラ―ですが、元々穴の横部の強度不足と長年のスラスト方向のストレスによって破断している車両が本当に多いです。
ココも例によって「見なかった事」にしてそのまま組まれている車両が殆どです。
最近は程度の良い中古パーツの入手も困難になり、やはり同じところがダメになる事が多いのに、平気でゴミがヤフオク等に出品されていたりもします。
価格の高騰がイタいのもありますが、中古パーツ故、いつ入手できるかが一番の悩みです・・・
なんせ一つのパーツが足らないだけですべての作業が止まってしまい、かつ一人で全ての作業をこなしている当店では、その遅れはその後作業を待つ次のお客様にまで影響してしまいます・・・

 

 

そんでもってどうせ作るなら「強化品」をと思うのが世の常ですが、こういったブッシュ関係は強ければいいってもんでもありません・・・
何故ならあまりに固く作ると、受けているシャフトそのものにダメージを与えてしまうので素材には苦慮します。
恐らく純正は少し削ってみた感触から、S40CもしくはS45C辺りだと思います。
45C辺りが最適な気もしますが、やはり留め金ピンの刺さるサイド部分の強度が気になるので、SCM材、いわゆるクロームモリブデン鋼で製作しました。なんでもかんでも「強化品」とするのもどうかとは思いますし、はたしてこれが正しいかどうかは判りませんが、ただでさえ始動性の悪いポイント車であっても心置きなくキック、そう一世を風靡した長渕キックレベルで蹴っても大丈夫であって欲しいですから(笑)

 

 

コレはH2(750ss)のキックシャフトAssyなんですが、500SSを打倒CB750の為に無理を承知で750化したせいで、駆動系のトラブルまみれで、ミッションケース(クランクケース)がパワーに負けて割れる車両も多数ある程、本当に悩まされます・・・
ただ、ことこのキックカラ―に関してはハッと見でシャフトを強化したのが判るほど太くなり、そのお陰でカラー自体も大きくなり、薄くなりこそはしたものの、スラスト方向の肉厚が確保されているので割れ難かったのだと思われます。
しかしこのぶっといシャフトを折るって・・・長渕キック並みのパワーの持ち主がいらっしゃるのも驚きです。

 

 

こうやって改めて見ると穴の外側の肉厚の薄さが良く解ります・・・
クロモリ鋼がええ方に作用する事を願うばかりです。
まぁ幸い?この部品92028-072はH1(500ss)と共通部部品ですので「棚の肥やし」になるリスクは少なくて済みそうですね・・・

私は「当時モノ」という言葉はあまり好きではありません。・・・
ヨメとパーツは新しいのに限ります(笑)
たま~に「彼女まで当時モノ」のオ〇ハンをケツに乗せ、ええ歳こいて直管でふかしまわってるイタいオッサン共を見ると、見てるコッチが恥ずかしくなりますから・・・合掌

 

ありそうでなかった物。

 

最近、何故かZ系やGXなどのトリプル以外の大型車の修理も多く入庫します。
KHに限らずヤマハのマイナーな旧車など、こと補給部品に関しては絶望的です・・・
しかしである、ことZ系に関してはフレームとエンジンの窯さえあれば下手すると新車が組めるほどのパーツがあり、トラブルで入庫しても、翌日には淡路島からパーツが届きます。
稀にリプロ品は品質がどうこうとかぬかす輩がウチにもいますが、部品に悩まないで済むZ系は本当に羨ましく、淡路島には足を向けて寝れません・・・
リプロであっても「新品」で組めるという事・・・トリプルアルアルなんですが、どうしてもヤフオク等で中古を探すしかなく、散々競り合って届いた物は「ゴミ」だったとかは当たり前で、一番困るのは、「泣く泣く中古を使った挙句、結局そこがまたダメで再度バラす羽目に」と言う事なんです・・・新品を使う事で一定の安心を担保する事ができますから・・・

 

 

 

と、毎度の事ながら前置きが長くなりましたが(笑)ありそうでなかったKHのメーターインジケーターのカラーレンズを作ってみました。
このレンズはメーターのニュートラルやハイビームを知らせるランプのレンズで、よく中古のメーターを買ったらこのレンズが脱落してて電球が「ピカッ!」と光ってまあ情けないというか寂しいというか(笑)何故かウィンカーの黄色は残ってる個体が多いのも不思議な所です。

 

 

 

何度かてめぇでアクリル板と格闘した事がありますが、まあ小さくて大変です。
なので今回、レーザーカッターにて正確にカットした物を製作してみました。
レーザーはミクロン単位の精度でカットしてくれるので、寸法を吟味に吟味し接着剤なしでも圧入できるくらいの精度で完成しました。

 

 

流石にアクリルの単板なので、純正のような光り方ではありませんが、無いよりは全然マシです。
この画像ではニュートラルが白っぽく写ってしまってますが、もう少し実際は緑です。
これも例によって棚の肥やしにはしたくないのでほんの少しだけ製作しました。
必要な方がいらっしゃいましらHPのお問合せコーナーよりお知らせ下さい。

今後共、トリプル専門店の名にかけて、トリプルを維持して行くのに本当に必要な部品を作って行けたらなと思っております。
中には前出の専用工具の様にマニアック過ぎて何の部品か判らない様な物もあるかもしれませんが(笑)何卒、温かい目で見て頂ければ幸いです。


緑 紺 各色 一個1800円(税込み)

 

かゆい所に手は届くのかな?

KHを一度でも自分でいじった事がある方なら絶対解って頂けると思い・・・イヤ思いたいですが(笑)
シフトペダルの特殊ボルトを緩めたり締めたりするのに工具が入らず苦労します・・・
市販のスパナやモンキーではステップゴムが干渉し、本当にやりずらい!

 

 

チョット前まで、専用の薄いスパナを探し当ててなんとかやってきましたが、いかんせんスパナでは時間が掛かります・・・
国内物はステップバーが曲がっている個体も多く、海外物などは可倒部分が邪魔でやりずらくてかなわんのです・・・

当初、6角穴の開いた特殊ボルトを製作しようと思いましたが、よう考えると「SSTを造りゃええやんけ!」って事で、かゆい所に手が届く?SSTを造ってみました。

 

 

特殊ボルトに合う形のベースを2017ジュラルミンの無垢材から削り出し、
センターに3/8(9.5mm)のエクステンションバーが入る様に加工
これでラチェットが使えるようになります。

 

 

やはり、一度ラチェが使えるとなると、もうスパナでこちょこちょなんてメンド臭くてやってられません!
当初、強度を考慮してクロームバナジュウム鋼なども考えましたが、加工性と携帯性を考慮すると、2017ジュラルミンに落ち着きました。
私自身が何度も耐久テストして、あえて推奨していない「本締め」も試しましたが今の所、破損や摩耗もありません。
但し、あくまで「仮締め用」ですので、よゐこは絶対に真似をしないで下さいね。
途中、もっと横着をできるように、ある程度緩んで軽くなったら手でも回せるように滑り止めと意匠をかねて側面にローレット加工を施しています。

 

 

とは言うものの、「こんなもん誰が買ってくれるねん!」といつもの悪魔、いえ天使がささやきます・・・
いつもの如く単価が安くなるからと欲をかいて大量に発注すると、「棚の肥やし」と化します。
今回、かゆい所に手が届くパーツとして、解る方のみに買って頂ければいいかなと割高を覚悟で少量製作して頂きました。
最初に言ったように一度でも自分でスプロケットカバーなどを外そうとした事がある方には絶対重宝されると信じ(笑)
量産製作所の方にもホンマにこんなん売れるん?って心配までして頂きましたが、半ばKH屋の意地?で発売します!

販売価格は税込み5800円です。初回ロットは20個です。必要として頂ける方はお電話にてご注文下さいませ。

ボルトオンPWKキャブレターキットの入荷予定。

長らくお待たせ致しました。
欠品中だったPWKキャブレターキット、少量ですが入荷の目途が経ちました。
今回もすでに前からご予約頂いているお客様で殆ど残りわずかです。
予約希望の方はHP上のお問合せコーナーより、氏名、住所、連絡先、車種、オプションの有無をもれなく明記の上
ご連絡下さい。
納期は約2週間程度ですが、オプションによっては納期が延びる場合がございます。
各排気量とも数はあまりございませんのでお早めにご予約下さい。
予約台数が埋まり次第、次回生産分となります、あらかじめご了承くださいませ。

 

ミスター KAWASAKI

 

この度、兵庫県二輪販売組合の総会に主席してきました。
長年、兵庫の二輪界を引っ張ってきていただいた島津理事長が引退され、新しくPMCの正本社長が理事長に就任されました。
そんな総会にあって、長年私の憧れの存在だった伝説のレーサー、清原明彦さんとご一緒させて頂きました。

 

 

総会の時もたまたま席が近かったのもあって、キヨさんの隣の方とかが「加古川でマッハの店・・・」って会話が耳にはいってくるではありませんか!
それってワシのことやんけ!と舞い上がっていたら、すぐさまこの業界のレジェンド、高田社長がキヨさんに紹介してくれました。
実はキヨさんとは初対面ではなく、昔キヨさんが同じ町内に住んでたのもあって小学生の頃、近所の散髪屋さんで2回お会いした事があったんです・・・よくその散髪屋のオヤジが「あのオッちゃん、カワサキのテストライダーやけど、ホンダに乗っとったら世界一なんやど!」とまるで自分の事の様に自慢していた話をすると、色々町内の昔の事を気さくに話して下さり、未だに郡であるこんな田舎町にあって勝手に同じ町内だった事が凄く誇らしげに思えました(笑)

 

 

バイクの腕前はもちろんのこと、歌の方もA級です!
ボクみたいな新参者にも、当時の開発秘話など気さくに話して下さり本当に忘れられない1日となりました。
日頃は無類の好色漢の私がカウンターにいる半チチ状態のチャンネーにも目もくれず写真とか取ってると嬢が変に思ったのか?あの方、たまにお店にきてくれんるんですがどういった方ですか?聞かれたので、サスガに「あるヨーロッパのレースでワークスマシンの故障でリタイヤを余儀なくされそうになった時、急遽アップハンの市販型H2で出場し、他メーカーのワークス勢を置き去りにした伝説のライダー、ミスターカワサキ!」と言えるハズもなく(笑)キミらにわかりやす―ゆうとしたら、ボクからしたら「キムタク」クラスが店に来てるみたいなもんやで!って説明するとかなり驚いていて、即バイク好きの友達にラインしていたのが印象的でした。

 

 

そしてこちらはZ1の生みの親、元カワサキテストライダーの山本 信行さんです。
当時、試作車のZ1で単身アメリカに乗り込みルート66を疾走しZ1の開発に携わったレジェンドの一人です。
前々からご自宅がウチの店から歩いて数分のとこにあり、ご挨拶程度はしたことはあったのですが、今回ガッツリ開発秘話など聞けたのと、経営に関する貴重なお話もして頂き本当に感激しました。

 

 

センターはFXのカタログモデルにもなった元カワサキテストライダーの中島氏です。遠くは、岐阜県から岐阜二輪組合の副理事でもあり、大学の同級生だったスピードショップイトウの晶雄ちゃんも駆けつけてくれ、久々にゆっくり話もできました。

兵庫二輪組合も正本新体制となりました。島津理事長、長い間本当にご苦労様でした。
私も二輪業界の発展に微力ではありますが貢献できればなと思います。
数々の二輪レジェンドの方々にたくさん力を頂けた一日でした。

 

キャンディースケベイスピンク

サスガに20年以上同じ色の単車に乗っていると飽きが来ます・・・
そんでもって、大昔に買ってて、いつか塗り直そう塗りなおそうと思いながら気がつけば20年放置モノの自ら命名した「キャンディースケベイスピンク」の外装一式に交換。
なまめかしいクローム系の足回りと相まって、エロさ半端ないKHになり、なんか改めてまた愛着が湧いてきました。

 

 

下の写真は唯一残るボクが37年前、今のKHを先輩から買った当時の写真です。
16歳になったら、絶対「エフエックス」を買う!と心に決めていた私ですが、
今も昔もFXは一度たりともゴミにはなった事はなく、かのCBXでさえ一桁で手に入った時代にFXは30万以上しました。
だから当時高校生だったボクにはFXなんぞ高値の花で、唯一時給500円のアルバイト代で買えるカワサキ車はKHくらいでしたから。
今みたいにスマホどころか、デジカメすらなく「写ルんです」という死語の世界の使い捨てカメラで写した奇跡の一枚です。
当時は写真に「日付が入る写ルんです」がナウでニューでしたが(笑)日付は86年2月27日となっています。それはもうすべてボロボロで、俗に言うBEETの爆竹チャンバーが超煩くて自分でも、なんて下品な音なんやろ・・・と思ってましたネ。
でも何年かしてこのチャンバーがヤフオクで確か15万位で売れた時はビックリしました。
まだサラリーマンだったボクに嫁ハンに内緒の凄い金額のお小遣いが入ったので、それこそなんちゃら椅子のアブク銭に消えた記憶が(笑)

 

 

その後、高校を卒業して岐阜の自動車短大に行く直前に純正色だった最終型ライムグリーンに塗り直し、
また、働き出してすぐにショットバーのマスターの知り合いに新品箱入りのSS400のタンクをタダ同然の値段で譲って頂き現在の通称「ヘチマカラー」で20年以上乗っていました。

 

 

この頃になると、前出の写真の様なボロさは微塵のかけらもないですね。
同じ単車とは思えない程、綺麗にはなったんですが、何故かずっと長い間「なんとなく魂が入らない・・・」ような口では表現できないような感覚に陥っていました・・・
そうなんです、綺麗にしたいという一心で、自分自身でわざわざ「自分の歴史」を消してしまっていたんでしょうね。
今では考えられない事ですが、フレームまで全バラ&新品のタンクにわざわざウレタンクリアーを吹いてしまったりとか(汗)
最近、ツーリング先などでよく「どこで買ったんですか?」と聞かれるんですが、37年前に買ったんですと伝えると皆驚かれます。
昔はその驚きも楽しかったんですが、今では、なんか自分で自分の歴史を消してしまったみたいで後悔していたんです・・・

 

 

ほんでもって外装を変えようと思ったきっかけは、愛媛のお客さんのKH250を修理した時、「絶対、外装はこのまんまで、中身だけ更新して欲しい!」との要望でした。当初、サンドイッチマンよろしく、チョット何言ってるのか判らない?って状態でしたが、よくよく見ると、カッコイイ歳の取り方をしたチョイ悪親父のようなたたずまいに見えてくるじゃあーりませんか。
今頃の若い方の方が、こと旧車については「解ってる」んかもしれませんね(汗)

そんな感じで、たまたま塗り忘れた当時物?の外装があったので取り替えたらKHにやっと魂が戻ってきてくれたみたいで嬉しくなりました。
たまには外装一式を別の色に交換するコスプレも悪くないなと思った今日この頃です。
しかし皆さん、ライムグリーンや漫画レインボーだけがKHじゃないでっせ!

と、まあ今回は別にどうでもええネタでしたが(笑)最後まで閲覧頂いた方、本当にありがとうございました。

 

 

クロームメッキスポークの入荷と価格改定のお願い。

長らく欠品中だったKH250 400 350SS用クロームメッキスポークが入荷しました。
誠に心苦しいのですが、仕入れ価格の急激な高騰により、KH用クロームメッキスポークの価格改定を行います。

変更前 24000(税込み26400円)→値上げ後 280000円(税込み30800円)

20%弱という大幅な値上げ幅となり、本当に心苦しいのですが、昨今の世界情勢の中、どうしても日本製に拘ってしまうと、社内努力にも限界があり、どうしても値上げをせざるを得ない状況となってしまいました・・・

 

 

以前、試作段階でコストとの兼ね合いもあり、台湾のメーカー様にも作ってもらった事があるのですが、やはり曲がりの均一性やニップル部のねじ切り精度、ひいてはクロームメッキの品質などは日本製と大きく異なります・・・
画像は今回新造した350SS用のインナースポークですが、やはり曲がりの均一性は素晴らしいですね。
また、ニップルのネジ部などは、海外製のとは大違いの精度なんです・・・
恐らく、ねじ切りの段階ではそう差はないんでしょうが、メッキの厚みが違うのか、ニップルの廻り方がマッタク違います!
一度でもスポーク組みを経験した事がある方ならご理解頂けると思いますが、スポークの曲がりにバラつきがあると、ハブ側では少しの差であっても、リム側では大きな差となり、スポークに無理な力が掛かってしまいます・・・
また、ネジ部の廻りが渋いと組付けや振れ取りの作業効率が著しく低下します。
画像ではお伝えし難いのですが、手で廻し比べると本当に日本製のスポークのニップルは本当に滑らかに廻ってくれるんです!

 



なかなか素人さんでスポーク組&振れ取りができる方は少ないと思いますが、やはりこのスポークを手にした同業者の職人さんには絶対解って頂けると信じて日本製に拘っています。
また、このシットリと落ち着いた輝きは、旧車會よろしくギラギラ&テカテカなチープなメッキとは異なります。
当初、耐候性を考慮し、ステンレスで制作予定でしたが、試作品の乗り心地並びに「折れ」の問題から、スチールにせざるを得ませんでした。
どうしても純正品などのユニクロメッキでは、2~3年もすれば輝きは失われてしまいます、それ故、ギラギラしないクロームメッキにも拘ったんです。
純正タイプのユニクロメッキなどに比べ、著しく耐候性が違います。何年も輝きが持続するだけではなく、スポークの汚れも簡単に落ちますので掃除も楽になります。


と、まぁ言い訳がましくなりましたが(笑)メーカーさん!材料高騰はある程度理解できますが、もう少し穏やかな値上げにしてくれないと心臓に悪いですよ、マッタク!(怒)

 

プラグギャップのお話。

今回は縁の下の力持ち?スパークプラグについてお話します。
当店ではスパークプラグはNGK製のB8HS-10という船外機などに使われる少し特殊なプラグを使用しています。

 

 

勘のいい方ならお気づきだと思いますが通常、市販の二輪用B8HSとかのプラグギャップは0.8mmに設定されています。
B8HS-10の後ろの方にある-10と言うのはプラグギャップの事で10ミクロン、すなわちプラグギャップは始めから1mmに設定されています。車用などは1.2mmとかの設定が普通にある位です。

 

 

これはプラグギャップを測定するプラグギャップゲージという工具ですが、最近の若い整備士さんなら見た事もないかもしれません・・・
なんせフューエルインジェクションによって空燃比も超シビアにコントロールされ、点火においてもダイレクトイグニッション等が当たり前になり、点火エネルギーも昔とは比較にならない程強くプラグの被りなど皆無です。
ではこのプラグギャップは何を意味するかというと、2次コイルで何万ボルトに昇圧された電流は空間を雷のように流れます。
この雷は電圧が高いと電線等がなくとも電気が空間を飛んでいきます。それゆえ街中の高圧線(2.5万ボルト)などは近くに寄っただけで人間など真っ黒コゲになるそうです・・・
だからエンジンでも12Vを点火コイルにて1万~2万Vぐらいに昇圧し、空間に火花を飛ばしています。
でも逆に言うと、電圧が低くかったり、あまりにも距離があると火は飛びませんし、エンジン内の点火プラグは燃料などの遮蔽物に常に邪魔されます。ましてや2サイクルエンジンでは分離であれ混合であれ、燃料中にガソリンより燃えにくい潤滑油が含まれます。
燃焼室内の火炎というのは燃焼室全般に広がるのに時間がかかります、それゆえ上死点より何度か前で火を飛ばして、そのタイムラグを補っています。燃焼室内に広がる火炎も一番最初はプラグギャップ内で小さな火炎ができ、その火が燃焼室内にじわっと広がるそうです。とはいえ0.01秒とかのお話ですが・・・
だから誤解を恐れずに言えば、プラグギャップは広けりゃ広い程いいわけなのですが、広すぎると前出のように火が飛ばなくなる「失火」状態になります。ではどうすればプラグギャップを広くとる事ができるか?
ならばプラグに送る電圧をもっと上げればよい訳で、そんな理由からCDIやフルトラではDIなどが開発されました。
もう一つ火花自体の強さや火炎伝播に大きく関わるのがプラグ自体の電極の太さです。
電極は細ければ細い程良いとされますが、あまりに細いと自身の高電圧により電極がすぐに摩耗してしまいます。

 

 

このプラグは昭和の終わりの頃、アフターマーケット界で一世を風靡した「Vプラグ」という商品です。
聞けば中心電極だったか忘れましたが、V字に削られ電極を細くしたのと同じ効果が出るそうで、
当時みんなこぞって高価なVプラグに交換していましたね。

 

 

今頃では、中心電極の先っぽに摩耗に強いイリジウムという白金のような高価なマテリアルを使って保護し、極端に細い電極でも摩耗し難く火花が強いイリジウムプラグが四輪の世界ではプラグ交換のし難さも手伝って主流になりつつあります。
ただ、2サイクル車にイリジウムプラグは相性があまり良くありません・・・電極の先端に貴金属チップがある構造上、ワイヤーブラシでゴシゴシなんてご法度です。完全にセッティングが出ているなら問題ないのかもしれませんね?

 

 

改めてアップで見ると中心電極の細さに驚きますね!

先にも述べたように、2サイクルエンジンの場合、電極の細さや要求電圧以上に「燃えにくさ」という問題がプラスされます。
しかし、今では2サイクルオイルの飛躍的な性能向上により50:1という昔では考えられないような混合比での運転が可能になりました。標準的な分離給油車両の混合比は20:1~25:1に設定されているので、混合専用オイルを使用することで「燃えにくさ」という面が解消されるのでプラグギャップが1mmでも被る事がなく、火炎伝搬が良くなり結果的に燃焼状態が良くなるようです。
最近では「ブログを見て混合化したら、凄く調子が良くなった」と遠方の方々からも嬉しいご報告を頂くことが多くなりました。
混合化によって爆発力が上がるだけでなく、プラグギャップが広げられ、点火も強くなる相乗効果で多くの方に恩恵を体感して頂いております。
H1、とくにエグリの頃など良質なオイルが無い上、初めてのリッター100馬力越え車両に北米を意識して濃いめの混合比にしたと川重の開発の方から聞いたことがあります。被りに対し、苦肉の策として沿面プラグなるものを採用していたのもうなずけます。
4サイクル旧車の世界ではもはや常識となりつつある、高性能アフターパーツのウオタニさんの点火システムも高電圧化によってワイドプラグギャップの設定となっています。もうすぐ発売予定のCDIに限ってはギャップ1.2mmでも楽勝で火が飛びそうな勢いです。
しかし、せっかくの高性能点火装置や高性能オイルを使ってるのに、肝心のプラグが「当時物」ではお話なりません・・・
混合化+PWKキャブ+CDIシステムで、補器の近代化により大幅なパワーアップと信頼性の向上が可能となりますが、縁の下の力持ち、「プラグ」について少しでも考えて頂ければと思います。
最初に市販二輪用B8HSのプラグギャップは0.8mmですと言いましたが、混合化された方、船外機用のとの差0.2mmがどう出るのか?コスト的にもお手軽ですので是非ご自身の単車で体感してみて下さいネ。

たかがプラグ、されどプラグです。

NGK B8HS-10   490円(税込み価格539円)

KH250&350SS用ボルトオンCDIキット 試作編

長らくお待たせ致しておりますKH250用CDIキットですが、
お問合せの多さに責任を痛感していますが、正直、色々な事に壁にぶち当たっている状況です・・・

「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで四歩下が~る」・・・戻っとるがな(涙)

自分でボケて自分でツッコみながら、次々と湧き上がってくる問題に戦々恐々です・・・

 

 

ひとつ問題を解決できたと思ったら、また別の問題・・・
モノ造りとはそういう物かもしれませんが、自分の知識の浅はかさを痛感する日々です。
でもそんな時、アースをミスった二次電流がボクの体内を流れ、指先から「バチッ!」と今まで経験したことのない激痛が走ります!
かなりの痛さなのに、こんなに強いんや!!とニヤける私を他人が見たら間違いなく「変態」扱いなのでしょうね(笑)
唯一のより所は、「強力な点火による調子の良い原動機になる補器の製作」に尽きますから・・・

 

 

フツーのバイク屋では見た事もない、まるでネズミ捕りレーダーの様な計測機器を駆使してテストしていきます。
オシロスコープの波形を何度も確認し、実車に取付け確認します。

 

 

先程、指先を走った激痛よろしく、コンデンサーから一気に放出される強力なスパークは、キック一発でいとも簡単にトリプルを目覚めさせました。
コレはいける!!と確信し、今までの苦労が報われる瞬間です・・・
とはいえイニシャルタイミングの設定や、配線の取り回し、完全ボルトオン化、量産化、耐久テストなどなど、まだまだたくさんの課題が山積みです・・・

 

 

順風満帆とはいかない開発に、誰かの猿真似や、どこかの製品をパクれたらこんな苦労は無いねんけどな・・・とボヤいた瞬間、社長から即答「パチもんには魂が宿らん・・・」と言われ目が覚めた思いです。

ふと見上げたメーカーさんのガレージで炎天下の中、今もなお快適な空間を作ってくれているこのクーラー、恐らく平成どころか昭和から働き続けてるであろうそれに、あえて「エアコン」とは呼ばず、敬意を込めて「クーラー」と呼ばせて頂きたい。
私の製品もこのクーラーの様に、草葉の陰からずっと末永く支え続け、そこに魂が宿るモノ造りでありたいと願って止みません。

 

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