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新年明けましておめでとうございます。第一号は他人事とは思えないマッハ。

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

今年一発目は、年末ギリギリに納車した、珍しい国内物の400SSマッハの修理記事でスタート!
一号なので、少し長めの内容ですが、最後まで見て頂けますと幸いです。

 

 

右側三本出しバラチャンとセブンスターキャストが決まった珍しい400SSマッハ。
聞けば、「ヤフオクで購入したが、調子が悪く、自分で修理したらエンジンが掛からなくなった」という内容。

・・・・・・コレは修理屋にとって一番やりたくない仕事かもしれません。

人が途中まで修理しかけて投げ出した場合、自分で部品をバラした訳ではないので、倍以上の時間が掛かります。
ましてや今回、ご自身で配線をやり直したまではいいのですが、「純正のカプラーは切断し、ギボシで作り直したが、電装関係もおかしくなってしまった」といいます(汗)
純正のカプラーを捨て、配線も変えてしまうと、配線図が役に立たなくなります・・・
やはり、近所の修理屋さんでは断られたらしく、このブログを見て、藁にもすがる思いで当店に電話された様です。

もちろん当店でもやりたくない作業ですが、瞬時に18歳の時の記憶が頭をよぎります。
そうです、私も何を隠そう、マッタク同じ失敗を整備士学校に入学した直後にやらかしました。
自分で配線をやり直そうとして、途中で訳が解らなくなって、エンジンが掛からなくなってしまったんです・・・
もちろん、当時、配線図などあるわけなく、それにもましてこの当時のカワサキ車は、赤に白を繋ぐとか、現在の常識では考えられない配線方法です。見知らぬ土地で唯一の足だったKHの故障は、私にとってそれは死活問題でした。
当時はネットなどもちろんありませんから、電話帳のバイク屋さんにかたっぱしから電話しまくったんですが、
「そんなもん、人の失敗のケツ拭きなんかできるか!」と怒鳴られたバイク屋さえありました・・・
やっとの事、各務ヶ原にあるカワサキグリーンショップ(現RSオオワキ様)になんとか頼み込んで修理を受けて頂きました。
あの時、修理から上がってきたKHのエンジン音を聞いたときの感動と御恩は今でも忘れる事ができません・・・

だから、他人事とは思えなかったんです・・・

 

 

素人さんにしては番号を打つなどして、それなりに努力された後は見受けられますが、
配線すべて黒というのはいただけません・・・
その時はいいですが、純正の配線を無視して作り直すと、後から見た別の人間には、何が何んだかマッタク解りませんし、なにより配線図が使い物にならなくなります。もし、旅先などでトラぶってもまず見てくれる修理屋はありません。
だから、私達は純正に拘ります。お客様がもし、遠方でトラぶったとしても、配線図がみれる修理屋さんなら、旧車に強くないお店でも修理ができます。配線図なんてそれこそFAXでだって送れちゃいますから。

 

 

ご自身でコンデンサーとポイントも交換されたそうですが、調子は良くならかったらしく、配線では?と思って配線に手を出したそうなので、まず徹底的に現状の把握とトラブルシュートを行います。

 

良く見ると、コンデンサーの端子を繋ぐ位置が違っていたりはしていましたが、圧縮もあり、不調の原因はその辺りではなさそうです・・・
トラブルシュートは一つ一つ着実に殺して行き、ちゃんとした原因を突き止めないと絶対に「再修理」が待っています。
未だ「コレや!」という内容にはたどり着きません・・・
コイルも社外の強化品に変更されていますが、抵抗値を確認しないと、フルトラ用の3Ω程度のコイルを使用すると、いずれコイルがパンクします、それ以前に取り付け方法がビニールテープにタイラップという状態です・・・
コイルは熱を持ちますから、ブラケットは固定の役目だけではなく、熱をフレームに逃がすという役も兼ねており、これでは熱が逃げず、抵抗値があっていたとしてもパンクのリスクが伴います。
私も過去はそうでしたが、どうしても「強化品」という響きに弱く、基本的な事がおろそかになりがちです。
ただ、キチンとツボさえ押さえれば、強化コイルに換装すると、ジェットの番手が変わってしまうほど効果があるのも事実です。
今回はまず、全て純正に戻し、発電関係や配線関係、並びに充電関係のリフレッシュを行い、信頼性の大幅な向上を狙います。

 

メインハーネスはもちろん、ジェネレターコイルからの配線、バッテリーリードまで引き直し、外されていたヒューズBOXも復元します。

 

ヨークはブラストし、配線もすべて引きなおし、リビルドが完了したジェネレータ
見た目も気持ちいいですね!

 

 

メインハーネスだけ引きなおしても、バッテリーリードや、ジェネレーターからの配線も引きなさないと効果が半減です。
この一連の作業を行うと、ヘッドライトはもちろんメーターインジケーターの明かりまではっきり違いが解ります。
人間で言うと大動脈を交換したような物ですね。

 

せっかく発電所や送電線をリフレッシュしたのなら、変電所まで更新したいですよね・・・
以前は純正他車流用でしたが、今回は一体型高性能ICレギュレターを使います。
なるべく純正の雰囲気を崩したくないので、冷却性は多少犠牲にしますが、バッテリーケースに小加工して取り付けました。

 

レギュレターとレクチファイヤーが一体となるので、スッキリしますし何より高性能IC内臓ですので、MFバッテリーの使用さえ可能です。ただ、マッハ系の充電システムは元々脆弱な上、セルモーターなどの電力消費の大きな物もありませんし、電圧制御も緻密になり過充電にもなり難くバッテリーの持ちが比較的に良くなると思うので、通常タイプの液入りバッテリーで良いと思います。

 

グチャグチャになっていてた配線も、ギボシをハンダ着けするなどして信頼性を向上させ、
灯火系統も全て点灯させ修理完了、国内物のみ付いていた速度警告灯も配線を繋ぎ直し点灯させました。
当時は、毛嫌いされた速度警告灯も、今となっては国内物の証ですので、点灯させるように修理しました。

 

 

電装関係の修理は予定通りに完了しましたが、肝心のエンジンが不調のままです。
圧縮はコンプレッションゲージの数値が三気筒とも基準内でしたので、不調の原因は混合気か点火しかありません。
キャブが二次エアを吸っている訳でもなさそうですし、キャブ各部を点検するも異常はなさそうです。
やはり点火が原因の可能性が大ですね。

次回へと続く・・・

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